ガジ丸が想う沖縄

沖縄の動物、植物、あれこれを紹介します。

ボロボロになるまで

2008年08月22日 | 通信-社会・生活

 8月16日、午後2時前、出かける。末吉公園の散策、図書館、スーパーへ買い物。
 空いているであろうと予想して、その時間に出かけた。夏の甲子園で沖縄の浦添商業が試合をしている時間だからだ。そんな時、ウチナーンチュの多くは外に出ない。と思ったのだが、末吉公園には虫取りの子供達が多くいて、図書館もスーパーもいつも通りの混み具合であった。家に帰ってから、浦添商業の試合は明日であることを知る。
 私はスポーツ観戦にあまり情熱を持たない。プロボクシングのタイトルマッチをたまにテレビで観るくらいだ。プロ野球も大相撲もテニスもゴルフもサッカーもK1などもほとんど観ない。明日の浦添商業の試合も、NHKなら画面がざらつくので当然観ないが、民放でやったとしてもたぶん観ない。じつは、オリンピックもほとんど観なかった。
 そんな私のことを非県民とか非国民とか友人は言うが、試合の結果をニュースやワイドショーで知って、沖縄の高校が勝っていたら嬉しいし、日本の選手が金メダルを取っていたら嬉しい。試合そのものを時間をかけて観ることにあまり興味が無いだけだ。

  応援するチームが無いのでプロ野球にもサッカーにも関心が無く、応援する相撲取りがいないので大相撲にも関心が無い。ただ、プロ野球について言えば、20年ほど前まではたびたびテレビの実況中継を観ていた。アンチジャイアンツだった。
 現在はもう無関心となっている。どこのチームが勝っても負けてもどうでもいい気分なので、野球のテレビ中継にもスポーツニュースでの試合結果にもほとんど興味が無い。ただし、20年ほど前までは多少の関心はあったので、その頃の選手の何人かについては、今でも多少の興味がある。元西武の清原とか、元巨人の桑田などである。
 桑田は既に今年引退したが、清原もどうやら今シーズン限りのようである。打たれる桑田、打てない清原は見るに忍びない。現役卒業は仕方の無いことであろう。でも、これまでよくやったと思う。二人ともボロボロになるまで戦ったのだ。拍手を送りたい。
 二人と同年代の野球選手でもう一人、「ボロボロになるまで戦った」の代表選手みたいな人がいる。野茂英雄投手。引退会見の時の「悔いが残る」という彼の言葉に、まだやり足りないけど、矢尽き、刀折れとなってしまったんだなと思って、少々胸が熱くなってしまった。「ボロボロになるまで戦った」人に私は、「男」を感じてしまう。

 話は飛ぶ。私の愛する詩人、山之口獏の作品に『歯車』というのがある。

 靴にありついて ほっとしたかとおもうと ずぼんがぼろになっているのだ
 ずぼんにありついて ほっとしたかとおもうと 上衣がぼろになっているのだ
 上衣にありついて ほっとしたかとおもうと もとに戻ってまた
 ぼろ靴をひきずって 靴を探し廻っているのだ
 
 私は山之口獏ほど(実際どうだったかは知らないので、たぶん)貧乏では無いが、靴はボロになるまで履き続ける。ズボンも穴が開くまで穿き続ける。シャツやパンツ、靴下なども同様である。ということで、私も「ボロボロになるまで」というタイプである。そこに男を感じて、「素敵!」と叫んでくれる女はいないだろうか?「結婚して!」と抱きついてくる女はいないだろうか?・・・いないだろうな。「貧乏臭っ!」だろうな。
          
          
          

 記:2008.8.22 島乃ガジ丸


瓦版068 大切な社会勉強

2008年08月22日 | ユクレー瓦版

 いつもの週末、いつものユクレー屋、顔を出すとニュースが一つあった。ユーナが明日帰るらしい。少女は、普通の社会に帰って青春することを決意したらしい。
 「青春するって、具体的にはどういうことなの?」と訊いた。
 「はっせ、決まってるだろが、恋愛ということだ。肝心の相手がいないらしいからな、先ずは相手探しからってことだ。」とケダマンが答えた。

 実は昨日、いつものカウンターのメンバーでこんな話があった。
 ユーナは今年の春、大学生になった。オキナワの大学に通っている。ジラースーの家を出て、大学の近くのアパートで一人暮らしをしている。ジラースーの家からバスで2時間ほどかかるのと、アルバイトをしていることもあって、そう頻繁には実家(戸籍上はジラースーの家、心情的にはウフオバーの家)へ帰ることは無い。ただ、長い休みがあると必ず、ジラースー、及びウフオバーの元へ戻ってくる。ということで、
 「だけど、ユーナ、勉強して、アルバイトして、夏休みは島に帰ってきて、ってことをやってたらさ、友達付き合いができないし、恋人もできないだろ?」(私)
 「アルバイトは必要なの?ジラースーから生活費を貰っているんだよね、それだけでは足りないの?」(マナ)
 「ううん、日常は足りてるよ。贅沢しなければ十分だよ。」
 「大学生ともなると、いろいろと金が必要なんだな。」(ケダ)
 「そんなこともないけどね。バイトは社会勉強の意味も含んでいるのさ。」
 「アルバイトで遊ぶ時間も無いなら、社会勉強も片手落ちと思うけど。」(私)
 「片手落ちって?」
 「遊びも社会勉強ってことだぜ。」(ケダ)
 「遊ぶ時間はあるよ。私のやっているバイトはコンビニの店員でさ、一日4時間で、週1日は休み、しかも週末は午前中なんだ。遊ぶ時間は作れるさあ。」
 「ふーん、それで、週末はどんなことして過ごしてるの?」(私)
 「うん、でも、部屋の掃除したり、図書館行ったりが多いかな。」
 「カラオケ行ったり、海水浴行ったり、合コンとかするんだろ、青春は?」(ケダ)
 「ユーナはそういうのやらないの?」(私)
 「海水浴は無いけど、カラオケはあるよ。クラスの友達と。」
 「合コンは無いのか?」(ケダ)
 「うん、誘われたことはあるけど、行ったことは無い。」
 「何でだ?恋人探しの近道じゃ無ぇか。」(ケダ)
 「うーん、何かねぇ、構えてしまうっていうかねぇ。」
 「男と話ができないってっか?」(ケダ)
 「そんなことないよ。学校では男子と普通に話もしてるよ。カラオケなんかは男子も一緒だし、その時も普通にはしゃいでいるよ。でも、合コンだとさ、緊張して、いつもの調子が出ないんじゃないかって思ってしまうのさあ。」
 「そうだな、ユーナはここで育っているからね、男慣れしてないんだね。」(私)
 「だな、野獣の男に慣れてないんだな。二十歳前後の男の欲望なんてのはほとんど野獣だからな。慣れていないユーナに突然の野獣はちょっときついかもな。」(ケダ)
 「野獣なんだ、男は・・・。」と少し沈み加減のユーナをマナが元気付ける。
 「ユーナ、安心しな。野獣剥き出しの男は少ないよ、ここに一人いるけどね。私は思うけどさ、最も大切な社会勉強は恋愛だと思うよ。」

 以上のような話が昨夜あって、で、今日の、ユーナの、
 「よーしっ、合コン、行ってやるぞ!」宣言となったみたいである。

  「明日帰るって言ったって、もうすぐ夏休みも終わりじゃないの?」(私)
 「大学は9月まで休みさあ、まだたっぷりあるよ。」
 「帰ったら合コン三昧というわけだな。」(ケダ)
 「そんな都合良く合コンがあるわきゃないよ。先ずはアルバイトさあ、秋の合コンシーズンに向けて、合コン資金を稼ぐのさ。」
     

 と、ここで、ウフオバーが台所から出てきた。
 「はい、ユーナ。」と言って、封筒をユーナに手渡した。
 「なに?これ。」
 「アルバイト代さあ、いつも只働きだったけどね、今回は出すさあ。」
 「アルバイト代って、いいよオバー、私、ここの子供なんだから。」
 「ホントはね、アルバイト代っていうほどは入って無いさあ。小遣い程度さあ。よくは知らないけどね、コンビニの時給の四分の一も無いはずよー。」
 「貰っとけば、オバーの愛情だよ。」(マナ)
 「うん、ありがとう、オバー。」とユーナはオバーに抱きつく。美しい光景だ。私の傍でケダマンがつまらなそうな顔をしている。彼はこういった心温まる話は好まない。しかもその後、ガジ丸がやってきてユーナに唄をプレゼントした。七夕の日にユーナと話したことが唄になったとのこと。長い間愛し合って生きてきた老夫婦の唄とのこと。あまーい唄だった。あまーい唄の嫌いなケダマンは、益々不機嫌になった。

 記:ゑんちゅ小僧 2008.8.22 →音楽(頭上の河)