はち切れそうな脳
私の机の上には何やら書いてある紙が、常時数枚ある。気付いたこと、調べなければならないことがいくつも書かれてある。それらのメモは定期的に整理され、済んだことは消され、まだなものは新たな紙に記入され、それが机の上に置かれる。そうやって私の作業は何とかかんとか、少しずつ進んでいっているのである。メモが無ければその進み具合もずっと遅れるであろう。記憶だけには頼っていられない。私の脳は衰えている。
パソコンを購入して2年半になるH、まったく進歩していないわけでは無い。ネットのサイトを見るのは上手になった。であるが、私がいる間、彼がパソコンでやっていることといえばそれだけである。ワードやエクセルを開いたり、HP作成ソフトをいじったりしているのを見たことは無い。メールさえほとんどやらない。彼もまた、自分の脳味噌が衰えていることに気付き、彼の場合は、努力しても無駄、と開き直っている。
2個買って1個しか食えなかった”のまんじゅう”の残りの1個を土産に、先週の土曜日、Hの店へ行った。店には彼の女房のE子と、昔は美人だった、今でもそれなりのAE子がいた。衰えた脳味噌を持った4人でしばしユンタク(おしゃべり)する。
土産の”のまんじゅう”の話から、首里高生のおやつ”山城まんじゅう”の話になり、そして、”やぶれまんじゅう”の話になった。”山城まんじゅう”について、私はそほどの思い出も無く、美味しかったという記憶も無い。が、”やぶれまんじゅう”についてはよく知っている。ケーキの甘さは苦手な私だが、アンコの甘さは好物である。”やぶれまんじゅう”は皮が薄く、その体積のほとんど、9割以上がアンコでできていた。祖母がよく買ってきてくれて、子供の頃から慣れ親しんでいる饅頭であった。
”のまんじゅう”もアンコの量は多い。全体に大きく、皮が厚いので、アンコの比率は5割ほどであろうか。”やぶれまんじゅう”と”のまんじゅう”を見比べていたら、子供の頭と年取った頭みたいだと思った。子供の頭には脳味噌がはち切れそうなほどに詰まっている。衰えた頭は脳が萎縮して、その分皮が厚くなっている。
やぶれまんじゅう、沖縄の食い物かと思っていたが、宮崎や鹿児島など南九州の名産らしい。そういえば、やぶれまんじゅうは和語である。ウチナーグチ(沖縄口)では無い。沖縄のものであれば、パップギ(はち切れる)まんじゅうとかいう名前になろう。
記:ガジ丸 2006.8.30 →沖縄の飲食目次
参考文献
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行