ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

コサギ

2011年12月23日 | 動物:鳥

 オジーのサギ

 ダイサギ、チュウサギ、コサギのように全身が白いサギをまとめてシラサギと言う、と広辞苑にあった。シラサギという種はいないようだ。でも、ダイサギ、チュウサギ、コサギという名前よりもシラサギという名前が、白鷺という漢字と共に馴染み深い。
  ダイサギの項でも書いたが、白鷺というと祖父を想い出す。祖父の好きな泡盛が白鷺という銘柄であったからだ。子供の頃、10セント(当時の沖縄はアメリカドルが通貨)玉を渡され、近くのマチヤグヮー(今のコンビニのようにいろんなものが置いてある店)に白鷺を買いに行ったことをよく覚えている。何度も行っている。
 5、6年前だったか、そんな昔話を叔父とやっていたら、「オジーは白鷺が好きだったわけでは無い、泡盛は他のウイスキーなどに比べずっと安い酒だが、白鷺がその中でも最も安かったからだ。」とのこと。そうか、だから、とても臭かったんだと合点した。

  さて、鳥の方のシラサギの話。ダイサギ、チュウサギ、コサギは図鑑を見る限りとてもよく似ている。ダイサギと思われるものはあちこちで何度も見かけ、もしかしたら、これはチュウサギではないかと、そのたんびに迷っている。自分の撮った写真を図鑑の写真と見比べて「これはダイサギだ」と判断しているのだが、その結果、あちこちで何度も見ているダイサギかチュウサギか迷っていたものは全てダイサギであった。
 コサギは2度、写真を撮った。写真を撮った時点で「これはコサギではないか」と見当がついた。全体に小さかったのと、嘴が黒かったからだ。後で図鑑と照らし合わせてそれが正しい判断であることも判明した。ちなみに、チュウサギはまだ見つけていない。

 
 コサギ(小鷺)
 コウノトリ目サギ科の冬鳥 渡り鳥で沖縄で越冬 方言名:サージャー(サギの総称)
 名前の由来、『動物名の由来』に「サギはしばしば集団繁殖してやかましく騒ぎたてることによる」のではないかとあった。「騒がしいこと」の古語が「さやぎ」といい、それが略されたものではないかとのこと。鳴き声は『沖縄の野鳥』に「グェー、グェー、グッァー、グァーという太い声」とあったので、それは騒がしかろうと想像できる。
 ダイサギやチュウサギとよく似ている。3種とも全身が白いのでまとめてシラサギ(白鷺)とも呼ばれる。本種はダイサギやチュウサギに比べ小さいのでコが付く。
 『沖縄の野鳥』にも「群れでいることが多い」とあったが、吉の浦海岸でも富祖崎海岸も単独だった。騒がしかろう声については、私はまだ聞いたことが無い。
 ダイサギは全長89センチ、それより一回り小さいチュウサギは全長69センチ、さらに一回り小さい本種は全長61センチ。ダイサギとチュウサギのどちらも「冬羽は嘴が黄色くなる」のに対し、本種は夏も冬も黒いままなのが特徴。
 「嘴と足は黒く」は見てすぐに判り、「足指だけが黄色味をおびる」についても運良く足指を上げて見せてくれたので確認できた。また、「夏羽は後頭部に2本の細長い飾り羽がある」のも特徴のようだが、それについては、飾り羽は確認できたが、私には1本にしか見えなかった。「背にも飾り羽があり」ともあったが、それについては未確認。
 沖縄県では冬鳥で、越冬する。河川、干潟、海岸の湿地などを生息場所とし、9月から6月まで見られる。私が見たのは12月と4月、いずれも海岸で。
 
 「足指だけが黄色味をおびる」が撮った写真の1枚で運良く確認できた。

 記:2011.12.7 ガジ丸 →沖縄の動物目次
 追記:2018.6.7
 2018年6月6日、吉の浦公園を散策していたらコサギがいた。「後頭部に2本の細長い飾り羽」の1本が確認できる。「背にも飾り羽があり」はなおも未確認。
 
 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野鳥』沖縄野鳥研究会編、(株)新報出版発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『動物名の由来』中村浩著、東京書籍株式会社発行