ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

親のシワ

2011年12月23日 | ガジ丸通信-社会・生活

 今月の初め、久々に現場に出て、肉体労働をした。現場には、古株のOさんと私の他は社長の息子2人だけ、もう息子以外に手助けしてくれる若者はいなくなったようだ。その息子二人は、Oさんと私のオジサン二人が穴掘りや地均しなどの肉体労働をしている間、傍でぼーっと突っ立っていることが多々あった。社長の息子は労働者と同じような難儀をしてはいけない、などという教育を親から受けているのかもしれない。
 私から見れば「この二人このままじゃいつまでたっても一人前の職人にはなれないぞ、他所の会社に行ったら、一から鍛え直されるぞ」なのだが、Oさんに訊くと「社長から、無理するな、危険なことはするな、なんて言われているそうだ。」とのこと。確かに、ギアの調子が悪いトラッククレーンを子供たちは運転しない。高所での危険作業もOさんだけがやっている。「難儀なこと危険なことから逃げてばかりじゃ、一人前の人間にもなれないぞ、大丈夫か?我が子に対する愛情が間違っていないか?」と私は思った。

 友人Oの息子は、今でこそ一人前の営業マンとなっているが、子供の頃は手のつけられない暴れん坊だった。母親のE子が「ウチクルサリンドヒャー、エナワラバーヒャー」と怒鳴りつけるのを何度も見ている。ウチナーグチ(沖縄口)の専門家ではないので正確では無いかもしれないが、ウチクルサリンは打ち殺してやる、エナワラバーは嫌な童といった意味、ヒャーは侮蔑の意を含む接尾語。酷い言葉だ、罵詈雑言と言っていい。
 ちなみに、そのエナワラバーは幼児の頃、その暴れん坊のせいで通っている保育園から「明日から来ないで欲しい」と退園させられた程のエナワラバー。それがその後、まともに育って行き、今では一人前の仕事人となっている。それを考えると、甘いことが子に対する愛情ではなく、厳しく躾けることが愛情なのかもしれないと思う。

 躾けるのは面倒な仕事だ。私は友人の子供たちに対して怒ったことはほとんど無い。注意することもあまり無い。面倒なことをするほど彼らに愛情を持っていないからであろうと思う。愛情を持って怒る。ガミガミ言う。そうすると疲れる。皺も増える。で、歳を取って行く。親は親の役目を果たして、皺くちゃになって死んでいくということだ。
 親のシワは怒ることだけで増えるのでは無い。心配をウチナーグチ(沖縄口)ではシワと言う。「シワソーンドー」はよく聞く言葉だ。「ぃやー(お前)が(の)ぐとぅ(事)しわ(心配)そーたんどー(してたよ)」などと、祖父母両親が口にしていた。
 親たちは子供のシワをして皺が増える。娘が病に罹るとシワして皺が増える。息子がグレたりすると怒って皺が増え、シワして皺が増える。親業とはまったく大変な仕事なのである。心身ともに健康な子供であればそんなことは無いかもしれないが。

 「娘に腫瘍が見つかって近々手術することになった」と香川県に住む友人Tからメールがあった。その心労がどれくらいかは、それに関連するメールが立て続けに5通も送られてきたことから判る。Tもシワ(心配)で皺が増えたであろう。
 「息子が子持ち女を妊娠させてしまい、結婚することになった。」と友人Yが語った。息子は予備校へは行かず、親に黙って風俗でバイトをし、バイト先の従業員とデキタらしい。怒りとシワでYも皺が増えたであろう。こうやって親たちは老けていく。
          

 記:2011.12.23 島乃ガジ丸

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