まだらのネコ?
ハンミョウは別名ミチシルベとかミチオシエとか言う。「近づくと、道路に沿って人の行く先へ飛ぶ。」(広辞苑)ことからそう言うのだが、そういったことを全く知らなかった3年前の春(2006年5月)、四国の旅の松山で、私は初めてハンミョウ(その時はもちろん正体を知らない)に出会い、まさにその通りの体験をした。
近付くと逃げる、が、そう遠くへは行かない。で、また近付く、するとまた、ちょっと離れた所に逃げる。そこで私は忍術を使う。気配を消すのである。そうして近付く。私の忍術はなかなか効果があるようで、すぐ傍まで近付くことができた。
そのような面白い行動をする昆虫、見た目も特異なので後日調べてすぐに判明した。ハンミョウ。そして、沖縄にはオキナワハンミョウという亜種が存在することも知った。会いたいと思った。しかし、私の住む近辺にはいないようで、3年余が過ぎた。
先日、ヤンバル(沖縄島北部の通称)の源河川へ行く機会があった。車を停めて、河原へ下りたとたんに見つけた。私は老眼でありながら軽い近眼(0.5くらい)でもあるので、はっきりとは見えないが、「ハンミョウだ」と判った。何匹もいた。河原なので「近づくと、道路に沿って人の行く先へ飛ぶ。」という行動はしないが、座ってじっとしていると戻ってきた。カメラを覗いてズームする。確かにハンミョウであった。
オキナワハンミョウ(沖縄斑猫):甲虫目の昆虫
ハンミョウ科 本州以南、種子島、沖縄島、朝鮮、中国などに分布 方言名:不詳
ハンミョウは広辞苑にあり、「コウチュウ目ハンミョウ科の甲虫の総称。また、その一種。」とのことで、斑猫という字が充てられている。斑猫、猫のような模様ということだろうか?だとしたら、どの種の猫を指しているのだろうか?興味はあるが、名前の由来についての資料が無く、詳細は不明。本種は沖縄産亜種であることからオキナワがつく。沖縄産も含めて、「山道に多く、近づくと、道路に沿って人の行く先へ飛ぶ。」(広辞苑)ことからミチシルベ、ミチオシエなどの別称がある。
体長18~20ミリ、成虫の出現は4月から12月。沖縄で最も普通に見られるハンミョウで、倭国産ハンミョウとは亜種関係にある。幼虫成虫共に昆虫などを捕食する肉食とのこと。「幼虫は地面に縦穴を掘り、そこに近づく昆虫や小動物に噛み付き、引きずり込んで食べる。」とのことだが、何だか恐ろしげである。
ハンミョウ(斑猫):甲虫目の昆虫
ハンミョウ科 本州以南、種子島、沖縄島、朝鮮、中国などに分布 方言名:不詳
ハンミョウは、「コウチュウ目ハンミョウ科の甲虫の総称。また、その一種。」(広辞苑)で、「その一種」のことをナミハンミョウとも言う。
体長20ミリ内外。成虫の出現は4月から10月。
記:ガジ丸 2009.8.20 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『日本の甲虫』(株)北隆館発行