ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ドバト

2011年04月11日 | 動物:鳥

 賑やか好き

 倭国を旅するとカラスの多さに驚く。沖縄島では、カラスは中北部には多くいるが、私の住んでいる近所では、カラスはほとんどいない。最近、近所で1度だけ見たが、年配の人の話によると、はぐれカラスがたまに南部まで下ってくるとのことであった。
 倭国を旅するとまた、ドバトの多さにも驚く。いたるところにいて、市街地の大きな公園なんかに行くと、アリの群れほどのかたまりになっている。私の住んでいる近所ではドバトもめったに見かけない。沖縄にはドバトも少ない、というわけでは無い。

  那覇市の市街地にある公園(与儀公園、城岳公園、奥武山公園など)へ行くと、ドバトは、倭国ほどでは無いが、大きな群れになっている。那覇市の隣、南風原町の高架橋下でも群れているドバトを見ている。しかし、私の住んでいる首里では、石嶺球場(首里高校野球場)を除いてはあまり見かけない。首里には少ないのかと思って先日、末吉公園と首里城近辺を散歩した。どちらにもキジバトはいたが、ドバトはやはりいなかった。
 キジバトは近所にも多い。アパートや職場の周りでよく見かける。たいてい”つがい”なのだが、末吉公園には5、6羽の群れでいた。そういえば、那覇のドバトのいた公園ではキジバトを見なかった。もしかしたら、キジバトとドバトとの間には「棲み分け」があるのかもしれない。あるいはまた、キジバトは私に似て静かな環境を好み、ドバトは都会の喧騒や、高速道路下という騒がしい環境を好むのかもしれない。

 
 ドバト(土鳩)
 ハト目ハト科の留鳥 方言名:ホートゥ
 全長は30~35センチ。街中の公園や、高速道路の高架橋の橋桁の上などに群れをなして生活している。「ぽ、ぽ、ぽ、はとぽっぽ」のハト。あまりにもありふれているからか、参考にしている『沖縄の野鳥』には紹介されていない。『沖縄大百科事典』にハトの項目はあるが、ドバトもイエバトもその中に含まれていない。
 ドバトを広辞苑でひくと名前の由来があり、「堂鳩の転」とあった。また、「いえばとに同じ」とあったので、イエバトを見ると、「人家・社寺などに多い」とあった。「人家に多い」ということからイエバト(家鳩)、そして、「社寺に多い」ということからドウバト(堂鳩)となり、それが転じてドバト(土鳩)ということであろう。で、
 イエバト(家鳩)
 ハト目ハト科の留鳥 ヨーロッパから南アジアにかけて分布 方言名:ホートゥ
 広辞苑に「伝書鳩はその改良種」とある。伝書鳩とドバトに違いは無いと思っていたので、やはり、伝書鳩もドバトであったかと納得する。そこにはまた、「カワラバトを家禽化したもの」ともあった。カワラバトが基本種のようである。で、
 カワラバト(河原鳩)
 ハト目ハト科の留鳥 ヨーロッパから南アジアにかけて分布 方言名:不詳
 広辞苑に「イエバトの原種」とあった。「崖の岩穴などに巣を作る」ともあって、街に住むイエバト(=ドバト)とは生息環境が異なるようである。

 記:ガジ丸 2008.5.5 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行