高級な刺身
先月の模合(相互扶助的理由をつけた飲み会)は首里の居酒屋さんであった。そこの女将さんが、我々の高校時代の同級生ということであった。
おそらく同級生というよしみで、ということだと思われるが、高価で珍しい食い物が肴として出された。その日宮古島から入ってきたというイセエビとヤコウガイの刺身。
イセエビの刺身は東京でも旅先でも食べた経験は何度もある。が、沖縄産のイセエビの刺身は初めてではないかと、その時思ったのだが、調べてみるとイセエビはイセエビ科のエビの総称だと言う、であるならば、私は二十年ほど前に沖縄でゴシキエビの刺身を食っている。ゴシキエビは五色海老と書き、イセエビ科の一種。体に白色や緑色の縞模様があるのでその名となっている。見た目は普通のイセエビに似ている。
そうそう、そういえば10年ほど前、従姉夫婦とその友人夫婦と私の5人でアメリカへ遊びに行った時、ワシントンD.C.近くの漁港でロブスターを買い、その刺身(調理人は私)を食った。ということは、私はアメリカでもイセエビの刺身を食ったということになるのではないか、と思ったのだが、調べてみるとロブスターは大型のエビ一般を指し、イセエビもその中に入るが、その時のものは大きなはさみを持った狭義のロブスター。これはイセエビ科では無くアカザエビ科であった。大きさは同じ位でも見た目が違う。
その日出されたもう一つの珍しい物ヤコウガイは、おそらく、私は過去に食した経験は無いと思う。沖縄の伝統工芸である漆器に、十数年前ちょっと興味があって調べたことがある。漆の技術の一つである螺鈿にヤコウガイの殻が使われるということを知ったが、その貝が食えるということまでは調べが及ばなかった。ヤコウガイは味も食感もサザエみたいであった。で、調べてみるとリュウテンサザエ科で、サザエの近縁種であった。
イセエビ、ヤコウガイをご馳走になった数週間前、これもまた沖縄の刺身としては高級なものを食べた。時々通うスーパーでたまたま売られていたので、ちょっと高かったがついフラフラと買ってしまった。”つい”ではあるが、買って、家に戻って、日本酒の肴にしたら、やはり美味かった。ウチナーグチ(沖縄口)でアカマチという魚の刺身。これはこれまで何度も食べている。食べるたんびに「美味いなあー」と思っている。
アカマチはフエダイ科の海産魚類。和名をハマダイと言い、全長1mほど。
アカマチもゴシキエビもヤコウガイも、動物としての紹介は別項でいつか詳しくやろうと予定している。ここでは「食べて美味しいよ」、ということで、以上。
記:ガジ丸 2006.8.10 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行