ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ネコ

2011年04月21日 | 動物:哺乳類

 近所の猫たち

 恩知らずの猫
 3月下旬、2週続けての週末、焼き魚を酒の肴にした。アジ開き、ブリカマ、タラの粕漬け、鮭の西京漬けなどをベランダの七輪で焼いた。美味しかった。
 使い終わった七輪には、コンロ周りに使う油跳ね用のアルミカバーを2重に被せた。風で飛ばされないようカバーの四隅を折り曲げ、しっかりと被せた。
 先週、翌日仕事だったからたぶん火曜日か水曜日のこと。真夜中、ガシャガシャという大きな音に目が覚めた。音はベランダから聞こえている。七輪を置いてある方向から聞こえてくる。どうやら、ガシャガシャという音は、アルミカバーを叩いたり、ゆすったりしている音のようだ。しかし、ベランダには四方に網が張ってあるので、ベランダの中にはゴキブリも侵入できないようになっている。いったい何?
 目は覚めてはいたが、起きたくはなかったので、音の原因を目ではなく耳で判断することにした。しばらく聞いた。音にはいろんなリズムがあったが、その中で、タンタンタンというリズムがあった。アルミカバーを手で叩いている。音の大きさからするとその手は赤ちゃんよりも小さな手。・・・判った。叩いているのは猫だ。
   七輪の網にへばりついている魚の皮を、きっと猫は狙っているのだ。アルミカバーを剥がして、猫がその目的を達したのかどうか不明だったが、程なくして音は止んだ。
 翌朝、ベランダを確かめた。七輪に被せてあったアルミカバーは少しずれていた。七輪の傍に網があった。網にへばりついていた魚の皮はほとんど消えていた。
 夕方、春菊を収穫しようと畑に入ったらハエがいっぱい。畑のどまんなかに新しい猫の糞。「またか」と思う。近所の野良猫たちは私に何の恨みがあるかしらないが、5区画に分けられた畑のうち、私が担当している2区画にのみ糞を垂れる。あとの3区画は誰も手入れしていなくて、雑草が生えていて、猫のトイレにうってつけだと思うのだが、ほとんど100%、猫の糞は私の畑。週に3、4個はやられている。
 今日の糞は、昨夜、私の睡眠を妨害した猫の仕業ではないかと想像すると腹が立った。私のところから美味しいものを食っておきながら、何で私に臭い思いをさせるのだ!と腹が立った。恩を仇で返されて、泣きっ面に蜂ではないか。まったく。
 
 人家近辺で見られるのはイエネコ(家猫)という家畜のネコ。これはたぶんニホンネコ。
 
 毛色で三毛猫、虎猫、黒猫などと呼ばれる。これは近所のネコ、去年生まれた奴。

 猫の額の脳味噌で
  ベランダには四方に網が張ってあるので、ベランダの中にはゴキブリも侵入できないようになっている。のに、いったい猫はどこからベランダに侵入してきたのだろう。翌日、調べた。進入口はすぐに判った。左側の木枠と床の間に8cmほどの隙間がある。その隙間にも網を張ってはいるのだが、床に面した部分は網を垂らしてあるだけになっている。猫はその網を押しのけて入ってきたのだ。
 細かい目の網なので、ちょっと見にはそこは壁のように見えるはずなのに、猫は猫で、その猫の額のような小さな脳味噌で考えたのだろう。もしかしたら向こうへ行けるかもしれない。向こうには新しい世界が待っているかもしれない。何か美味しいものがあるかもしれない。ここは一つ挑戦してみようと思ったのかもしれない。あっぱれ!
 記:2004.4.9 ガジ丸

 ベランダのイリュージョン
 猫に負けっぱなしでは癪だったので、復讐を計画した。翌々日、8cmの隙間を10mm目の金網で閉じて、七輪で鯖を焼く。猫のもっとも好きそうな匂いが出る。その夜、予想通り猫がやってきた。金網で閉じた個所は、私が寝ているところから約1m。猫が金網を爪で引っ掻いている音がよく聞こえる。5分ほどガリガリして、猫は諦めたようだった。「ざまーみろ」だった。猫に勝ったという良い気分で、安らかな睡眠となった。
 翌日、夕方、仕事から帰って、ベランダに干してあった洗濯物を取り入れようとした時だった。洗濯物の真下に猫が寝ていた。びっくりして思わず声が出た。私のその声に気付いて、猫が振り向く。目が合う。今度は猫がびっくりして飛び跳ねる。全速力で反対側へ走る。そこは昨日金網を張った個所。そこからは抜けられないと判ると猫はまたこちらへ戻ってきた。部屋の中へ入られるのは嫌なので、私はガラス戸を閉じた。
 こちら(右)側の木枠と床の間には1cmほどの隙間しかない。いったい猫はどこから侵入したのか、不思議に思って私は、ガラスの向こうの猫を観ていた。「どこから出るのだろう。どこかに網の破れたところでもあるのだろうか」と考えていた。
 それはまるでイリュージョンだった。さっと猫がベランダから消えた。プリンセス天功もびっくりのイリュージョンだった。私はその奇跡をこの目で確かに見た。
 木枠と床の間の1cmほどの隙間は、正確には、木枠と床は20cmほど空いていて、木枠に20cm幅の杉板を打ち付けて床との隙間を塞いである。その杉板と床の間が1cmとなっている。ところが、杉板とベランダの壁との間には3cmほどの隙間があって、猫はそこから抜け出たのだ。それにしても、たったの3cmなのだ。その3cmから猫が抜け出ていくのをこの目で見ながら、私は不思議の世界を見ているかのような思いだった。猫は軟体動物でもある・・・かもしれないと思ったのだった。あっぱれ!
 記:2004.4.9 ガジ丸

 見事な戦術
 夜から明け方に掛けて、今でもちょくちょく、猫はベランダの近くにやってくる。唯一の進入口だった3cmの隙間も、2cm以上開かないように工夫したので、猫はもうベランダには入れない。悔しがる猫の顔を思い浮かべながら、安らかな睡眠を得る。
 しかし、そんな私に復讐するかのように猫は、畑に糞をする。週に3、4回だったものが、最近は毎日だ。大家が耕した箇所にもやっているが、私の畑のほうが遥かに多い。猫たちは完全に私のことを敵と思っている。とことん嫌がらせをしようとしている。
  猫たちの挑発に乗ってはいけないと、私はその糞を無視することに決めた。畑の糞を嫌がってはいない、と思わせておけば、そのうち、こんなことやっても無駄なようだと思うに違いない。臭い思いをしながら畑仕事をする、という我慢の日々が続いた。
 ある朝、正確にはこの火曜日の朝、「ならば、こんなのはどうだ!」と猫の新しい戦術に引っ掛かった。見事な戦術だった。「敵ながらあっぱれ!」と感じ入ってしまった。
 アパートの駐車場は今、よその車が入らないようロープが張られている。車を出すたんびにそのロープをはずし、車を出した後、ロープを金網に掛ける作業をしている。その金網のところは、当然、私が毎日足を踏み入れる。猫はそれを見ていて知っていた。
 丈の短い雑草が生えていて、それには気付かなかった。車に乗ったとき、臭いことに気付く。どうやら踏んでしまったようだ。確かめに行く。ロープを金網に掛けるために私が立つところにそれは在った。新しい糞には、出来立ての靴底の型がついていた。
 記:2004.4.16 ガジ丸

 近所の猫ども
 
 散歩の途中、こっちに向かって歩いて来た。こっちが止まると、向こうも止まって、しばらく見詰め合う。カメラを構えたら、「そんなヒマ無ぇぜ」とばかりにスタコラ走り去っていった。
 
 散歩の途中。まだ若いネコのようで、好奇心旺盛。カメラを構えると、「何やってんの?オジサン」とこっちをじっと見ていた。
 
 那覇市の公園。首輪をしているので飼い猫と思われるが、「迷子の迷子の子猫ちゃん」なのかもしれない。痩せているのは、しばらく飯を食っていないからかも。
 
 畑に入るところに遭遇。糞をしようと思っていたに違いない。本人は「いやー、ただ、日向ぼっこをしているだけだよ」と何食わぬ顔。最近、もっともよく見る猫。
 
 畑の向こう、隣の敷地からこっちの様子を伺っている。隙あらば畑に忍び込もうと思っていたのか、長いことこっちを見詰めていた。まだ若いネコ。
 
 隣の部屋のベランダ。このネコは古参。私のベランダにもやってくる。ふてぶてしい顔をしている。畑に糞を垂れるのは、主にこのネコと思われる。
 
 職場にも野良猫はいっぱいいる。いっぱいいて子供もいっぱい作る。このネコはまだ若い方。若いネコはすぐには逃げない。「あんた誰?食いもん持っている?」みたいな顔をする。
 
 愛の行為の最中。昼間から露天で、人目もはばからず。この2匹、最近から顔を出すようになった新参者の割りに、古参のネコ(他に3匹ほどいる)どもより威張っている。

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 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行