ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

かるかん/くんぺん/げっぺい

2011年04月02日 | 飲食:果物・菓子

 行事のお菓子3種

 先週の金曜日(7月10日)、金曜日の職場に行くと、従姉と彼女の息子の嫁とが仲良くおしゃべりしているのが聞こえた。この二人、嫁姑のくせに仲が良い。
  嫁は「お母様」(と彼女が言う、様の似合う姑では無いのだが)からステンドグラスを教わっている。従姉の亭主もステンドグラスをやっているので、舅姑嫁はステンドグラス仲間となっている。仲間外れで寂しくないかと、婿のことが心配になる。
 私の母と祖母は、ケンカしているところは見ていないが、仲が良かったようには見えなかった。家のことは全て母が仕切っていた。母は仕事を持っていたので、祖母は、母が働いている間の家事を補助的にやっている程度であった。
 盆正月などの行事の際も、その準備や行事料理作りは主に母がやっていた。祖母よりも母の方が 伝統行事のしきたりに詳しかったようである。
 父の自伝を読むと、それが何故かが解った。母の家は金持ちで、伝統行事もしきたりに則ってできたらしい。父の家は超貧乏で、その日の食い物を得るのに必死で、祖母も朝早くから野菜売りをしていて、伝統行事などやっている暇は無かったみたいである。

 母がしきたりに詳しく、しきたり通りに沖縄の伝統行事をこなしてきたお陰で、子供の頃からそれを見ていた私も、正確にでは無いが、ある程度のことは知っている。
  盆正月には仏壇にウサンミという名の重箱料理と数種類の果物、数種類のお菓子を供える。ウサンミは豚肉、昆布、ゴボウの煮付け、かまぼこ、揚げ豆腐、魚、インゲン、ゴボウなどの天麩羅が入っている。果物はリンゴ、ナシ、バナナなどの他季節のもの。お菓子はかるかん、くんぺん、げっぺい、やぶれ饅頭など沖縄の伝統菓子。

 今回、かるかん、くんぺん、げっぺいを紹介するが、以上の理由から私はそれらの存在を子供の頃から知っている。また、同じ理由から、それらは私にとって行事用の菓子でしかなかった。行事のある時にしょうがなく食うといった程度のもの。子供の頃、それらが美味いとはちっとも思わず、それは大人になってもずっと続いた。
 それがここ数年前から、「なかなかいいんじゃないの」と思うようになっている。沖縄の伝統菓子、味わえば、なかなか深みがある。何より、お茶に合う。

 かるかん(軽羹):蒸し菓子 方言名:カルカン
 広辞苑に軽羹と字があり、「すりおろした山芋に、粳米の粉やそば粉・白砂糖を練り合せて蒸した菓子。鹿児島地方の名産。」とのこと。字は軽い羊羹の意味だと思われる。羊羹は餡、砂糖、小麦粉が原料となるが、カルカンには山芋が入って軽くなる。
 カルカンはいかにもウチナーグチ(沖縄口)にありそうな発音だが、広辞苑には鹿児島地方の特産とある。中国から琉球を経て薩摩へ伝わったものも多いが、その逆のことも当然あったに違いない。カルカンが中国まで行ったかどうかは不明だが。
 沖縄では、ヤマイモ(主にダイジョ)、米粉、砂糖を原料とし、小判型、楕円形などの饅頭になっている。中に芋餡などが入っているものもある。
      
 くんぺん(薫餅):焼き菓子 方言名:クンペン
 クンペンは全国的に有名ではないようで、広辞苑には記載が無い。沖縄ではとても有名なので、『沖縄大百科事典』にちゃんと載っている。「小麦粉・砂糖・卵をこねた生地でゴマ餡を包み、平たい円形にして焼いたもの。」とのこと。
 琉球王朝時代は高級菓子とされたようだが、今では、法事や旧盆などの行事の際に仏前へ捧げられるくらいで、普段「クンペンが食べたい」という人はあまり聞かない。でも、不味いというわけではないので、あれば、私も1個くらいなら喜んで食べる。
      
 げっぺい(月餅):焼き菓子 方言名:ゲッペイ
 広辞苑に月餅と字があり、「中国風の焼き菓子。小麦粉・砂糖・卵・油などをこねた生地で、漉し餡・松の実・ゴマ・レーズン・くるみ・干し柿などを用いた餡を包み、平たい円形にして焼いたもの。中国では中秋節(8月15日)に食べる。」とのこと。
 広辞苑の記事を全文引用したが、それにあるように餡に特徴がある。和菓子ではなかなかお目にかかれない複雑な餡、これがなかなか、こくがあって美味い。
 中秋に食すから月の餅なのか、形が月に似ているからなのか、名前の由来は不明。
      
 記:ガジ丸 2009.7.11 →沖縄の飲食目次