美人蛾
ビジンガというと美人画だが、美人画というと歌麿だろうか。私の部屋に歌麿の絵はないが、美人画は額縁に入れて3枚飾られている。うち2枚は有名画家の印刷物、残り1枚は自分で描いた水彩画。有名画家と並べるほどの物かというと、そんな物だと思う。もちろん、作品の出来は雲泥の差がある。であるが、有名画家の物は印刷で私の物は本物。ということで、本物である分、私の物も並べて飾って遜色は無い・・・と思う。
本題はそんなことでは無かった。蝶と蛾は同じ鱗翅目で、両者に明確な線引きはないとのことである。なんとなく蝶、なんとなく蛾で、翅を閉じて止まる、翅を開いて止まる。昼間行動する、夜間行動する。などで区別されているようだ。
私の感覚では見た目がきれい、見た目がそうでもないということでも区別されている。蝶にはきれいな者が多いが、蛾の多くはさほどきれいでは無いという感覚。ところが、ある日、具体的に言うと2012年11月13日、きれいな蛾に遭遇した。
どこで出会ったんだろう?と日記を見る。その日私は友人I氏と落合う約束があって今帰仁村にいた。待ち合わせの時間まで辺りを散策していた。その時に出会った。
その形状から蝶では無く蛾であろうと想像できたが、今まで見た蛾とは違って、きれいな色模様をしていた。写真を撮って、後日調べて、やはり蛾であることが判った。
オキナワルリチラシ(沖縄瑠璃散し):鱗翅目の昆虫
マダラガ科 本州~琉球列島、東南アジアに分布 方言名:ハベル(蝶蛾の総称)
名前の由来は資料が無く正確には不明。漢字表記の沖縄瑠璃散しは私の想像。オキナワは沖縄で多く見られるからだと思われる。瑠璃は体色や翅の一部が瑠璃色をしているからと思ったが、瑠璃色を調べると、「紫色を帯びた紺色」(広辞苑)のこと。『沖縄昆虫野外観察図鑑』にある本種の説明にそれらしき色は「頭、胸部は黒青色で光沢が強い」とだけ。「紫色を帯びた紺色」と「黒青色」は違うが「光沢が強い」で宝石の瑠璃を想像されるのかもしれない。チラシは瑠璃色が散らばっているのではなく、前翅に白色紋が大小いくつも並んでいるが、白色紋が翅の上に散らばっているように見えるのかも。
「触角は雄でくし歯状、雌で棒状」とのことなので、私の写真のものは雌だと判る。ちなみに、名前の瑠璃、私の写真では触角が瑠璃色に見える。
日中活動性のガで、吸蜜のため花に訪れるが、夜間も灯火に集まるとのこと。
前翅長30~40ミリ。成虫の出現は5~11月。幼虫の食草はヒサカキ、ツバキ。
成虫
記:ガジ丸 2015.12.5 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『検索入門チョウ』渡辺康之著、株式会社保育社発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行