ヘッピリムシ
前に何かの頁で、「既に600種以上の植物を紹介しているが、記憶力の弱い私はその三分の一も覚えていない。」といった内容のことを書いたが、よーく考えれば、200種以上の植物が記憶できているのは上出来ではないだろうか。私の記憶力はけして弱くはないと思う。中学、高校の頃、英語や社会は苦手で、数学は得意であった。国語だと、漢字の書き取りは苦手であったが、文を読んで理解することは得意であった。つまり私は、理解力が優れ、それに比べたら記憶力は劣る、ということのようだ、たぶん。
なんて自慢話はさておいて、一般に(私の場合だけかもしれないが)植物よりは昆虫の方が覚えやすい。これまでに200種以上の昆虫を紹介しているが、その名前を見て、姿を思い出せるのは7割を超えると思う。
植物より昆虫の方が覚えやすいのは何故かと考えると、おそらく、昆虫にはその体を現す名前が付けられていることが多いからだと思われる。見た目似たようなものが多くいるカメムシでも、オオホシカメムシという名前なら、「大きな星模様のあるカメムシ」とその体の特徴を思い浮かべることができる。
カメムシのことをウチナーグチで何ていうのか知らなかったが、アクアコーラル企画発行の『いちむし』という本が石嶺図書館にあった。それによると、フーと言うらしい。しかし、フーでは体を現していない。食べる麩(ウチナーグチでフーという)にカメムシが似ているとは思えない。むしろ、プーなら解る。プーはウチナーグチで屁のこと。カメムシの多くは臭い。ヤマトゥグチ(倭語)でも別名ヘッピリムシと言う。
オオホシカメムシ(大星亀虫):半翅目の昆虫
オオホシカメムシ科 本州~南西諸島、台湾、東南アジアなどに分布 方言名:フー
前翅に大きな丸い黒色紋がある。黒い丸紋を星に見立ててホシとつく、のはおそらく間違いない。星紋のある大きなカメムシなのか、大きな星紋があるカメムシなのかについては、資料が無く、不明。カメムシの仲間では体が特に大きいということは無い。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「年中灯火に飛来するが、5月から2月頃にかけて多い」とあったが、私が見たのは8月の炎天下。
また、「平地の林では稀で、山地やその麓で見られる」ともあったが、私が見たのは、どちらかというと平地の林に近い嘉数高台公園。「個体数はそう多くなく」とあり、確かに、あまり見ない。私もその時の一度だけ。
体長は15~19ミリ内外。宿主はミカン類。成虫の出現は周年。
子虫1
子虫2
記:ガジ丸 2009.10.24 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行