ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オキナワイモサルハムシ

2014年07月11日 | 動物:昆虫-甲虫目

 お前も敵か?

 最近(7月)はあまり見ないが、4月から6月にかけて私の畑で目立つ虫がいた。シマグワの葉に集っていたツツサルハムシと、それより色は地味で小さくもあったが、たくさんという意味で目立っていたイモサルハムシ。もちろん、見てすぐ、これはツツサルハムシである。あれはイモサルハムシである。と判ったわけではない。
  ツツサルハムシは『沖縄昆虫野外観察図鑑』に載っていて、見た目ではオオミドリサルハムシやアカガネサルハムシなどと迷ったが、寄主がクワということから「これはツツサルハムシである」と、素人ながらも判断できた。ところがもう一つの「色は地味で小さくもあったが、たくさん」いる虫、『沖縄昆虫野外観察図鑑』や私がよく参考にしている文献にはこれと似たものが無い。私の畑にこんなにたくさんいるのに、無い。

 図書館であれこれ本を取って、虫の頁をくまなく眺めてやっと、『波照間島の自然』に似 ているのがあった。その名もオキナワイモサルハムシ、別の本にはイモサルハムシが載っていて、これもそっくり。というか、名前にイモが付くことで、「これに違いない」と私は判断した。私の畑にたくさんいた奴、甘藷(サツマイモ)の葉に多くいて、どうやら甘藷の葉を食っているようだった。甘藷の葉上で交尾もしていた。
 あれこれ手にとって何冊目かに手にした『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』にオキナワイモサルハムシが載っていた。それには「食草はサツマイモ、屋久島以南の南西諸島に分布」とあった。で、私の写真のものはこれで間違いないと判断した。

 『学研生物図鑑』にイモサルハムシがあり、「幼虫は甘藷(サツマイモ)の塊茎(人の食用部分)を加害する」とある。「イモを食うのか、お前も農夫の敵か?」と思う。これからイモを掘ったらその痕跡がないかどうか調べてみなきゃいけない。

 
 オキナワイモサルハムシ(沖縄芋さる葉虫):甲虫目の昆虫
 ハムシ科 屋久島以南の南西諸島に分布 方言名:不詳
 沖縄の昆虫を紹介している図鑑に本種は載っていない。『波照間島の自然』に写真があって「ハムシ科、金属の光沢のあるハムシ。グンバイヒルガオなどにつく」とだけあり、大きさ、分布などの詳細は記されていない。図書館の本棚を探し歩いてやっと本種の載っている『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』を見つけた。
 名前の由来について、屋久島以南の南西諸島に分布することからオキナワ、「グンバイヒルガオ、サツマイモなどの葉を食べる」ことからイモ(芋)、ハムシについては広辞苑に葉虫と漢字があり、「成虫・幼虫ともに植物の葉を食害」することからで間違いなかろう。サルについては前にオオミドリサルハムシの項でも「見た目が猿に似ているということはない。木登りが上手なのかもしれない」と書いたが、勉強不足で、未だに不明。
 体長は5~6ミリ。背面は光沢があり、本種は緑銅色。『学研生物図鑑』にはイモサルハムシがあり、それには黒銅色、青藍色、金緑色と変化が多いとあった。ハムシに多くゾウムシでも見られるが、停まっている葉に触れたりすると葉から落下して死んだふりをする習性がある。幼虫は甘藷(サツマイモ)の塊茎(人の食用部分)を加害するとあるが、沖縄ではあまり聞かない。『沖縄園芸大百科』にもその記載は無かった。私の畑では、成虫は甘蔗の葉に多くいて、ノアサガオの葉にもついている。
 イモサルハムシは本州~九州に分布、オキナワイモサルハムシはその名の通り、南西諸島に分布する。成虫の出現、イモサルハムシは5~8月らしいが、オキナワイモサルハムシは、少なくとも私の畑では4月から活動している。
 
 交尾

 記:2014.7.10 ガジ丸 →沖縄の動物目次

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
 『沖縄身近な生き物たち』知念盛俊著、沖縄時事出版発行
 『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
 『いちむし』アクアコーラル企画発行
 『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
 『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行