ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

カワセミ

2011年04月11日 | 動物:鳥

 釣名人

 近所にカメラを趣味にしているオバサンがいる。オバサンといっても、その子供の年齢からして、70歳くらいにはなっている。でも若々しい。彼女のカメラはアナログの一眼レフ、それと、望遠レンズや三脚などを背負って動き回っているようである。好奇心と行動力、それがおそらく、彼女の若々しさの源となっているのだろう。

  去年のある日、そのオバサンと立ち話をする。私は散歩に出るところで、手に愛用のデジカメを持っている。それを見て、オバサンが声をかけたのである。
 「あなたもカメラを持って、よく出かけるよね。」
 「はい、散歩しながら動物や植物の写真を撮っています。」
 「私、このあいだ、カワセミの写真撮ったよ。」
 「カワセミって、ヤンバル(沖縄島北部の通称)まで出かけたんですか?」
 「いや、金城ダムでよ。」金城ダムは、有名な首里の石畳を下りきった所にある。
 「へっ、そんな街中にもいるんですか?」
 「うん、そう珍しいものでもないよ。」
  ということであった。それから約一年後の今年7月、南風原町で現場仕事があった日、近くの川べりの空地で昼食を取った。川には小さな中州があって、何種類か鳥がいた。バンがいて、コサギがいた。多数のツバメも飛んでいた。他にも2種ほどいたが、見たことも無い鳥だったので何物なのか不明。もう一種、実物を見たことは無いが、図鑑を見て、その形の特徴から記憶している鳥が橋の上にいた。カワセミであった。
 場所は、大きな病院がすぐ傍にある南風原町でも賑やかな所、大きな道が交差し、交通量も多い場所。街中と言っても良い。「ほう、確かにオバサンが言う通りだ。街中でも珍しくない鳥なんだ」と、納得したのであった。

 カワセミは釣名人である。英語名はCommon Kingfisherと言う。漁師の王様である。その時も橋の上から獲物を狙っていた。待つこと十数分、ダイビングの瞬間を撮った。しかし、悲しいかな、私はカメラの扱い方をよく知らない。シャッタースピードの調整なんてのも知らない。オートのまま普通に撮った。案の定、ボケていた。

 
 カワセミ(川蝉)
 ブッポウソウ目カワセミ科の留鳥 方言名:カーラカンジェー
 川原に生息していて、鳴き声がセミに似ているからカワセミ、と思っていたが、鳴き声がセミに似ているとは言い難い。セミには何か別の意味があるのであろうが、どの文献にも記載が無く、図書館へ行っても資料が無かったので、不明。
 広辞苑には川蝉の他に翡翠という字もあてられていた。翡翠はカワセミとも読み、ヒスイとも読む。広辞苑にはまた、「背・腰は美しい空色で、空飛ぶ宝石とも称される」とあったので、翡翠は宝石のヒスイと関わりがあるのだろう。詳細は不明。
 方言名のカーラカンジェー、カーラは川原のことだが、カンジェーが不明、沖縄語事典にも載っていなかった。カンジャーはある。鍛冶屋のこと。川原の鍛冶屋ということになるが、カワセミの鳴き声がそれほど煩いとは思えない。鳴き声はチーッ、チッチー。 
 日本、ヨーロッパ、アジアに分布し 日本のほとんどの地方で留鳥となっているが、寒い地方(日本では北海道)では渡り鳥とのこと。暖かい沖縄では当然のことながら留鳥、森や林の水辺だけでなく、都会の川、ダムなどにも生息している。
 体長は17センチ内外。頭とくちばしが大きい、色がきれいという外見的特長を持つ。餌は水中の魚類や水生昆虫、高いところからダイビングして捕らえる。
 
 カワセミのダイビング
 私のデジカメは連写とかビデオ機能も付いている。が、その使い方を私は知らない。
 
 写真追加:2019.1.25 この日、末吉公園の小さな池で遭遇した。
 
 前から
 
 後ろから

 別途追加写真:博物館の剥製
 
 カワセミ雌雄の剥製
 左が雄とのことなので私の写真は雄のようである。

 記:ガジ丸 2007.10.15 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行