ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

シャカトウ

2011年04月04日 | 飲食:果物・菓子

 お釈迦様の頭

 金曜日の職場がある建物の2階には喫茶店があり、金曜日には概ね顔を出している。そこのお姉さん・・・というと誤解を生むかもしれないので正確に言うと、その喫茶店のママさんはオバーに近いオバサンで、従業員の一人Uさんも同じ歳、もう一人の従業員Tさんは若い、お姉さんと言っても何の問題も無い。しかし、今回言うお姉さんはオバーに近いオバサンであるUさんのこと、「お姉さん」と呼ばないと不機嫌になる。
 そんな話はともかく、そのお姉さんから去年の秋、シャカトウを頂いた。お姉さんからは夏にも果物を頂いている。夏の果物はパッションフルーツ、どちらも自分の庭でできたものとのこと。そんな世話になっているので、不機嫌にさせるわけにはいかない。
      
 さて、シャカトウ、初めて食べたのは十何年も前のこと。知人の庭に生っているのを頂き、その場で食べた。「割って食べる」と聞いて、そのようにする。果実は柔らかく、手で簡単に割れた。半分に割ると、果肉の中には黒い種がいっぱいある。・・・じつは、その辺の事は沖縄の草木『バンレイシ』にあるので、そこから引用する。

  「種は食えますか?」と訊くと、「食えない」と言うので、スイカを食べる時みたいに種ごと口に入れて、ペッ、ペッと吐き出すことにした。がぶっと齧りついて口の中に入れる。甘い。すごく甘い。香りも甘い。果肉はクリーミーで、まるでアイスクリームのような食感。こんな美味しい果物、他にはあるまいと一瞬は思った。であったが、種が多過ぎて、口の中でそれを選り分けるのは面倒な作業であった。しかも、果肉周りの袋が硬く、気になる。袋と種を選り分けて吐き出し、果肉だけを飲み込むのは至難の業であり、そうできるまでに5、6分はかかりそうに思われた。「えーいっ!鬱陶しい」と、果 肉を一口も飲み込まないまま、私は口に入れたものをそのまま吐き出してしまった。

 ということで、私のシャカトウ初体験は、舌で味わうことはできたが、飲み込むまでには至らなかった。さらに、果実の説明文が同記事にあるので引用。

 果実はデコボコした球形。小さな果実がいくつも集まった集合果といわれるもの。小さな果実にある果肉はクリーミーで非常に甘く、香りも高い。しかしながら、小さな果実にはそれぞれ種があるの で、結果、種が多く、また、小さな果実同士の間には膜があって、その膜はクリーミーとははるか遠く、口の中で気になる。
      
 ということで、食べるのが面倒なのは種だけのせいでは無く、膜のせいでもある。で、今回、喫茶店のお姉さんから頂いたシャカトウは、ちょっと食べ方を工夫した。などと改めて言うほどたいした工夫では無い。がぶっと齧りついて大量を口の中に入れるのではなく、少量ずつ食べただけ。少量だと、種をより分けるのにそう面倒は無い。舌で十分味わって、少量ずつだが果肉を飲み込み、そうやって、1個を完食した。
 まあ、甘さは予想通りの甘さ、クリーミーも予想通り、ただ、1個丸ごとの中に食える部分は少なく、それなのに食べるのに時間がかかった。面倒臭がり屋の私としては、果物食うならミカンやバナナの方がずっとマシ、という感想。
  しかし、その甘さは捨て難い。機械か何かで、果肉だけを絞り出して、それを器に入れて、スプーンで掬って食えるようになれば、大人気の果物になれるだろうと思う。

 ちなみに、シャカトーは釈迦頭(しゃかとう)の意。果実が釈迦(仏像)の頭に似ているところからきている。正式な和名はバンレイシと言う。
 また、シャカトウが食べ辛いというのは、私以外にも多くの人が思ったようで、食べやすく品種改良されたアテモヤという果物もある。
      
 バンレイシ(蕃茘枝):果樹
 バンレイシ科の常緑中木 中央アメリカ原産 方言名:シャカトー
 →植物としてのバンレイシ

 記:ガジ丸 2011.1.10 →沖縄の飲食目次