ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

やまぐすくまんじゅう

2011年03月25日 | 飲食:果物・菓子

 高校生の頃、当時の首里高校には校内に売店があり、文房具の他、菓子パンやコーラなどの清涼飲料水も置いてあった。勉学には励まずとも遊びや部活などには一生懸命の少年少女たちは、お腹を空かせるであろうとの学校側の配慮だったに違いない。
 私もまたよくお腹を空かせている少年であった。部活が終わった後に買い食いすることも多くあった。学校の周辺にはいくつも食堂があり、昼休みだけで無く、学校帰りにもよく利用した。沖縄ソバ、冷やしぜんざいなど沖縄の定番メニューの他、コーラと駄菓子という選択肢もあった。今は、そのような食堂は見当たらない。現在の少年少女たちはきっと、我々がやったようなことをコンビニでやっているのだろう。

  首里高校正門から龍潭向け50メートルくらいの場所に饅頭屋さんがあった。私の記憶(あまり確かでは無い)では、2坪くらいの小さな店で、たった一種類の饅頭を、婆さん1人で製造販売していた。古い店で、今もなお続いているらしい。
 饅頭の名は山城(やまぐすくと読む)饅頭で、店の名も山城饅頭。友人たちの中には大好きだという者もいて、一人で5個も6個も食う奴がいたが、私は好きで無かった。

 饅頭シリーズを書こうと思って、ずいぶん前に”やぶれまんじゅう”を食い、最近になって”のまんじゅう”を食い、そして、”山城まんじゅう”を食おうと先日、山城饅頭店まで出かけた。山城饅頭店は閉まっていた。入口に張り紙があった。道路拡幅工事で、今年の2月から休業しているとのこと。再開時期は未定との事。
      
      
 高校の時以来食っておらず、当時の記憶も定かでないので、山城まんじゅうがどういうものだったのか覚えていない。で、山城まんじゅうを紹介するためには、実物を買い、店主にいくつか質問する必要があったのだが、それは不可能ということになった。
 定かでない記憶で言うと、山城まんじゅうは、餡子を薄い皮でくるみ、サンニン(ゲットウ)の葉で包んだもの、薄い緑色、いや、緑色はサンニンの色か、饅頭は薄い茶色だったか、その辺は曖昧。大きさは直径8センチくらい、厚みは1センチくらいの円形。
  中身を餡子と書いたが、漉し餡に何か混ぜたものであった。何を混ぜたものかは不明。ネットで調べると小豆餡と書かれてあるサイトがあったが、友人たちに聞くと、やはり、私と同意見。ケーキの甘さは苦手だが、餡子の甘さは好物であったのにも関わらず、私が山城まんじゅうを好きで無かったのは、何かを混ぜた餡子が好きで無かったのだ。

 私にとってはそんな山城まんじゅう。高校の3年間で3個も食べたかどうかというくらいの山城まんじゅう。であるが、私はそうでも、一般には、山城饅頭は人気が高く、客足が絶えなかったらしい。だから何年も続いているのであろう。山城(やまぐすく)という名前の人が始めたのでこの名があり、100年以上の歴史があるとのこと。
 山城饅頭、私の記憶が正しければその味、食感は”むぎまんじゅう”に似ている。
      
 記:ガジ丸 2006.9.1 →沖縄の飲食目次

 参考文献
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行