泥棒蛾
「お魚咥えたドラネコ追ーかけーて」とサザエさんも被害にあっている泥棒ネコは、私の畑にも時に顔を見せ、私も去年の5月に被害にあっている。サザエさんは毎週「追ーかけーて」いたようだが、私は、記憶している限りでは被害はそれ1回きりだ。
泥棒ネコの被害には滅多にあわないが、畑にはネコより厄介な泥棒がいる。
畑の厄介な泥棒、先ずは人間、隣のTさんは去年、キャベツを600玉盗まれた。私も3度被害にあっている。私の場合は野菜では無く畑の備品。大きな脚立が盗まれ、大きな鍋(水溜用)が盗まれ、最近になって小さな脚立が盗まれた。大きな脚立が盗まれた時、小さな脚立は残されていたので「ちょっと優しい泥棒だな」と思っていたのだが、盗んだのは別の泥棒かもしれないが、小さな脚立まで持っていかれた。世の中甘くはない。
もう一つ、畑にはさらに厄介な泥棒がいる。
隣のTさんは冬場キャベツを栽培している。Tさんは普通栽培だ。普通とは農薬を使い化学肥料を使うってこと。去年、Tさんからキャベツの苗を数株頂いた。キャベツ類(カリフラワーもブロッコリーも)を露地栽培するとモンシロチョウの幼虫に食われ、ほとんど収穫できないこともある。なので、私はネットを張っているのだが、
「ネットを張っても虫には食われるぞ」とTさんが言う。「モンシロチョウ以外に害虫がいるんですか?」と訊くと、
「ヨトウムシがいる」とのこと。
ヨトウムシ、漢字で書くと夜盗虫だ。昼間は地中にいて、夜になると這い出してきて畑の作物を食い荒らす奴、なので夜盗虫と名前がついている。それが私の畑にもいる。成虫を何度か目撃しているが、たぶん、地中には幼虫がたくさんいる。
ハスモンヨトウ(斜紋夜盗):鱗翅目の昆虫
ヤガ科 本州~琉球列島、台湾、インド、ヨーロッパ、他に分布 方言名:ハベル
名前の由来、ヨトウについては広辞苑にヨトウガがあり、夜盗蛾と漢字表記され「幼虫は夜盗虫」とのこと。「夜盗虫」を引くと、「ヨトウガの類の幼虫・・・夜出て野菜類を食害する」とあり、夜、野菜を盗みに来るから夜盗となる。ハスモンは資料が無く正確には不明。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「翅は黒褐色で白色の太い白条がある」とあり、写真を見るとその白筋が斜めに走っている。ということで、斜紋と思われる。
ヨトウと名が付く通りヨトウガの一種。幼虫のいもむしは夜、地面から這い出てきて農作物を食い荒らす。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「弱齢幼虫は群れで野菜などの葉を食害し、3齢以後は分散して葉、茎、果実などを食害する」とあった。農夫の大敵だ。
前翅長17~20ミリ。成虫の出現は3~11月。幼虫の食草は「タイモ、トマト、ハクサイ、タバコ類など多くの植物」とのこと。タバコまで食う。愛煙家の敵だ。
成虫雄
成虫雌
幼虫
図鑑の写真にそっくりだったので本種と判断したが、夜では無く朝9時に発見。
記:ガジ丸 2015.12.14 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行