トゥーナー
職場での私の仕事はほとんどがパソコンによる作業となっている。パソコン作業は目が疲れ、肩がこる。で、1時間に1回は10分ほどの休みを取っている。外に出て、肩を回したり首を回したりのストレッチをやっている。今日(11月1日)、4時半頃の、その日最後のストレッチをやっていたら、見知らぬ女の人二人(残念ながら若くは無い、が、優しそうな顔立ちのお姉さん二人)に声をかけられた。
「あのー、隣のものですが、私たちのところからお宅の裏庭にあるパパイアが見えるんですが、その実がたくさんなっていて、それが収穫されずに、熟してどんどん落ちていくのを見て、勿体無いなあと思って・・・」と言う。彼女らの言っていることの、言葉にしなかった「・・・」の部分の意味が、私にはすぐに解ったので、
「あー、そうですか。向こうは木が茂っていて、こちらからは見えなかったですね。どうぞ、いいですよ。好きなだけ持って行ってください。」と私は、パパイアが私のものでは無いのにも関わらず、勝手にそう応える。しばらくして彼女らは、大きなものはラグビーボール(形がそれに似ている)の1.5倍くらい、小さなものはラグビーボールの半分くらいのもの十数個を2つの籠に入れて、私のもとへ持ってきた。
「たくさん採れました。どうぞみなさんでも分けてください。」と彼女らは勧めるが、
「いやいや、みなの分はいいですよ。私の分だけ1個頂きます。」と私は言い、小さなものを1個だけ取る。事務所には社長、部長に若いMの3人がいたが、3人とも子供の口(カレー、ハンバーグ、焼肉といったものが好き)なので、沖縄の伝統料理パパイアは好まないのだ。よって、あとで文句を言われることは無い。
持ち帰った1個のパパイア、小ぶりとは言っても、メロンほどの大きさはある。その半分をシリシ リーにして、どんぶり1杯の量。炒めて、トゥーナーと魚肉ソーセージを加え、酒、みりん、醤油で味付けしてできあがり。上出来だった。前に作ったパパヤイリチーに比べると数段上。やはりシリシリーにすると柔らかくなり、食感も良く、味も十分染みたのであろう。料理屋で食うものより旨い、と自画自賛する。
倭人には耳慣れないかもしれない言葉が二つある。シリシリーについては「ニンジンシリシリー」に詳しく書いてある。もう1つ、トゥーナーって何?と思う方もいらっしゃるだろう。トゥーナーは英語のTUNA、日本語読みするとツナ。トゥーナーの方がツナより英語の発音に近い。ウチナーンチュはシーチキンのことを60年(確認はしていないが、たぶん、ツナ缶は戦後すぐ、ポークランチョンミートなどとともに米軍によってもたらされた)前から知っており、食べてきた。そして、それをトゥーナーと呼んだ。
記:ガジ丸 2005.11.1 →沖縄の飲食目次