Latin for Beginners_2490

【本文】
Hīs rēbus commōtus Pūblius vestem Gallicam induit nē ā Gallīs caperētur, et ita per hostium cōpiās incolumis ad castra pervenīre potuit.

【新出ラテン語句】
Gallicus induō

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Hīs rēbus commōtus Pūblius vestem Gallicam induit nē ā Gallīs caperētur, et ita per hostium cōpiās incolumis ad castra pervenīre potuit.
(訳)
 プブリウスは、これらのことに駆り立てられて、ガリア人に捕まえられないように、ガリア人の衣服を身に着けて、そのようにして敵の軍勢の間を通って無事に陣営に到着することができた。
(解説)
 hīs rēbus は commōtus に係る手段の奪格と解し、「これらのことに(よって)」と訳してみました。
 commōtus は Pūblius に係っていますが、ここでは、叙述的に「(プブリウスは)駆り立てられて」と訳してみました。
 commōtus の訳し方が難しいですが、ここでは「駆り立てられて」と訳してみました。前回読んだような、ローマ軍がガリア人に包囲されて、ローマ軍の陣営に通じる道も閉鎖されているという困難な状況に刺激され、突き動かされ、発奮したといった趣旨でしょうか。
 induō(着る)は現在語幹と完了語幹が同じ語形ですので、induit は現在形とも完了形とも解することができますが、ここでは、caperētur が未完了過去形になっていること、potuit が完了形になっていることから、完了形と解しました。
 nē +接続法は、ここでは「~しないように」という否定の目的を表しています(Latin for Beginners_1504, 1507 参照)。本文では受動相の caperētur が nē 節の接続法です。また、この節の主語は Pūblius です。
 ā +奪格“行為者の奪格”です(Latin for Beginners_585, 586 参照)。
 ita は「そのようにして」と訳してみました。
 per hostium cōpiās の訳が難しいですが、ここでは「敵の軍勢の間を通って、敵の軍勢を突っ切って」と訳してみました。なお、この句の語順は“P→G→N”になっています(Latin for Beginners_396 参照)。
 incolumis は、主語「プブリウス」を修飾する形容詞ですが、ここでは副詞的に「無事に」と訳してみました(Latin for Beginners_2292 参照)。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2489

【本文】
Prīmō autem veritus est ut(12) castrīs Rōmānīs adpropinquāre posset, quod Gallī, maximīs cōpiīs coāctīs, Rōmānōs obsidēbant et viās omnīs iam clauserant.

(12) ut, how translated here ?  See §501. 42.

【訳文】
Prīmō autem veritus est ut(12) castrīs Rōmānīs adpropinquāre posset, quod Gallī, maximīs cōpiīs coāctīs, Rōmānōs obsidēbant et viās omnīs iam clauserant.

(12) ut ここではどのように訳されるか。§501. 42 参照。

【新出ラテン語句】
claudō obsideō

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Prīmō autem veritus est ut castrīs Rōmānīs adpropinquāre posset, quod Gallī, maximīs cōpiīs coāctīs, Rōmānōs obsidēbant et viās omnīs iam clauserant.
(訳)
 しかし、最初は、彼は、ローマ軍の陣営に近づくことができないのではないかと心配した。なぜなら、ガリア人たちは、非常に大きな軍勢を集めた後、ローマ軍を包囲して、すでに全ての道を閉ざしてしまっていたからである。
(解説)
 prīmō は「初めは、最初は」の意味の副詞です。他方、prīmum は「まず、最初に、第一に」の意味の副詞です(Latin for Beginners_1336 参照)。
 autem には様々な意味がありますが、ここでは「しかし」と訳してみました。この接続詞は、通例、文頭には置かれません。
 vereor ut +接続法は、「~しないのではないかと恐れる」の意味です。“恐れの動詞”を用いた表現です。この接続詞 ut は「~しないのではないかと」と訳されます(Latin for Beginners_1597, 1599, 1601, 1605 参照)。注(12)の§501. 42 は、恐れの動詞の後に来る接続法について説明していますが、後日読むことにします。
 veritus est は形式所相動詞 vereor(恐れる)の直説法3人称単数完了形(男性形)です。ここでは「心配した」と訳してみました。
 与格+ adpropinquōは「~に近づく」の意味です(Latin for Beginners_591 参照)。
 posset は possum(~できる)の接続法3人称単数未完了過去形ですLatin for Beginners_1595 参照)。主節の動詞との時制の一致により未完了過去形になっています(Latin for Beginners_1537 参照)
 maximīs cōpiīs coāctīs は“絶対的奪格”です(Latin for Beginners_1691, 1693 参照)。coāctīs は cōgō の完了受動分詞・複数奪格女性形です。cōgō にはいろいろな意味がありますが、ここでは「集める」の意味に解してみました。この絶対的奪格を直訳すると「非常に大きな軍勢が集められた後」などとなりますが、ここでは能動的に訳してみました。
 Rōmānōs は「ローマ軍を」と訳してみました。
 obsideō は「包囲する」の意味です。この語は「オプスィデオー」と発音されると思われます(Latin for Beginners_97 参照)。
 clauserant は claudō(閉じる)の直説法能動相3人称複数過去完了形です。ここでは「閉ざしてしまっていた」と訳してみました。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2488

【本文】
Hīs summā difficultāte superātīs, tandem Gallōrum in fīnibus erat.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Hīs summā difficultāte superātīs, tandem Gallōrum in fīnibus erat.
(訳)
 非常に苦労してこれらを越えた後、彼はついにガリア人の国土に至った。
(解説)
 hīs ... superātīs は“絶対的奪格”です(Latin for Beginners_1691, 1693 参照)。直訳すると「これらが ... 越えられた後」等となりますが、ここでは能動的に「... これらを越えた後」と訳してみました。hīs は前回読んだ「アルプス山脈」を指していると思われます。Alpēs を受けていれば女性形、同格の montēs を受けていれば男性形になりますが、いずれにしても複数奪格は hīs です。
 summā difficultāte は様態の奪格で、前置詞 cum が省略されています。直訳すれば「最高の困難を伴って」等となりますが、ここでは「非常に苦労して」と訳してみました(Latin for Beginners_2277 参照)。
 tandem は「ついに、とうとう」の意味の副詞です。
 Gallōrum(ガリア人たちの)は、in を挟んで fīnibus に係っています。
 fīnis は複数形で「国土、領域」の意味になります。
 erat は「いた」ですが、ここでは「至った」と訳してみました。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2487

【本文】
Quārtō diē postquam iter ingressus est, ad Alpīs, montīs altissimōs, pervēnit.

【新出ラテン語句】
Alpēs

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Quārtō diē postquam iter ingressus est, ad Alpīs, montīs altissimōs, pervēnit.
(訳)
 彼は道を進んだ後、4日目に、非常に高い山々であるアルプス山脈に到着した。
(解説)
 quārtō diē は時の奪格です。直訳すると「4番目の日に」となりますが、ここでは「4日目に」と訳してみました。diēs(日)は男性名詞として扱われています。
 ingressus est は形式所相動詞 ingredior(入る;進む)の直説法3人称単数完了形(男性形)です。iter ingressus est の訳が難しいですが、iter は中性名詞ですので、この動詞の主語にはなっていません。そこで、iter は対格で ingredior の目的語になっているものと解し、「道を進んだ」と訳してみました。
 Alpīs(アルプス山脈)と montīs altissimōs(非常に高い山々)は同格(対格)です。2つの第3変化名詞の対格の語尾は、ここでは、いずれも -īs となっています。
 ad +対格 perveniōは、「~に到着する」と訳してみました(Latin for Beginners_2287 参照)。

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Latin for Beginners_2486

【本文】
Neque Pūblius recūsāvit, et, multīs amīcīs ad portam urbis prōsequentibus, ad Caesaris castra profectus est.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Neque Pūblius recūsāvit, et, multīs amīcīs ad portam urbis prōsequentibus, ad Caesaris castra profectus est.
(訳)
 そして、プブリウスは拒否せず、多くの友人たちが都市の門まで随行しつつ、彼はカエサルの陣営へと出発した。
(解説)
 neque は、「そして、~ない」と訳してみました。
 multīs amīcīs ... prōsequentibus は“絶対的奪格”です(Latin for Beginners_1691, 1693 参照)。
 prōsequor は「随行する、付き添う」の意味の形式所相動詞です。prōsequentibus は、その現在分詞・複数奪格男性形です。形式所相動詞の現在分詞は能動の意味を表します(Latin for Beginners_1640 参照)。そこで、この絶対的奪格は「多くの友人たちが ... 随行しつつ」と訳してみました。なお、「随行する、付き添う」には、dēdūcō もありました(Latin for Beginners_2474 参照)。
 ad portam urbis(都市の門まで)は、“P→G→N”ではなく“P→N→G”の語順になっています。
 他方、ad Caesaris castra(カエサルの陣営へと)の方は、“P→G→N”の語順になっています(Latin for Beginners_396 参照)。
 profectus est は形式所相動詞 proficīscor(出発する)の直説法3人称単数完了形(男性形)です。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2485

【本文】
Ille Pūblium crēbrīs litterīs vehementer hortābātur (11)ut iter in Galliam faceret.

(11) ut ... faceret, §501. 41.

【訳文】
Ille Pūblium crēbrīs litterīs vehementer hortābātur (11)ut iter in Galliam faceret.

(11) ut ... faceret §501. 41 参照。

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Ille Pūblium crēbrīs litterīs vehementer hortābātur ut iter in Galliam faceret.
(訳)
 彼は頻繁な手紙で、ガリアへ旅をするようプブリウスを熱烈に促していた。
(解説)
 ille は「彼」と訳しました。前回読んだ「プブリウスのある友人」のことと思われます。
 crēbrīs litterīs は手段の奪格です。littera は複数形で用いられており、「手紙」の意味に解してみました。「頻繁に手紙を送って」等と訳してもよいかと思われます。
 vehementer は「熱烈に」の意味の副詞です。
 hortor(+対格)+ ut +接続法は、「~に ... するよう促す、... するよう ~ を促す」の意味です(Latin for Beginners_1570, 1576, 1662 参照)。この ut 節は“目的の名詞節”です(Latin for Beginners_1568 参照)。注(11)の§501. 41 は目的の名詞節について説明していますが、後日読むことにします。
 ut 節の接続法の動詞 faceret の主語は「プブリウス」で、また、時制の一致により未完了過去形になっています。
 iter faciō は「旅行する;行軍する」の意味ですが、ここでは「旅行する」の意味に解してみました。旅の行き先は in Galliam ですので、「ガリアへ」です。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2484

【本文】
Atque in exercitū eius plūrēs adulēscentēs mīlitābant, apud quōs erat amīcus quīdam Pūblī.

【新出ラテン語句】
mīlitō

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Atque in exercitū eius plūrēs adulēscentēs mīlitābant, apud quōs erat amīcus quīdam Pūblī.
(訳)
 そして、かなり多くの青年たちが彼の軍隊で軍務に服していたが、彼らの中にプブリウスのある友人がいた。
(解説)
 atque は「そして、その上」等の意味の接続詞です。
 in exercitū eius(彼の軍隊で)の語順は、“P→G→N”ではなく、ここでは“P→N→G”となっています。
 multī,-ae,-a(多数の)の比較級 plūrēs は、ここでは「かなり多くの」と訳してみました(Latin for Beginners_1215 参照)。
 関係代名詞 quōs の先行詞は、plūrēs adulēscentēs と思われます。関係代名詞節の前にコンマが付いていますので、非制限用法(継続用法)で用いられており、「~だが、彼らの中に ...」と訳してみました。
 apud は対格の語を取る前置詞で、「~の中に」の意味です。
 erat amīcus は、「友人がいた」と訳してみました(Latin for Beginners_1778 参照)。
 quīdam は不定形容詞で、「ある~」の意味です(Latin for Beginners_1156 参照)。
 Pūblī は Pūblius の(単数)属格です(Latin for Beginners_308 参照)。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_2483

【本文】
(10)Paucīs ante annīs C. Iūlius Caesar, ducum Rōmānōrum maximus, cōnsul creātus erat et hōc tempore in Galliā bellum grave gerēbat.

(10) Paucīs ante annīs, a few years before; in Latin, before by a few years, ante being an adverb and annīs abl. of degree of difference.

【語句】
degree:程度

【訳文】
(10)Paucīs ante annīs C. Iūlius Caesar, ducum Rōmānōrum maximus, cōnsul creātus erat et hōc tempore in Galliā bellum grave gerēbat.

(10) Paucīs ante annīs 「2,3年前に」;ラテン語では「2,3年分だけ以前に」という。ante は副詞であり、annīs は差異の程度の奪格である。

【新出ラテン語句】
C.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

Paucīs ante annīs C. Iūlius Caesar, ducum Rōmānōrum maximus, cōnsul creātus erat et hōc tempore in Galliā bellum grave gerēbat.
(訳)
 2,3年前に、ローマの将軍たちの中で最も偉大な人物であるガイウス・ユリウス・カエサルは執政官に選出されていたが、この時には、彼はガリアで厳しい戦争を行っていた。
(解説)
 paucīs ante annīs は、注(10)がなかったら、解釈が難しい表現です。ante を前置詞と解すると、対格の語を取りますが、paucīs annīs は奪格ですので、格が合いません。実はこの ante は、ここでは「前に、以前に」の意味の副詞として用いられているそうです。そして、奪格 paucīs annīs は、どのくらい以前なのかを表す差異の程度の奪格だそうです。なお、「程度」は、第56課Latin for Beginners_1294 以下参照)では measure が用いられていましたが、注(10)では degree が用いられています。
 paucus は「少ない、わずかの」の意味ですが、注(10)では a few(少しの、多少の、2,3の)と訳されています。
 C. Iūlius Caesar と maximus は同格(主格)です。maximus は形容詞ですが、ここでは名詞として「最も偉大な男」の意味で用いられているものと解してみました。C. は Gāius(ガイウス)の略語です。G ではありませんので、御注意願います。
 dux(将軍、指導者)の複数属格 ducum は“部分属格”であると解し、「将軍たちの中で」と訳してみました(Latin for Beginners_1378, 1379 参照)。
 cōnsul creātus erat は、「執政官に選出されていた」と訳してみました。creō(選ぶ、選出する)は“2つの対格”を取る動詞ですが、受動相で用いられるときは、2つの対格は2つの主格になります(Latin for Beginners_1773, 1775, 1776, 1777 参照)。
 creātus erat と過去完了形になっているのは、カエサルがガリアで戦争を行っていた過去の時点よりもさらに2,3年前の時点の動作、行為を表しているためと思われます。
 hōc tempore は時の奪格です。
 bellum gerō は「戦争を行う」の意味の慣用表現です。gravis,-e は、ここでは「厳しい」と訳してみました。

-初学者のためのラテン語-

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