おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ダラス・バイヤーズクラブ

2019-10-20 11:54:45 | 映画
「ダラス・バイヤーズクラブ」


監督 ジャン=マルク・ヴァレ
出演 マシュー・マコノヒー
   ジャレッド・レトー
   ジェニファー・ガーナー
   デニス・オヘア
   スティーヴ・ザーン
   グリフィン・ダン
   マイケル・オニール
   ダラス・ロバーツ
   ケヴィン・ランキン

ストーリー
1985年、アメリカ南部に位置するテキサス州ダラス。
電気工でマッチョなロデオカウボーイのロン・ウッドルーフは酒と女に明け暮れ、放蕩三昧の日々を送っていた。
多くの女性と性行為を重ねた末、ある日、体調を崩した彼は、突然医者からHIVの陽性で余命30日と宣告される。
ほかの多くの人同様、エイズは同性愛者がかかる病気と信じていたロンにとって、それはあまりにも受け入れがたい事実だった。
突然の事態に驚き、生きるためにエイズについて猛勉強するロン。
アメリカでは認可されている治療薬が少ないため代替治療薬を求めて向かったメキシコで、未認可医薬品やサプリメントを密輸できないかと思いつく。
同じくエイズ患者であるトランスセクシュアルのレイヨンとともに非合法組織ダラス・バイヤーズクラブを設立し新薬の提供を始めたところ、友人や顧客のおかげでネットワークはどんどん拡大し、ロンは日々世界各国を飛び回って特効薬を探していた。
しかしそんな彼に司法当局は目をつける…。


寸評
ロンは余命30日と宣告されながら7年も生きた。
いわゆる難病者だが、政府と闘った偉人伝でもなければ、お涙頂戴の感動物語でもない。
態度も悪く、下劣な言葉を吐き、国や製薬会社の愚かさを批判しながら、生きるために前へ前へと進んでいくロンのバイタリティーに圧倒されるエンタメ性に富んだ作品だ。
アカデミー賞の主演男優賞に輝いたマシュー・マコノヒーの演技だけでも観る価値ありの映画だ。
ゲイの青年役のジャレッド・レト、女性医師役のジェニファー・ガーナーもなかなかな演技で、この三名の出演者が素晴らしい。
ロンの生き様を示すと同時に、社会批判的な要素も込められているが、肩をこらさずに楽しめる映画になっている。
ロンはまるでビジネスマンで、世界をまたにかけて飛びまくっている。
あらゆる手立てを使って薬を国内に持ち込んでくる。
なんと、日本にまで触手を伸ばしていた。
自ら生きるためではあるが、一方で金もうけのためという側面も描いているので単純なお涙頂戴物語になっていないのだろう。
僕は日本の厚生労働省に大いなる疑問を持っている。
薬事行政に関して絶大な権限を持っているので、その政策に懐疑的であるのだ。
メタボ診療など、どうも利権と結び付いているような事柄が多い役所だと感じていて、すべてに懐疑的なってしまっているのだ。
そんな気持ちが根底にあるので、ロンがそれらしい機関と対決していく様に拍手を送りながら見ていた。
もしかすると、そのあたりが、僕がこの映画を楽しめた第一要因だったのかもしれない。
エリザベス・テイラーの抱擁されてエイズで亡くなったロック・ハドソンの名前が度々出るが、偏見時代の象徴として描かれていたのだろう。
ロンの最後を描くことはなく、その後多様な治療薬が認められるようになったこと、ロンが7年も生きたことがテロップで示される。
ラストがロンの末期などではなく、彼が破れながらも拍手で迎えられるシーンだったことは押し付けがましくなくて感動的だった。
でも、あの女医さん、結局その後はどうなったのかなあ・・・。
ちょっと気にかかる。


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