甘酸っぱい名
今松任谷由美、昔荒井由美ことユーミンの歌を、私は好まない。田舎者の私は、ユーミンの都会的雰囲気に感性の違和感を感じるからだ。であるが、荒井由美だった頃のユーミンの歌を私は多く知っている。そのいくつかのある部分は、今でもギターを弾いて歌うことができると 思う。若い頃付き合っていた彼女がユーミン大好きで、その頃のユーミンの歌をさんざん弾かされて、一緒に合唱もしたからである。
ビロードというと、夜の飲み屋、キャバレーやクラブがすぐに思い浮かぶ。それらの壁やソファーなどを思い出す。が、ビロードを広辞苑で引くと、別名ベルベットとあった。ベルベットとなると思い出すのは別にある。
「ベルベットイースター 別れの朝・・・」と始まる歌を思い出す。そして、若かりし頃を思い出す。恋をしていた青春時代を思い出す。口の中が甘酸っぱくなる。
そんな甘酸っぱい名前のついたカメムシがいる。ビロウドサシガメという名。『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「個体数が少ない上に、目につく所へは出現しないため普通には見られない」とあった。そんな滅多に見られない者を、私は職場の庭で発見した。職場の庭を歩いているとき、小さな虫が飛んできて、目の前のコンクリート舗装の上に止まった。それが本種であった。ラッキーだったようである。じっくり写真を撮ることができた。
ところが、300坪の畑を借りて、素人農夫を始めてからその畑で「普通には見られない」本種を毎年何度も見ている。私の畑では普通に見られるカメムシの1つである。
訂正追記:2017.9.8
ビロウドサシガメ(天鵞絨刺亀虫):半翅目の昆虫
サシガメ科 本州以南、南西諸島、台湾などに分布 方言名:不詳
ビロウドは織物のビロードのことで、veludoというポルトガル語、またはvelludoというスペイン語の訛と広辞苑にあった。天鵞絨という漢字も広辞苑にあった。天鵞絨はテンガジュウとも読み、ビロードを指す。鵞はガチョウのことだが、天の鵞が何かは不明。本種の翅の表面がビロードのように見えるからその名がついたと思われるのだが、体長が13ミリ内外と小さいので、写真からは翅がビロードのようなのかどうかについては確認できない。また、ビロードという名前は後から知ったので、発見した時に翅を触ってビロードの感触があるかどうかも確認していない。サシガメは、カメムシ目サシガメ科の昆虫の総称で、他の虫に口吻を刺して吸血するとのこと。
本州、奄美諸島、沖縄島、北大東島、西表島、中国、台湾などに分布する。成虫の出現は4月~11月。寄主は昆虫類。雑草地の地表、林の落葉の中、石の下、樹皮下などに生息し、個体数は少ないとのこと。
記:ガジ丸 2007.11.18 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行