ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ブドウスカシクロバ

2011年11月03日 | 動物:昆虫-鱗翅目(チョウ・ガ)

 告別式のようなパーティー

 もう10年以上も前のことになるが、3年間ばかり太極拳を習っていた。週1回2時間ほどの修行は、30分も経たないうちに汗が滴り落ちるほどの運動ではあったが、先生がまだ若い(三十ちょい)、独身の美女だったので、私には楽しい時間であった。
 その太極拳のサークルは、女性10人、男性5人ほどいて、20代から50代と年代は幅広かったが、メンバー同士の仲は良好であった。柔らかな雰囲気で、私もすぐに馴染んだ。太極拳の時間が楽しかったのは、先生が美人だからだけでは無かったのである。
 私が入会した年、年末に忘年会をやった。年末のことで、男性陣はいろいろ付き合いがあるみたいで、参加者は私を含めて2人だけ。女性陣はほとんどが参加した。
 忘年会を英語にするとa year end partyとなる。忘年会もつまりはパーティーということなのだが、パーティーには礼服を着なければならない、・・・などと思っているのか、出席した女性陣の全てが黒い服を着てきた。我々のテーブルが黒くなった。見た目は何だかまるで、告別式のようなパーティーであった。ちなみに私は、いつものジーンズにブルゾンという格好、もう一人の男性はノーネクタイのスーツであった。
 美人の先生もまた黒い服。彼女のは胸元が少し透けた黒いドレス。想像力、というか、妄想力の逞しい私は、それを眺めながらあらぬことを妄想する。その妄想を打ち消すのに必死で、先生とゆっくり話をするなんてできなかった。

 名前はもちろん、写真を撮って、調べてから判ったブドウスカシクロバ。その写真を拡大して見た時、10年前の美人の胸元を思い出してしまった。そうそう、こんな感じの、色っぽい黒服だった。「私に惚れてよ」と言っているみたいな服。

 ブドウスカシクロバ(葡萄透かし黒羽):鱗翅目の昆虫
 マダラガ科 日本、沖縄、シベリア、中国、インドに分布 方言名:ハベル
 スカシは透かしで、翅が透けているところから。クロは翅の線や体が黒いところから。バは翅のこと。ブドウは、幼虫の食草がブドウ科の植物だから。
 日中活動性で、山地や平地の林周辺に出現する。沖縄に葡萄農家は少ないので、あまり聞かないが、本土では葡萄の害虫として知られているらしい。
 前翅長14ミリ内外。成虫の出現は4月と文献にあったが、写真は3月初めのもの。ここにも地球温暖化の影響が出ているのかも。幼虫の食草はエビヅル。
 
 成虫   

 記:ガジ丸 2006.5.29  →沖縄の動物目次 →蝶蛾アルバム

 参考文献
 『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行