ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

オジサン5人旅 1、福岡編

2014年02月18日 | ガジ丸の旅日記

 1、オジサン5人、走る

 出発の日、迎えに来てくれるMTが10分遅れた。空港にも予定より10分遅れた。GT、MMは早くに到着、ZYは私たちより少し前、見送りのIさんも既に待っていた。
 私の旅はたいてい木曜日か金曜日に出発するので、搭乗手続きカウンターが混んでいたということは無い。少なくとも自動手続機は空いている。今までに手続に時間がかかったという記憶が、私には無かった。ところが、この日はたくさんの人がカウンター前に並んでいた。うかつだった。連休初日であることを私はまったく考えてなかったのだ。
 なもんで、5人分の搭乗手続きにはえらい時間がかかってしまった。見送りのIさんとコーヒーでも飲みながら、ユンタクでもしようかと予定していたのだが、そんな余裕は無し。ぎりぎりの時間。オジサン5人は走った。4人はバタバタ走り、1人はドタドタ走り、4人は少し汗をかいて、1人はびっしょり汗をかいて、なんとかセーフ。

 2、いいかげんな情報のせいで

 佐世保のUTからのメールに「朝晩は12、3度、寒いので上着が必要」とあったので、ブルゾンをバッグの中に入れておいた。そのブルゾンは、旅の間、一瞬も着ることは無かった。福岡は暑かった。有田も佐世保も長崎も暑かった。4人は汗を滲ませ、1人は汗を滴らせ、旅中を過ごした。長崎の夜は少し肌寒く感じたが、それでもブルゾンを着るほどでは無かった。私の赤いブルゾンは、バッグの中でずっと邪魔者扱いされていた。

 3、オジサン4人半、歩く

  福岡空港から地下鉄に乗り、午後2時前に博多駅に着く。そこから大宰府へ行く予定だったのだが、ブルゾンのこともあり、泡盛を3本も持っている人もいたりして、皆、荷物が多い。で、身軽になるために、先にホテルへ行き、チェックインを済ませる。昼飯にビールを飲んだりして、そんなこんなでのんびりしすぎて、時間が足りなくなって、大宰府観光は中止。博多の街、中洲辺りをオジサン5人、ブラブラすることになった。
 暑い中、早足のGTの後を皆が続く。4人は汗を滲ませ、1人は汗を滴らせ歩く。途中、紅毛碧眼の若い美人にニヤニヤしたり、ヒッチコックの「鳥」を彷彿とさせる鷺の立ち並ぶ姿に驚いたり、博多山笠の山車の大きさに感心したりする。概ね2時間、4人は歩き続ける。残る1人は途中でリタイヤし、帰り道をバスに乗った。
     

 4、お姉さん、暴走する

 博多の夜は、Iさんの友人、Tさんが女将をやっているという「割烹M」で飲み食いすることになっていた。「割烹M」は福岡空港から博多駅とは逆の方向、空港からは車で15分ほど行った所。オジサン5人、空港で待っていると、Tさんが迎えに来てくれた。
 車はオレンジ色の軽貨物。前に1人、後のシートに3人、荷台部分に1人乗せて、Tさんは車を走らせた。山へ登っていくような感じの道、細い道、暗い道を走った。
 「割烹M」ではおいしい料理を食べることができた。酒もまぁまぁの味。ただ、皆には料理よりも、Tさんの気合の入った運転が強く印象に残った。彼女は昔、暴走族だったのではないか、と思われるような運転だった。店の仲居さんから、Tさんは以前、とても大きなオートバイに乗っていた、との情報があった。さもありなん、だった。

 5、MM、せせら笑う

 ホテルに戻って、シャワーを浴びて、10時頃、「屋台へ行かないか?」と皆に声を掛けた。GTとZYは「難儀」という返事だったので、残りの3人で近くの屋台へ行く。
 屋台は4軒、客の多いのが2軒、少ないのが2軒。客の一番多い店は3人座ると窮屈そうだったので、2番目に多い店に入る。主に焼酎を飲む。
 私が頼んだ肴の一つ、牛筋は歯が立たないほど固く、噛んでも噛んでも噛み砕くことができない。不味い店を選んだかなと思ったが、もう一つのモツ煮は美味しかった。何より大将が気さくな感じの人で、楽しく飲めたのが良かった。
 三人それぞれ違う銘柄の焼酎を飲みながら、その焼酎の話になって、MMが「蕎麦焼酎って初めて聞いた」と言うので、「蕎麦焼酎雲海ってあるじゃないかと」と私が応えると、「バッカだなぁ、雲海は芋焼酎だろう。ははは」とせせら笑った。あまりにも自信を持った言いようで、反論しても、へへっと笑われるだけだった。
 しばらくして、「そうだ、大将に聞けば判るだろう」とMMが言い、で、大将に聞いた。気さくな感じの大将は穏やかに「雲海は蕎麦です」と答えた。すると、「あー、芋じゃなかったのか。蕎麦だったのか。それじゃ二人とも間違えていたな、ははは。」とトンチンカンなことを言う。「俺は蕎麦と言ったんだ」と静かに言うと、「あー、そうだったっけ」ととぼけて、「でも、大将が間違えているかもしれない」と往生際が悪い。
 気さくな感じの穏やかな大将は、笑顔を見せながら一升瓶を取り出して、そのラベルを我々に見せてくれた。ラベルは、「蕎麦焼酎雲海」と書いてあった。

 6、愛知からオジサン7人

  オバサングループの旅行は、旅先でよく見かける。いつでもどこでも大声でしゃべって煩いので、よく目立つ。オジサン数人が連れ立って旅をするのは、そうはいないだろうと思っていたら、我々が飲んでいる屋台にオジサン7人が入ってきた。我々より歳は少し上の愛知から来たという7人は、トヨタ自動車に勤めている同僚同士で、年に1回はこの仲間で、こうした旅をしているとのことだった。陽気な人たちで、楽しく話をすることができた。思いがけなく愉快な時間を過ごせた。
 オジサンになっても仲間で旅を楽しむことができるのは、心の余裕に繋がるのかもしれない。今まで楽しいことが一杯あったんだろうな、と彼らの陽気さを見て、思った。
     

 記:ガジ丸 2003.10.18  →ガジ丸の旅日記目次