ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

タケトラカミキリ/ヨツスジトラカミキリ

2011年07月23日 | 動物:昆虫-甲虫目

 髪を食う奴

 今でこそこのHPをやっているお陰で虫や小動物にも興味を持つようになったが、子供の頃から私は、概ね虫や小動物には無関心であった。なので、多くの少年が夏休みの宿題とする昆虫採集などというものもやった覚えが無い。もっとも、勉強嫌いの私は、夏休みは遊ぶものと思っていたので、他の宿題もやらなかったのだが。

 虫や小動物には無関心ではあったが、それらが苦手というわけではなかった。友人達と一緒にセミ取りをしたし、ジューミー(アオカナヘビ)をつかまえたりもした。チョウもトンボもバッタも手にするのは全く平気だった。ただ、同じ昆虫とは言ってもゴキブリは子供の頃から苦手で、今でも素手で捕まえるのは躊躇する。
 ハチの類もゴキブリとは違う意味(刺すから、ゴキブリは気持ち悪いから)だが、同じくらい嫌で、それらを捕まえようなどと思ったことは無い。もう一つ、ハチやゴキブリほどでは無いが、素手で掴まえるのが嫌だった昆虫がある。カミキリムシの類。
 カミキリムシという名前が悪い。髪を切る虫、いかにも恐ろしげだ。カミキリムシに髪を切られたことは無いのだが、そうされると嫌だと思って、彼らには触れなかった。
 それが何というカミキリムシなのか今となっては不明なのだが、カミキリムシといって私がイメージするのは大きくて茶色いものであった。それとは違うトラカミキリという種がいることは最近知った。このHPを始めてからは何度も出会っている。彼らは、子供の頃抱いていたイメージとは全然違い、触れる部類に入る。可愛いくはないが。

 
 タケトラカミキリ(竹虎天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 本州以南、南西諸島、東南アジア、他に分布 方言名:カラジクェー
 トラカミキリと名の付く種は多くあって、どれもおそらく体が虎模様をしているからその名があると思われる。本種もその通り虎模様をしていて、寄主がマダケ、モウソウチクなどの竹類であることからタケ(竹)トラ(虎)カミキリという名。
 カミキリムシの幼虫には「テッポウムシ」という名が付いている。その由来は広辞苑にあり、「立木の材部を食害する」とのこと。幹に長い穴を空ける。
 体長は9~15ミリ。寄主はマダケ、モウソウチクなどの竹類。竹類の枯れ死したものに集まる。成虫の出現は7月から8月と文献にあったが、沖縄ではもっと期間が長いと思われる。私の写真は6月のもの。平地から低山地の林に生息。


 
 ヨツスジトラカミキリ(四筋虎天牛):甲虫目の昆虫
 カミキリムシ科 本州、南西諸島、朝鮮半島などに分布 方言名:カラジクェー
 カミキリムシの漢字表記「天牛」は広辞苑にあったが、天の牛と言われてもカミキリムシのイメージに私は結びつかない。広辞苑には「髪切虫」ともあった。「髪を切る虫」という意味なのかどうか、記述が無く不明。ただ、方言名のカラジクェーは『いちむし』に説明があり、「顎で髪の毛を切らせる遊びがあったことからカラジ(髪の毛)クェー(食う者)」とのこと。同じような遊びが倭国にもあったのかもしれない。
 タケトラカミキリ同様、本種も虎模様をしているのでトラカミキリ、資料は無いが、虎模様が4つの筋になっていることからヨツスジと付くものと思われる。
 体長は14~19ミリ内外。寄主は各種の広葉樹、リュウキュウマツなど。成虫は5~8月に出現する。沖縄で最も多いトラカミキリ。
 
 横から

 記:ガジ丸 2009.8.20 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『日本の甲虫』(株)北隆館発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行