ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オオジョロウグモ

2011年05月06日 | 動物:クモ・その他

 家の外の大きなクモ

 ジョロウグモは漢字で女郎蜘蛛と書く。男としては当然、女郎が気になる。時代劇などを観ているとたびたび耳にする女郎、「岡場所」やら「吉原」とかの女郎、この女郎はつまり、遊女のことで、遊女のような蜘蛛とはいったいどういうことかと気になる。
  女郎には遊女とは別の意味があるかもしれないと思って、改めて広辞苑をひく。別の意味があった。第一義は「身分のある女性」であった。次に「若い女。また、広く女性をいう」で。三番目に「傾城けいせい。遊女」があった。

 そこで、私の興味は女郎からいったん離れる。遊女と併記されている「傾城」とはいったい何ぞや?となる。城を傾けるとは穏やかではない。で、再び広辞苑。
 傾城とは1に「美人」、2に「遊女。近世では、特に太夫を指す。」とあった。城を傾けるのが何故 「美人」なのかについての記載もあった。そのまま引用する。
 漢書「一顧すれば人の城を傾け、再顧すれば人の国を傾く」(美人が色香で城や国を傾け滅ぼす意。)とのこと。一目見ただけで城を傾けるほどの美人ってすごい。
 そんな美人と併記される遊女、遊女はだから、蔑んだ言葉では無いかもしれない。女郎もまた同じで、「魅力的な女性一般」を指すのかもしれない。ジョロウグモの雌は大きくて、体の模様も目立つ。それは「魅力的な女性」といえるかもしれない。

 
 オオジョロウグモ(大女郎蜘蛛):クモ目の節足動物
 コガネグモ科 琉球列島、台湾、インドなど熱帯、亜熱帯各地に分布 方言名:クブ
 女郎というと遊女、しか私は連想しなかったが、念のため広辞苑をみると、遊女の前に「身分のある女性」、「若い女性」などの意味があった。ジョロウグモは黒地に黄色の模様がある。黒と黄色の組み合わせは警戒色であり、よく目立つ。ジョロウグモのジョロウの由来が、容姿に目を惹かれてうっかり触ろうもんなら怪我するよ、ということなら、遊女よりも「身分のある女性」や「若い女性」の方が当てはまるかもしれない。
 本種はジョロウグモよりずっと大きいのでオオ(大)が付く。体長では日本最大のクモとのことで、雌は45ミリ内外もある。雄は小さく、8ミリ内外で、 「成熟した雄は雌の網の中で生活している」らしい。雌に養われているようだ。
 ジョロウグモはあまり見ないが、オオジョロウグモはちょっと田舎へ行けば多くいる。私の住む首里石嶺にもいて、末吉公園でもよく見かける。写真も何枚か撮っているが、それぞれ体の模様が違う。「雌の体色にはいろいろな変異がある」とのこと。
 
 腹側
 
 大きさ

 ジョロウグモ(女郎蜘蛛):クモ目の節足動物 ※写真無し
 コガネグモ科 本州以南、琉球列島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:クブ
 広辞苑には女郎蜘蛛の他、絡新婦という漢字も充てられていた。新婦とは言うまでも無く、結婚したばかりの女性のこと。「絡む」は、蜘蛛なので糸で絡めるということなのだと思うが、絡める相手は獲物だけでは無いようだ。新婦は夫も絡めるようだ。「成熟した雄は雌の網の中で生活している」とのことである。
 絡める雌の体長は20ミリ内外、絡められる雄は8ミリ内外、女性上位ということに疑いは無い。さらに一婦多夫性とのこと。夫たちは妻に養われ、奉仕する。
 その他、「幼体とは成体とでは色彩斑紋がかなり異なる」とのこと。
 「幼体時は雌も雄も同じような色彩をしている」とのこと。

 記:ガジ丸 2010.2.8 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行