伝統の肴
アパートの畑にはたいてい農協で買ってきた苗を植えている。1種につき2株くらいずつ植えている。アパートの畑はたくさん作るほどの広さはなく、また、食べる人は概ね私一人なので、たくさん作ってもしょうがない、などという理由からだが、ソラマメとエダマメは例外的に種を蒔いて、たくさん作っている。何故?・・・酒の肴だから。
今年の5月、アパートの畑にラッカセイを植えた。畑をやり始めて十年以上になるが、ラッカセイを植えるのは初めて。そして、ソラマメやエダマメ同様に、ラッカセイもまた例外となる。去年、友人の脱サラ農夫Tの店から食べるために買ったラッカセイ、それがそのまま種になるとTから聞いていたので、十数個残してあったのだ。それを蒔いた。
植えた落花生はすくすく育ち、数週間後には花を付け、4ヶ月経った今、おそらく実っている。実っているかどうか、じつは、掘ってみないと判らない。ということで先日、試に1株、掘り出してみた。1株に四十個余の莢を付けていた。思わず顔が緩む。
ラッカセイは美味しい。蒸したり、焼いたり、塩茹でしたりして美味しい。1株から四十個の莢が収穫できるということは、十数株から15×40で、約600個の莢が収穫できる。大量だ。しかし、大量でも困らない。何故?・・・酒の肴だから。
沖縄ではまた、酒の肴に適したジーマーミ豆腐なんて美味もある。ジーマーミ豆腐は祝いの席によく出され、「私がつくったのよ」と、自家製のものにもよく出会う。自家製のジーマーミ豆腐、せっかく大量に収穫できるので、私も作ってみようかと思う。が、料理の本を読むと、ちょっと手間がかかりそうである。それほどの手間をかけてまで食べたいと思うほど、ジーマーミ豆腐は私の好物にはなっていない。
ということで、写真は市販のジーマーミ豆腐。黒色をしたタレをかけて食べる。タレは醤油と黒糖を主成分としたものだが、しょうが醤油でも美味しい。
植物としてのラッカセイについては、本HPの「沖縄の植物」の「ラッカセイ」の頁に詳しく(と言っても、私のことなので適当に詳しく)書いてあるが、おさらい。
ラッカセイ(落花生):マメ科の一年草
開花、受精した後、地面に潜って莢を発達させることからラッカセイ(落花生)という名前。方言名のジーマーミは地豆という意味、地面の豆ということ。倭人は花を見て、ウチナーンチュは実を見てということ。ウチナーンチュは花より団子だ。
沖縄ではジーマーミ豆腐になるが、アメリカ人はピーナッツバターにする。このピーナッツバターは沖縄の戦後食文化に深く浸透し、ミミガー(豚の耳の皮)といういかにも沖縄の素材が、ミミガーピーナッツ和えという料理になった。
→植物としてのラッカセイ
記:ガジ丸 2009.9.20 →沖縄の飲食目次