ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

キセキレイ/ハクセキレイ

2011年04月09日 | 動物:鳥

 弘法筆を択ばず

  「弘法筆を択ばず」は「文字を書くのが上手な人は筆のよしあしを問わない。本当の名人は道具のよしあしにかかわらず立派な仕事をする。」(広辞苑)ということ。そして、逆に、「下手な人は、どんな良い道具でも下手には変わり無い」ということもある場合には当てはまるようである。「逆もまた真なり」ということである。
 今週は本稿の2種を含め5種の鳥類を紹介しているが、去年まで使っていた3倍ズーム付バカチョンデジカメで鳥の写真を撮ることは難しかった。鳥は用心深いものが多く、なかなか近づけなかったからだ。で、ガジ丸での鳥類の紹介はあまりできなかった。
 今年になって、12倍ズーム付デジカメを得、これからは鳥の写真も上手く撮れるぞ、鳥の紹介もいっぱいできるぞ、と期待した。ところがである。「下手な人は、どんな良い道具でも下手には変わり無」かったのである。
  カンムリワシの写真は旧デジカメで撮ったもの。不鮮明な写真で、「本当にカンムリワシ?」と疑われてもしょうがないようなもの。ただ、揺れるボートの上から撮ったということを情状酌量して欲しい。サシバもツバメも新デジカメで撮ったものであるが不鮮明。道具はいいのだが、私のカメラの腕が下手であるからということに他ならない。
 本稿で紹介するキセキレイは新デジカメで撮ったもの。ハクセキレイは旧デジカメで撮ったもの。どちらがそれと判りやすいかというと、ハクセキレイの方に軍配が上がる。まったく、「下手な人は、どんな良い道具でも下手には変わり無」かったのである。
 不鮮明な写真を載せるのはどうかと思ったのであるが、このぶんでは、いつ鮮明な写真が撮れるか分らないので、5種の鳥の紹介に踏み切ったわけである。

 
 キセキレイ(黄鶺鴒) 
 スズメ目セキレイ科の冬鳥 方言名:ジュウフィフィ
 セキレイは、スズメ目セキレイ科に属する小鳥の総称で、ハクセキレイ、キセキレイも含まれる。本種は胸から腰にかけて黄色なのでキセキレイ。方言名のジュウフィフィ、ジュウは尾のことであるが、フィフィが不明。火?か屁?か、などと考えたが理屈が付かない。セキレイの仲間は長い尾を上下に振る習性があり、その様がフィフィなのかも。
 夏季は九州以北にいて繁殖し、春から秋は沖縄にいる。沖縄での生息期間は9月から4月。農耕地や河川沿いなどの水辺に多いが、市街地でも見かける。波状に飛ぶ。
 全長21センチ。「チチチッ」と澄んだよく響く声で鳴くとのこと。
 ※追記(2011.3.27)、方言名のフィフィについて、年配の知人に訊いたところ、「振り振りだ」とのこと。言われてみれば確かに「尾を振るから」と納得。
 
 キセキレイ横から


 
 ハクセキレイ(白鶺鴒) 
 スズメ目セキレイ科の冬鳥 方言名:ジュウフィフィ、カーラチョンチョン
 背と胸は黒色だが、腹の部分が白色なのでハクセキレイという名。方言名はキセキレイと同じくジュウフィフィであるが、別にカーラチョンチョンという名もある。カーラは河原のこと、チョンチョンはポタポタ(滴の落ちる様)という意。河原でよく見る鳥で、長い尾を上下に振る様が、滴がポタポタ落ちるように見えたのかも。
 キセキレイと同じく沖縄で見られる時期は9月から4月。生息場所も同じく水辺であるが、キセキレイと違い海岸でも市街地の公園でも見られる。関東以北で繁殖。
 全長21センチ。鳴き声は「チャチャ、チィチィ、チュイチーチー」と『沖縄の野鳥』にあり、キセキレイに比べ少し濁った声とのこと。
 
 ハクセキレイのカップル
 この鳥はちょこちょこ歩いてはちょっと止まる。餌を探しているのかも。

 記:ガジ丸 2006.2.15 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行