島麦酒
友人のHが、同級生の友人の中ではもっとも早く爺さんになることとなった。彼の長女が妊娠したのであった。結婚もせぬ内から妊娠6ヶ月というそのふしだらを祝うために、先週土曜日(12月17日)、Hの家で飲み会をやった。
飲み会は急な話であったのと、連絡網の不備があって、その夜集まったのは3人。娘とは彼女が生まれた時から親しくしている私と、その次に親しくしている整体師のS、同級生に早や孫ができるというのに、まだ独身のまま(私もそうであるが)でいるK。
SもKも娘が妊娠していることを知らない。じつは、私とK以外にも独身オジサン2人に声をかけていた。独身オジサンを集めて、同級生の子供に子供ができるというショックを与えてやろうというHの魂胆なのであった。「頑張れよ」という意味を込めて。
その夜、ふしだら娘の口からもう一つの報告があった。「一週間前から姓が変わりました」とのこと。ふしだらからの脱却を果たしたわけである。彼女と結婚した相手は、もちろん、彼女のお腹の子の父親でもある。私も何度か会っている。背の高い(180センチくらい)、カッコイイ今時の若者である。仕事もしかっりしている。金持ちでは無いことを除けば申し分の無い相手である。まあ、とにかく、めでたい飲み会となった。
沖縄の12月にしては、記録的な寒さの夜であった。酒は泡盛のお湯割りか日本酒が適していて、ビールなんてお呼びじゃなかったのであるが、私はビールを持参した。選んだビールは島麦酒、倭人にも馴染みのある「オジー自慢の」オリオンビールとした。Hがオジー(爺さん)になるのである。Hの自慢の娘である。さらに、オリオンビールの中でも季節限定商品である「一番桜」という銘柄を選んだ。友人たちの中では一番目の孫が生まれてくるのである。ずっと待ち望んでいた桜の花が咲くような気分なのである。
めでたい席にもっともふさわしい島麦酒で乾杯し、飲み会は楽しく進んで、楽しく終わった。もう、すぐにそれと判る大きなお腹を、オジサンたちに大いに祝福されて、きっと生まれてくる子は「オジー自慢の」元気な孫であろうと確信するのであった。
記:ガジ丸 2005.12.19 →沖縄の飲食目次