Latin for Beginners_1983

【本文】
9. Impedīmentīs in ūnum locum conlātīs, aliquī mīlitum flūmen quod nōn longē aberat trānsiērunt.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

9. 荷物が一か所に集められた後〔荷物を一か所に集めた後〕、兵士たちのうちのある者たちは、遠く離れてはいない河を渡った。
(解説)
 impedīmentīs ... conlātīs“絶対的奪格”の構文です。動詞は完了受動分詞ですので、「~された後に」と訳してみました(Latin for Beginners_1693, 1691 参照)が、〔 〕内のように能動の意味に訳した方が自然かと思われます。
 impedīmenta は複数形で用いられて「荷物」の意味になります(語彙の impedīmentum の項参照)。また、conlātus は cōnferō(運び集める、集める)の完了受動分詞です(Latin for Beginners_1951 参照)。
 aliquī は不定代名詞 aliquis,-quid(ある人、ある物)の複数主格男性形です(Latin for Beginners_1153, 1154 参照)。
 mīlitum は aliquī に係る“部分属格”と思われます(Latin for Beginners_1378, 1379, 1380 参照)。ここでは「兵士たちのうちの」と訳してみました。
 quod ... aberat は flūmen(河)を修飾する関係代名詞節です。aberat は absum(離れている)の直説法3人称単数未完了過去形です(Latin for Beginners_694 参照)。未完了過去形になっているのは主節の動詞との時制の一致によるものでしょうか。
 trānsiērunt は trānseō(渡る、横切る)の直説法3人称複数完了形です(Latin for Beginners_1896 参照)。flūmen はこの語の目的語です。

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Latin for Beginners_1982

【本文】
8. Hostēs sciēbant Rōmānōs frūmentō egēre et hanc rem Caesarī summum perīculum adlātūram esse.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

8. 敵は、ローマ人には穀物が不足しており、このことがカエサルに最大の危機をもたらすだろうことを知っていた。
(解説)
 sciō +対格+不定法は間接話法の構文で、「 が~することを知る(知っている)」の意味です(Latin for Beginners_1918, 1921 参照)。ここでは“対格+不定法”が2組あり、1つは、Rōmānōs が間接話法の主語の対格、egēre が間接話法の述語動詞の不定法になっており、もう1つは、hanc rem が間接話法の主語の対格、adlātūram esse が間接話法の述語動詞の不定法になっています。
 奪格+ egeōは「~を欠く、~が不足している」の意味です(語彙egeō の項参照)。ここでは、frūmentō が不足しているものを表す奪格です。
 与格+対格+ adferōは、「 に~を持ってくる」の意味です(Latin for Beginners_1958 参照)。ここでは「 に~をもたらす」と訳してみました。adlātūram esse は adferō の不定法能動相未来形です(Latin for Beginners_683, 1951 参照)。未来能動分詞 adlātūrus の語形は、間接話法の主語の対格 hanc rem に一致して、単数対格女性形になっています。
 summum perīculum は、直訳すると「最高の危険」となりますが、ここでは「最大の危機」と訳してみました。これらの語は adlātūram esse の目的語の対格です。

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Latin for Beginners_1981

【本文】
7. Explōrātōrēs, quī Caesarī occurrērunt, dīxērunt exercitum hostium vulneribus dēfessum sēsē in alium locum contulisse.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

7. 斥候たちは、カエサルに会うと、敵の軍隊は負傷によって疲れ切って他の場所へ行ってしまったと言った。
(解説)
 与格+ occurrōは「~に出会う、~を出迎える」の意味に訳してみましたが(Latin for Beginners_1961, 1969 参照)、「~の方に走る」と訳すこともできるでしょうか。
 quī ... は関係代名詞節で、先行詞は explōrātōrēs です。前後にコンマがありますので非制限用法(継続用法)として「斥候たちは、... 会うと、」と訳してみました。
 dīcō +対格+不定法は、間接話法の構文で「は~すると言う」の意味です(Latin for Beginners_1907 以下参照)。exercitum が間接話法の主語の対格、contulisse が間接話法の述語動詞の不定法です。
 vulneribus は dēfessum に係る手段の奪格と解してみました。
 dēfessum は exercitum に係っていると思われます。ここでは、叙述的に「軍隊は ... 疲れ切って」と訳してみました。
 sē cōnferre in +対格 は「~へ行く」の意味になります(Latin for Beginners_1972 参照)。sēsē は sē の強調形です(Latin for Beginners_1063 参照)。
 contulisse は cōnferō の不定法能動相完了形です。cōnferō の完了語幹は contul- です(Latin for Beginners_1951 参照)。

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Latin for Beginners_1980

【本文】
6. Caesar sociīs imperāvit nē fīnitimīs suīs bellum īnferrent.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

6. カエサルは同盟者たちに、自分たちの隣人に戦争を仕掛けないよう命令した。
(解説)
 与格+ imperō + nē +接続法は、「 に~しないよう命じる」の意味です(Latin for Beginners_1576, 1581 参照)。
 与格+ bellum īnferōは、「~に戦争を仕掛ける、~を攻撃する」の意味の熟語です(Latin for Beginners_1973 参照)。
 īnferrent は īnferō の接続法能動相3人称複数未完了過去形です(Latin for Beginners_1976 参照)。主節の動詞との時制の一致により未完了過去形になっています(Latin for Beginners_1537 参照)。īnferrent の主語は sociī(同盟者たち)と考えられます。
 suīs は再帰所有形容詞です。ここでは「同盟者たち」を指しているものと解してみましたが、カエサルを指していると解することもできるでしょうか。

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Latin for Beginners_1979

【本文】
5. Gallī molestē ferēbant Rōmānōs agrōs vāstāre.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

5. ガリア人たちは、ローマ人たちが畑を荒らすことに怒っていた。
(解説)
 molestē ferō +対格+不定法は、「が~することに怒る」の意味の熟語です(Latin for Beginners_1971 参照)。
 対格 Rōmānōs は不定法 vāstāre の主語です。他方、対格 agrōs は vāstāre の目的語です。

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Latin for Beginners_1978

【本文】
4. Cum nāvigia īnsulae adpropinquārent, barbarī terrōre commōtī pedem referre cōnātī sunt.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

4. 船が島に近づいてくると、蛮族どもは恐怖に駆られて退却しようと試みた。
(解説)
 与格+ adpropinquōは、「~に近づく」の意味です(Latin for Beginners_591 参照)。
 cum +接続法は、ここでは時を表す cumの意味に訳してみましたが、原因・理由を表す cum(~なので)の意味に訳してもよいでしょうか(Latin for Beginners_1796 参照)。cum 節の動詞は主節の動詞との時制の一致により接続法未完了過去形になっています(Latin for Beginners_1537 参照)。
 terrōre は commōtī(刺激された、動かされた)に係る手段の奪格と思われます。commōtī は主語の barbarī を修飾していますが、ここでは、叙述的に「蛮族どもは 駆られて」と訳してみました。
 pedem referre は「退却する」の意味の熟語です(Latin for Beginners_1974 参照)。主語は複数形ですが、pedem は単数形になっています。
 不定法+ cōnorは、「~しようと努める、試みる」の意味になるものと思われます。cōnor は形式所相動詞ですので、cōnātī sunt はその直説法3人称複数完了形(男性形)です。

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Latin for Beginners_1977

【本文】
3. Tulimus, ferēns, lātus esse, ferre.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

3. 私たちは運んだ、運びつつあるところの、運ばれたこと、運ぶこと。
(解説)
 今回も不規則動詞 ferō(運ぶ、もたらす、耐える)の活用形の問題です。
 tulimus は直説法能動相1人称複数完了形です(Latin for Beginners_1949 参照)。
 ferēns は初出ですが、現在能動分詞の単数主格形です。その作り方は第3活用動詞の場合と同様であり規則的です(Latin for Beginners_1621 参照)。
 lātus esse は不定法受動相完了形(男性形)です。その作り方は完了受動分詞+ esseであり規則的です(Latin for Beginners_681 参照)。
 ferre は不定法能動相現在形ですが、命令法受動相2人称単数現在形でもあります(Latin for Beginners_565, 566 参照)。

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Latin for Beginners_1976

【本文】
2. Ferte, ut ferrent, tulisse, tulerant.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

2. (あなたたちは)運べ、彼らが運ぶように、運んだこと、彼らは運んでしまっていた。
(解説)
 今回も不規則動詞 ferō(運ぶ、もたらす、耐える)の活用形の問題です。
 ferte は前回見たように命令法能動相2人称複数現在形です。その作り方は命令法現在形に -te を付けますので規則的です(Latin for Beginners_519 参照)。
 ferrent は初出ですが、接続法能動相3人称複数未完了過去形です。以下に接続法能動相未完了過去形の活用形を掲げておきます。その作り方は“不定法能動相現在形+人称語尾”ですので規則的です(Latin for Beginners_1523 参照)。
 tulisse は不定法能動相完了形です。その作り方は完了語幹+-isseですので規則的です(Latin for Beginners_646 参照)。
 tulerant は直説法能動相3人称複数過去完了形です(Latin for Beginners_1949 参照)。

 ferō の接続法能動相未完了過去形の活用は以下のとおりです。

     単  数           複  数 
1. ferrem ferrēmus
2. ferrēs ferrētis
3. ferret ferrent

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Latin for Beginners_1975

【本文】
 428. EXERCISES
I.
1. Fer, ferent, ut ferant, ferunt.

【訳文】
 428. 練習問題
I.
1. Fer, ferent, ut ferant, ferunt.

【コメント】
 本文のラテン語を訳してみると以下のようになるかと思います。なお、誤りがあれば御容赦願います。

1. (あなたは)運べ、彼らは運ぶだろう、彼らが運ぶために、彼らは運ぶ。
(解説)
 文1 は不規則動詞 ferō(運ぶ、もたらす、耐える)の活用形の問題です。訳は「運ぶ」で統一しました。
 fer は初出ですが、命令法能動相2人称単数現在形です。不定法 ferre から語尾 -re を取り除いた形になっており、作り方は規則的です(Latin for Beginners_519, 520 参照)。なお、命令法能動相2人称複数現在形は ferte です。
 ferent は、直説法能動相3人称複数未来形です(Latin for Beginners_1949 参照)。
 ferant は初出ですが、接続法能動相3人称複数現在形です。以下に接続法能動相現在形の活用形を掲げておきます。ut +接続法は「~するために」と目的の意味に訳しました(Latin for Beginners_1505 参照)。
 ferunt は、直説法能動相3人称複数現在形です(Latin for Beginners_1949 参照)。

 ferō の接続法能動相現在形の活用は以下のとおりです。第3活用動詞と同様に活用しています。

     単  数          複  数 
1. feram ferāmus
2. ferās ferātis
3. ferat ferant

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Latin for Beginners_1974

【本文】
  pedem referre, to retreat (lit. to bear back the foot)

【語句】
retreat:退却する、退く、後退する

【訳文】
  pedem referre  退却する、退く、後退する(文字どおりには「足を持ち帰る」)

【コメント】
 referō については、Latin for Beginners_1953 も御参照願います。
 「退却する」の意味の熟語には、sē recipere や tergum vertere もあります(語彙recipiō, tergum, vertō の各項参照)。

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Latin for Beginners_1973

【本文】
  alicui bellum īnferre, to make war upon some one

【訳文】
  alicui bellum īnferre  誰かに戦争を仕掛ける

【コメント】
 与格+ bellum īnferreについては、Latin for Beginners_1959, 1964 も御参照願います。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_1972

【本文】
  sē cōnferre ad or in, with the accusative, to betake one's self to

【語句】
betake oneself to ~:~へ行く、赴く、向かう

【訳文】
  sē cōnferre ad 又は in  (対格を伴う)~へ行く、赴く、向かう

【コメント】
 この熟語は直訳すると「~へ自らを運び集める」となりますが、これで「~へ行く」の意味になるようです。
 cōnferō については、Latin for Beginners_1951 も御参照願います。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_1971

【本文】
 427. IDIOMS
  graviter or molestē ferre, to be annoyed at, to be indignant at, followed by the accusative and infinitive

【語句】
annoyed:腹を立てた、いらいらした(at ~:~に対して)
indignant:憤った、怒った(at ~:~に対して)

【訳文】
 427. 熟語
  graviter 又は molestē ferre  ~に怒る(対格を伴う不定法が後に続く)

【新出ラテン語句】
molestē

【コメント】
 graviter ferō は直訳すると「重々しく耐える」と、molestē ferō は直訳すると「腹立たしく耐える」となりそうですが、これで「怒る」の意味の熟語になるようです。

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Latin for Beginners_1970

【本文】
   praesum, praeesse, praefuī, ―, be over, be in command

【語句】
over:~を指揮(支配、監督)して

【訳文】
   praesum, praeesse, praefuī, ―  指揮する、支配する、監督する

【新出ラテン語句】
praesum

【コメント】
 前回学習した praeficiō が「指揮させる」といういわば“使役”の意味を表しているのに対して、今回学習する praesum は「指揮する」の意味になっています。
 praesum は、prae(~の前に)+ sum(いる)で、「~の先頭・上にいる」ということから、「~を指揮する」の意味が派生してくるようです。また、語彙では、praesum の主要部分として、未来分詞 praefutūrus が掲げてあります。

 これまで学習してきた§426 は、間接目的語(与格)を取らない動詞が、前置詞との複合語になった場合に、間接目的語(与格)を取るようになることがあるというラテン語の性質を明らかにしている点では意義があると思います。しかしながら、間接目的語(与格)を取らない動詞のすべてについて、これらの前置詞との複合語が作られ、必ず間接目的語(与格)を取るようになるというわけではないようですし、複合する前置詞の種類からある程度機械的に容易に間接目的語(与格)を取る複合語の意味が類推できるというわけでもなさそうです。そうすると、結局のところは、複合語の動詞の一語一語について、複合語ではない動詞とは別の単語として、その意味と用法を単語ごとに学習していくしかないようにも思います。

-初学者のためのラテン語-

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Latin for Beginners_1969

【本文】
   occurrō, occurrere, occurrī, occursus, run against, meet
   praeficiō, praeficere, praefēcī, praefectus, appoint over, place in command of

【語句】
run against:~に偶然出くわす
appoint:任命する
in command of ~:~を指揮して


【訳文】
   occurrō, occurrere, occurrī, occursus  出くわす、出会う
   praeficiō, praeficere, praefēcī, praefectus  上に置く、指揮させる

【コメント】
 occurrō については、Latin for Beginners_1961 も御参照願います。
 praeficiō については、Latin for Beginners_1962 も御参照願います。英訳の appoint over の意味が難しいですが、字面から見て「上役に任命する」といった意味でしょうか。

-初学者のためのラテン語-

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