赤くならないピタンガ
去年までほとんど実をつけることの無かった職場のピタンガ(タチバナアデク)に、今年はたくさんの実がついた。私は一ヶ月ほど前にそれに気付き、大きくなるのを見守りつつ、赤くなるのを待ち続けた。ところがその実、緑色から白っぽくなって、鮮やかなオレンジ色にまではなるが、いつまでたっても赤くならない。オレンジ色の時点で、鳥か何かに齧られた跡がついてしまう。「どーゆーこと?」と不思議に思い、調べた。
タチバナアデクと和名がついているのは2種あった。
『沖縄の都市緑化植物図鑑』はピタンガという名に、別名としてタチバナアデクと記されており、『沖縄植物野外活用図鑑』にはタチバナアデクと名があって、括弧の中にピタンガという名が書かれてあった。そして、どちらも学名はEugenia uniflora L.
『沖縄園芸植物大図鑑』はタチバナアデクと名があって、別名にピタンガとあり、これの学名はEugenia michelli Lamarck。
学名Eugenia uniflora L.の果実の色は深紅色で、学名Eugenia pitanga Kiaerskの果実の色はオレンジ色、両者とも大きさは25ミリ内外で、カボチャ型をしている。職場のものは、したがって、後者のEugenia pitanga Kiaerskということになる。
職場のピタンガ、オレンジ色で十分熟しているということだ。もいで、食べた。同僚たちの話では、ピタンガに近い大きさで赤い実のアセローラの方が美味しいとのことであったが、それはアセローラと同じく赤くなる方の、学名Eugenia uniflora L.の実と比べての話である。オレンジ色のピタンガを、同僚の誰も食った経験は無い。
さて、その味、アセローラと比べて、甘みも酸味も少ない。つまり、パンチが効いていない。水分は十分、滴り落ちるほどに含んでいるので、酸味が少ない分食べやすいではある。が、別に食わなくてもいいか、という感じ。香りはあるので、文献で紹介されている通り、ジャムなどに加工すると良いかもしれない。食感はアセローラに似る。
アセローラと比べたが。アセローラはキントラノオ科で、ピタンガはフトモモ科。
→記事(植物としてのピタンガ)
記:ガジ丸 2006.4.21 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行