ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

アオドウガネ

2013年04月26日 | 動物:昆虫-甲虫目

 臭くて覚えられる

 子供の頃、昆虫が特に好きだったわけでは無いので、虫の名前も知識として私の脳に刻まれたものはごく少ない。チョウについてはモンシロチョウ、モンキチョウ、アゲハチョウ程度は判別できたが、セミは全てセミ、トンボは全てトンボであった。
 チョウの他に判別できたものとしては、バッタの中に頭と尻の尖ったバッタがいて、それはキチキチバッタ(ショウリョウバッタのこと)という名で呼んでいた。もう一種、カナブンの類には金色に輝くカナブン(ツヤハナムグリの類)の他に、形はほぼ一緒だが輝かないものがいることを知っていて、それはクスブ ンという名で呼んでいた。
 クスブンがアオドウガネという和名であることは今回調べて分かったが、クスブンという名の方が覚えやすい。クスは沖縄語で糞とか臭いとかいう意、臭いカナブンということでクスブンだ。実際、クスブンは臭かった。カナブンは手で捕まえることに何の抵抗もなかったが、クスブンを捕まえるのは嫌だった。
 臭いと言えばカメムシも別名ヘッピリムシとあるように臭いものがいるらしいが、カメムシの臭さにやられた経験は無い。じつは、クスブンの臭さも経験が無いかもしれない。どのような匂いか記憶に無い。であるが、「そいつは臭い」と父からも友人達からも何度も聞いていて、想像の臭さが私の頭に刻まれたのかもしれない。

 
 アオドウガネ(青胴金):甲虫目の昆虫
 コガネムシ科 本州から南西諸島に分布 方言名:クスブン
 名前の由来は資料が無く不明。青胴金という漢字も私の推理によるもの。胴金という言葉は広辞苑にあり、「刀の柄・鞘、槍の柄の千段巻の部分などに留め金としてはめた環状の金具」のことだが、それと本種が似ているからということかもしれない。あるいは、それとは全く関係無く、胴体が緑色をしているのでアオドウ(青銅)、コガネムシ科なのでガネ、ということで、アオドウガネということかもしれない。
 危険を感じると腹端から褐色の臭い体液を出すとのこと。方言名のクスブンはそれから来ており、クスは臭いという意の沖縄語、ブンはカナブンのブン、カナブンもコガネムシ科で、見た目よく似ている。
 体長17~26ミリ。成虫の出現は4月から8月。寄主はサトウキビで、幼虫がサトウキビの根を食う。大量に発生してサトウキビを枯らすこともあるらしく、沖縄ではサトウキビの重要害虫となっている。成虫はテリハノブドウなどの葉を食べるとのこと。
 
 翅

 記:2013.4.10 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行