一人擬き
『ベニゴマダラヒトリ』の頁で「私は一人が好きである・・・云々」と書いたが、それは、結婚できない、恋人ができないことの言い訳で、本当は寂しがり屋なんだろうと疑う人もいるので、改めて我が身を見つめ直してみた。
結果、私は人が好きである。友人達と飲んでいるのは楽しいし、美女と一緒にいる時間はこの上ない幸福を感じる。ただ、私は束縛されるのが嫌いみたいである。
『ベニゴマダラヒトリ』の頁で「(ベニゴマダラヒトリは)たいてい群れでいる。”ひとりが”好きだからヒトリガ・・・なんてことは無い。」と書いたが、ベニゴマダラヒトリを見たのと同じ場所で、キイロヒトリモドキも見た。こちらもまた、日を置いて2回見た。こちらはしかし、2回とも”ひとりぼっち”であった。
「擬き」を広辞苑で引くと、接尾語として「他の語に付いてその風采・風情に似たように作り立てられている意を表す。」とある。ということなので、「一人擬き」は「一人であるように見せかけている。」となる。ヒトリモドキというガは、ひとりぼっちの振りして本当は一人では無い。実は、近くにいつも恋人がいる。なので、名前をヒトリモドキと言う、ということになる。・・・なんてことでは、じつは無い。
ヒトリモドキのモドキは擬きに相違ないが、ヒトリは「一人」ではなく、「灯」の意味で、灯火に集まる習性を表しているようだ。
キイロヒトリモドキ(黄色灯擬き):鱗翅目の昆虫
ヒトリモドキガ科 九州以南、沖縄、東南アジアなどに分布 方言名:ハベル
名前の由来、資料が無く正確なことは不明だが、翅の色が黄色いのでキイロと付くことは間違いないだろう。ヒトリガに形が似ているのでヒトリモドキとなる、については私の推測であるが、図鑑を見る限りでは両者、似ていると思う。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』には、「昼間に林内で出会う」、「農村では夜間に屋内の灯火に飛来する普通種」などとあったが、私の職場は林でも無く、また夜間の農村でも無いが、本種を数回見ている。鮮やかな色をして、比較的大きいのですぐに目につく。壁に止まったまま、じっと動かないことが多いので写真も撮りやすい。
八重山でのハベルの代表は本種であると『沖縄昆虫野外観察図鑑』にあった。沖縄の方言でいうハベルは、チョウとガを含めているので、チョウといえば、あるいはガといえば本種ということになる。それほどよく知られているらしい。
前翅長31ミリ内外。成虫の出現時期は4月~12月。幼虫の食草はガジュマルなど。
成虫
横から
裏から
記:ガジ丸 2009.5.5 →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行