ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

サンカククチバ他2種

2011年11月04日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 見た目が大事

 先々週紹介した「ドラゴンフライ」の頁で、トンボのことはdragon-flyという、などと英語の話をしたが、その時の女の子からは他にもいろいろ教えてもらった。grasshopperがバッタのことを指すということもこの時初めて知った。
 そこで、ちょっと興味を覚えたので、家に帰って改めて虫の英語名を調べてみる。蜂全般のことを指すと思っていたbeeは 、a honey-beeとも言い、蜜蜂のことのみを指す。蜂は他に a wasp (黄蜂)、 a hornet (スズメバチ)などがあった。
 蝶と蛾の違いは気分的なものであるということを別項で書いたが、両者は、日本語では蝶と蛾という言葉で分けられている。これがまた、英語でも同じように分けられていて、蝶のことははbutterfly、蛾のことはmothと言う。遺伝子がどーのこーのより、古今東西、モノはやはり見た目が大事であるということなのだろう。
 しかしながら、細かいことはあまり気にしないウチナーンチュはさすがなのである。蝶も蛾も同じくハベルと言う。「だいたい似ていれば同じ名前でいいさあ」なのである。そんなウチナーンチュでありながら私は、ウチナーンチュの風上にも置けぬことをする。ハベルを見て、これらは蛾であるか蝶であるかを私は見た目で判断している。そして、その判断はたいてい当たっている。・・・威張るほどのことでもないが。

 スジボソサンカククチバを最初に発見した後、それと似たようなガを2種発見した。似ているのでどちらも何とかクチバという名前に違いないと予想する。予想は当たる。そして、二種共にスジボソという名前の由来になっている筋が細くないので、どちらかがサンカククチバであろうと予想する。予想は当たる。威張るほどのことでもないが。

 サンカククチバ(三角朽葉):鱗翅目の昆虫
 ヤガ科 本州~宮古諸島、インド~オーストラリアに分布 方言名:ハベル
 名前の由来、クチバについては資料が無く不明。ただ、私が見た時はどれも地面の上にいた。地面の上は枯葉の上であることも多い。サンカクについては、『沖縄昆虫野外活動図鑑』に「前翅中央に黒色紋があり、淡色の斜条で2個の三角紋となっており・・・それに由来する。」とあった。翅に黒色三角模様があるということ。
 同書に「林周辺では日中でも昼間見られ、夜間に灯火へ飛来する。」とあり、「個体数は少なくない。」ともあったが、私の家や職場の周りでは見たことがない。「個体数はそう多くはない。」とあるスジボソサンカククチバは何度も見ている。
 前翅長18ミリ内外。成虫の出現時期は4月から11月。食草は不明。
 
 成虫   

 スジボソサンカククチバ(筋細三角朽葉):鱗翅目の昆虫
 ヤガ科 琉球列島、台湾、インドなどに分布 方言名:ハベル(ガの総称)
 『沖縄昆虫野外活動図鑑』に「細い白色帯が斜めに走り、黒色部を2つの三角形に分けるところから・・・」と名前の由来があった。
 同書に「林に生息し、日中でも出会うことがある。」とあり、「個体数はそう多くはない。6~7月に採れている例が多い。」ともあったが、林に限らず、6~7月に限らず、日中、アパートの庭や職場の庭で何度も私は目撃している。同書は1987年の発行なので、その時からは個体数が増えたのかもしれない。
 前翅長18ミリ内外。成虫の出現時期は2月から11月。食草は不明。
 
 成虫   

 ナカグロクチバ(中黒朽葉):鱗翅目の昆虫
 ヤガ科 沖縄島、南大東島、薩南諸島、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
 『沖縄昆虫野外活動図鑑』には、名前の由来について特に記載はされていないが、翅の中央に黒色紋があるところから、ナカグロ(中黒)だと思われる。
 同書に「個体数は多くなく」とあるが、その通り、私も1度しか出合っていない。
 前翅長20ミリ内外。成虫の出現時期は6月から11月。食草は不明。
 
 成虫   

 記:ガジ丸 2005.10.3  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
 訂正加筆 2009.4.25

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行