興味があれば気付く
今年の7月に南北大東島の旅をした際、野鳥が多く生息しているという情報を得て、南大東島にある大池という名の池に出かけた。そこでしばらく待機していると、期待していたほどでは無いが、情報通り、いくつかの野鳥を見ることができた。
その中の一つに、その鳴き声を聞いただけで、「近くに奴がいるな」と判る者がいた。しばらく待っていると、何者かは姿を現し、私の判断が正しかったことを証明した。その鳥はバン。鳴き声は大きく、よく響く。
鳴き声を聞いて何者であるかすぐに判ったの は、既に2006年9月に沖縄市のトンボ公園で、2007年7月にも南城市の野原で見ていて、それらの写真も撮っていて、それがバンという名の水鳥であると調べがついていたから。
ここ数年で私が3度も見かけたように、沖縄では池や沼などでよく見かける馴染み深い鳥とのこと。ということは、その3度以外にも、これまでの長い人生で私はバンに出会っているはずだ。興味を持つか持たないかは、その存在を知るか知らないかの違いとなる。興味を持たなければ私は一生バンを知らないままであった。
ちなみに私は、女性が髪を切ったのにも気付かないタイプである。
バン(鷭)
ツル目クイナ科の留鳥 方言名:クミラー
和名のバンについては資料が無く、由来は不明。漢名が鷭なのかもしれない。方言名のクミラーは鳴き声から、クルルーと鳴く。こちらは分りやすい。クイナの仲間にはヒクイナとかシロハラクイナとか見た目からの名前がある。本種も嘴が赤いという特徴があるので、ハシアカクイナ(嘴赤水鶏)とでもすれば分りやすいのにと思う。
全体が黒く、脇に一条の白線が走る。目と目の間に赤い肉質の部分があり、そこから嘴の多くを赤色が続き、嘴の先端部分は黄色になっている。そういう特徴があるのでよく目立つ鳥。泳ぎも達者だが、水辺の草むらの中を歩いているのもよく見かける。
日本では概ね夏鳥だが、沖縄では留鳥で、池や沼などでよく見かける馴染み深い鳥。その姿を見たことがなくても、鳴き声を聞いた人は多いはず。大きな声で鳴く。水辺の草むらを棲家にしていて、姿は見えなくても鳴き声はよく聞こえる。
全長は32.5センチ。世界の熱帯、温帯に広く分布する。
バン正面から
バン(泳ぐカップル)
のんびり泳いでいるバン。待っていると近付いてきた。
記:ガジ丸 2009.11.25 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行