見た目は似ていても好みは違う
昆虫は似ているものが多くて、それが何ものであるかを確定するのは難しい、ということは、このHP上で何度も述べているが、ただ、「名が体を現す」ような名前も多くあって、そういったものは判りやすい。ハムシの類も似ているものが多いが、概ね判りやすく名前をつけてある。赤いウリハムシに対し、クロウリハムシは黒く、フタイロウリハムシは赤と黒の二色で、今回紹介するイチモンジハムシは、黒点が一文字に並んでいる。
ある日、友人の家で飲み会があって、そこへ歩いて出かけた。徒歩1時間弱の道のり。梅雨に入る前の5月の爽やかな頃、気持ちの良い散歩となる。
その途中の街路樹にオウゴンガジュマルがあった。低木である。高さは腰の辺り。風を感じながらのんびりと歩いている私は、そこに小さな虫がいるのを目敏く見つけた。クロウリハムシにそっくり。ウリじゃなくガジュマルに付くクロウリハムシもいるのかと、その時は思った。写真を撮り、後日調べる。イチモンジハムシであった。
イチモンジハムシとクロウリハムシ、見た目は良く似ているのだが、その好む食い物は違うようである。クロウリハムシはウリと名にある通りウリ類に付く。イチモンジハムシはガジュマルなどのクワ科植物に付くとのこと。なるほど、ウリ類には付かないからイチモンジハムシにはウリという字が付かないのである。なんと判りやすい。
オキナワイチモンジハムシ(沖縄一文字葉虫):甲虫目の昆虫
ハムシ科 奄美大島以南、琉球列島に分布 方言名:不詳
全体の形状はクロウリハムシに似ている。前胸の背側が黄褐色で、そこに5個の黒斑が一列に並んでいる。そこからイチモンジ(一文字)という名がつく。
体長7~9ミリ。暑さ寒さに弱いのか、あるいは雨が好きなのか、成虫の出現は梅雨時の5月~6月と、秋の長雨の頃である10月~11月。寄主はガジュマル、オオイタビなどのイチジク属の植物。写真は街路樹のオウゴンガジュマルで発見したもの。
イチモンジハムシ(一文字葉虫):甲虫目の昆虫
ハムシ科 本州,四国,九州,対馬に分布
オキナワイチモンジハムシと見た目はほとんど同じ。写真では本種の黒点が少し大きいように思うが、違いはそれだけではあるまい。でも、素人には不明。学名は、
オキナワイチモンジハムシMorphoshaera coerulea
イチモンジハムシMorphosphaera japonica(Hornstedt)とあった。
体長7~8ミリ。成虫の出現は4~10月。寄主はイヌビワ,オオイタビなどクワ科。
記:ガジ丸 2006.7.26 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行