ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

瓦版095 マジムンの夏休み

2009年09月04日 | ユクレー瓦版

 9月になっても、真夏の気候が続いている。灼熱の太陽がガンガン照り付けている。人間の体と違ってマジムンの体は外気温に左右されにくい。つまり、我々は暑さ寒さに強い体質となっている。それでも、この太陽の厳しさは感じることができる。

 「はっさもう、暑いねえ。」
 散歩の途中、ユクレー屋をちょっと過ぎた辺りで、港の方から二人乗り乳母車を押しながら歩いて来るマナとバッタリ出合った。その時のマナの第一声がそれだった。
 「確かに、暑そうだね。」
 左手で乳母車を押し、右手で日傘を差している。その傘の下の、マナの顔には汗が滲んでいる。でもまだ全然余裕の顔、そう、ジラースーとマナの家は田舎なので都会よりずっと涼しいが、ユクレー島はそこよりもまだ涼しい。マナもそれは感じている。
 「でも、この島はやっぱり過ごしやすいさあ。風が気持ち良いんだね。」とのこと。
 「ところで、第一週の里帰りは先月に続いてだね?そう決めたの?」
 「うん、そうだね、月一は帰ってこうと思ってるさあ。」
マナは倭国の生まれなんだが、ユクレー島に「帰る」と言う。彼女にとって故郷はこの島であり、ユクレー屋が彼女の実家で、ウフオバーが母親代わりなんだろう。

 その彼女の実家ユクレー屋に、私も回れ右して一緒に入る。彼女の母親代わりであるウフオバーが夜の開店の準備をしていた。「オバー」、「あい、元気ねー」、「大元気さあ、オバーも元気ねー」、「私は不死身さあ、だー、子供達は」、「はい、子供達も元気に育ってるよ」、「あね、ますます可愛くなってるねー」などと、一通りの挨拶があって、開店準備も概ね終わった後、三人でティータイムとなる。
 「そういえばさ、さっき港にもいなかったんだけど、ガジ丸の姿が見えないね。」
 「ガジ丸は先週も先々週もいなかったね。旅に出たのかね。」(オバー)
 「夏休みだ、って言ってた、二週間前から。旅に出たのか何なのか、何をしてるのか、どこへ行ったのか分からないけど。」(私)
  「夏休みって、マジムンにもあるの?そんなの。」(マナ)
 「あるっていうのか、何ていうか、働いているわけじゃないから、休みといえば毎日が休みだし、・・・ただ、いつもよりのんびりしているってことかなぁ。」(私)
 「いつもよりのんびりなら、じゃあ、やっぱり、旅かもね。」(マナ)
 「そういうことになるかもな。人間の格好して。」(私)
 「ガジ丸の人間姿は、あんたやケダとは違ってカッコ良いんだよね。きっと、人間の格好して優雅な旅をしているかもね。ところで、あんたの夏休みは?」(マナ)
 「僕の夏休み?・・・そんなの考えたことなかったなあ。夏休みか。」(私)

 夏休みって、人間には必要なんだろうか?だとしたら、何で必要なんだろうか?動物の中には、夏休みは無いが冬休みはあるものもいる。冬眠するものたちだ。彼らは冬は生き辛いので冬眠している。ということは、人間にとっては、夏は生き辛いのだろうか?マジムンは、生きているかどうかも怪しいので、生き辛いと感じることは無い。
     

 記:ゑんちゅ小僧 2009.9.4