ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ギンヤンマ

2011年05月09日 | 動物:昆虫-トンボ目

 名前は有名だけど

 トンボと言えば、童謡にある「夕焼け小焼けの赤とんぼ」が先ず浮かぶが、その次に有名なものは、先に紹介したシオカラトンボよりもヤンマトンボの方ではなかろうか。大きなトンボなので少年たちに人気があり、本や雑誌でも多く紹介されている。
  じつは、しかし、ヤンマトンボというトンボはいない。広辞苑によると、ヤンマは「ギンヤンマ・オニヤンマ・カトリヤンマなど、大形トンボの総称。」とある。それでも、(カトリヤンマは知らないが)オニヤンマ、ギンヤンマはその名でまた有名である。虫を知らない私でもそれらの、実物はともかく、名前はよく知っている。
 アパートの畑、近くの原っぱ、職場の庭でもよく見かけるトンボはしかし、オニヤンマでもギンヤンマでも無い。既に紹介済みの、ウスバキトンボ、ハラボソトンボという私にはまたっくの無名トンボたちであった。虫の写真を撮り始めてから約1年。名前が有名なギンヤンマとオニヤンマはずっと発見できずにいたのである。が、先日、職場の庭をやっと訪れてくれた。たった1匹、しかも、その時のたった1回だけ。

 
 ギンヤンマ(銀蜻蜓):トンボ目の昆虫
 ヤンマ科 日本、沖縄、台湾、他に分布 方言名:ダーマー(トンボの総称)
 ヤゴは池や河川の下流部などの流れの緩やかなところに生息する。成虫はそこから大きく移動し、人家周辺にも現れる。ヤンマ科のトンボは大型のものが多い。
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「トンボ釣りの遊びができるヤンマ」とあったが、トンボ釣りという遊びを私は知らない。「雄が雌を交尾のためにつかまえる習性を利用したものである。」と書かれてある。トンボを糸に括りつけて、糸の一方を手に持ってトンボを飛ばしている光景をテレビかマンガかで見たことがある。あのことか。
 腹長47~55ミリ。成虫の出現は2月下旬から12月。

 リュウキュウギンヤンマ(琉球銀蜻蜓):トンボ目の昆虫
 ヤンマ科 琉球列島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:ダーマー
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』によると、ギンヤンマとの違いは「本種の方が大型で、腹部が長い」とあり、他に額の紋が違うともあったが、写真のものがどちらなのか写りも悪いので、私には判別がつかない。本種は人工的環境には少ないとあり、ギンヤンマが人家近くでも良く見かけられるというので、写真のものはギンヤンマとした。
  腹長53~64ミリ。成虫の出現はほぼ周年。

 後日、「トンボ公園」(仮称)でヤゴの抜け殻を発見した。どのトンボか不明だが、4センチほどの大きさだったので、大型のギンヤンマかオニヤンマかもしれない。
 なお、オニヤンマは、上の2種とは科が違う。オニヤンマ科となっている。
 

 記:ガジ丸 2005.10.10 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行