おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

交渉人 真下正義

2022-07-03 07:17:31 | 映画
「交渉人 真下正義」 2005年 日本


監督 本広克行
出演 ユースケ・サンタマリア 寺島進
   小泉孝太郎 高杉亘 松重豊 甲本雅裕
   遠山俊也 柳葉敏郎 水野美紀 西村雅彦
   石井正則 金田龍之介 國村隼 大和田伸也
   辻萬長 矢島健一 八千草薫

ストーリー
FBI訓練プログラムを受け、警視庁初の交渉人となった真下正義警視(ユースケ・サンタマリア)。
2003年11月24日、レインボーブリッジを封鎖して解決した“台場連続殺人事件”。
真下警視は報道陣を前に事件の経緯を説明していた――。
あれから1年。
2004年12月24日、雪乃(水野美紀)とのデートを約束していた警視庁交渉課準備室課長の真下に、室井管理官(柳葉敏郎)から緊急の呼び出しがかかる。
地下鉄“東京トランスポーテーション・レイルウェイ”、通称・TTRの最新鋭実験車両フリーゲージトレイン“クモE4―600型”が何者かにジャックされ、遠隔操作で暴走する事件が発生したのだ。
クリスマス・イヴで利用客200万人に膨れ上がった地下鉄網は、たちまちパニックに陥る。
そんな中、“弾丸ライナー”と名乗る犯人から挑戦状を叩きつけられた警視庁初の交渉人・真下正義は、交渉課準備室のメンバーと共にTTRの指令室へ出向すると、早速、犯人との交渉を開始した。
地下鉄を知り尽くし、周到に練られた計画。
真下は、なかなかよそ者を受け入れようとしない地下鉄マンたちや地上捜査班を仕切る木島警視(寺島進)らと連携を図りながら、様々な情報を精査、やがて犯人の狙いが交渉人である自身にあり、その矛先が今まさにデートの約束をしたコンサート・ホールで自分を待っている恋人・雪乃に向けられていることを知る。
雪乃を犯人の魔手から救うべく、犯人との折衝を続けながら、爆弾の仕掛けられたホールに急行する真下だったが・・・。


寸評
「踊る大捜査線」シリーズのスピン・オフ映画だが、シリーズを見ていない人でも、これ一本で問題なく楽しめる。
本家の「踊る大捜査線」よりも楽しめる出来栄だ。
独立した作品として見るなら、都市型テロを描いたアクションものといえる。
地下鉄の場面などは迫力があり、まるでハリウッドのアクション映画のような派手さがある。
全路線の運行を統括する地下深くにある指揮センターに、真下率いる捜査チームと地下鉄会社のスタッフが集まる風景は緊迫感があって、戦争映画の作戦本部のような雰囲気だ。
SATの銃撃シーンや爆弾処理班の班長が勘で配線を切断していくなど、漫画的に感じる場面もあるが全体的には日本のアクション映画として及第点だと思う。

真下は犯人と知能戦を繰り広げているが、地上では寺島進演じるたたきあげの木島刑事が体力勝負の捜査で犯人に迫るという構図が楽しめる。
真下と犯人のやり取りも興味深いが、それ以上に 真下(ユースケ・サンタマリア)と木島(寺島進)の会話劇が楽しませてくれ、寺島進が滅茶苦茶面白い。
携帯電話を使って地下鉄を乗っ取るというハイテク犯罪に、木島や線引きと称される運行ダイヤを組み上げるベテラン鉄道マンの熊沢(金田龍之介)などローテクのオヤジたちが活躍する展開は気持ちがよい。

脚本として、あるいは演出として、犯人を明らかにしなかったのは問題提起となっている。
科学技術を駆使して、以前警察にいたずら電話をかけてきたことがある犯人が割り出されるが、その男はすでに死亡していることが判明する。
「では一体犯人は誰なのか?」と、新たな疑問が湧いてくるのだが最後まで犯人の姿は現れない。
犯人不明で終わっていいのかと思っていたのだが、そこに寺島進の木島から「これからこんな奴が一杯出てくるぞ」といった内容の言葉が発せられる。
なるほど・・・。
無関係な人を殺傷する通り魔であるとか、または愉快犯であるとかの犯罪動機が推測しきれない犯罪が多発するかもしれないという警告だろう。
あるいは無防備な場所へのテロ行為などもそれに含まれるかもしれない。
一人を逮捕しても、ゾンビのように同類の人間が生まれ出てくるという警告のように思える演出となっている。
この事件は明らかに地下鉄に対するテロ行為である。
ロンドンの地下鉄爆破テロにみられるように、レストランや劇場など人が集まる場所への無差別テロに対して都市は脆弱である。
交渉する余地があればまだマシだが、いきなりの爆破なら手の打ちようがない。
そんな怖さも感じさせる内容だ。

スピン・オフ作品なので織田裕二は全く登場しないし、柳葉敏郎もわずかしか登場しない。
わざとらしい彼らが登場せず、ユースケ・サンタマリアが自然な演技をみせているので、僕はこちらの方が面白いと感じたのかもしれない。


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