おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

NANA

2021-08-06 07:04:29 | 映画
「NANA」 2005年 日本


監督 大谷健太郎
出演 中島美嘉 宮崎あおい 松田龍平
   成宮寛貴 松山ケンイチ 平岡祐太
   サエコ 伊藤由奈 水谷百輔
   能世あんな 高山猛久 玉山鉄二

ストーリー
パンクバンド“ブラスト”のヴォーカルとして成功を誓い、東京を目指す大崎ナナ(中島美嘉)。
何よりも恋を優先し、恋人・章司(平岡祐太)を追いかけて東京へ向かおうとしていた小松奈々(宮崎あおい)。
20歳同士で同じ名前のふたりが出会ったのは、東京に向かう新幹線の中だった。
クールなナナとキュートな奈々、見た目や性格は違うけどすっかり意気投合した。
その後、引っ越し先の部屋でも偶然の再会を果たし、結局2人は一緒に暮らすことに。
数日後、ギタリストのノブ(成宮寛貴)とドラマーのヤス(丸山智己)が、新曲を携え上京して来た。
メンバーにベースのシン(松山ケンイチ)を加えてブラストは活動を再開し、ナナは歌に賭ける気持ちを燃やす。
一方、奈々はつれない章司に不満を募らせていた。
実は、章司は思い込みの激しい奈々に疲れ、同じバイト先で知り合った大学の同級生でもある幸子(サエコ)に心変わりしていたのだ。
傷心の奈々に、人気バンド“TRAPNEST”のライヴ・チケットが届いた。
そのギタリストであるレン(松田龍平)が、かつてブラストのメンバーでナナの恋人だったことを知った彼女は、ナナを誘ってライヴに出かける。
レンが引き抜かれバンドを脱退した時に、愛し合いながらも別れた筈のナナとレン。
しかしライヴ当日、再会を果たしたふたりは愛を再燃させるのであった。
それから暫くして、奈々がバイトをクビになり、落ち込む彼女に、ナナが用意してくれたプレゼント。
彼女は、奈々の大ファンであるTRAPNESTのヴォーカリスト、タクミ(玉山鉄二)を部屋に招いてくれたのだ。
20歳を過ぎ、甘えてばかりいられない現実の中で、とびきり甘い夢を見せてくれたナナ。
それは、奈々にとってとても幸福な初恋みたいな時間だった。


寸評
公開時に劇場で見た時の僕は確か50代の半ばだったと思う。
記憶をたどれば、その時にはコミックが原作と言え、人物像やセリフ回しが極めてコミック的と感じ、それは意図されたものなのだろうと頭で理解しようとすのだけれど、どうしても受け入れられなかったように思う。
同じ名前、同じ歳のふたりの女の子の友情と恋を描くと言う点は理解できるのだが、それがリアリティをもって伝わってこなかった。
ただ、少しも美人じゃないけれど小松奈々の宮崎あおいが存在感を感じさせたと記憶している。
しかしそれから何年も経って更に歳をとっているはずなのに、再見すると不思議なことに瑞々しい青春友情ドラマとして受け入れている自分がいる。
僕の中に青春時代へのノスタルジーが生じてきているのだろうか。
ある種の老人病なのかもしれない。

物語は宮崎あおいの奈々が過去を回想する構成になっている。
その語り口はすっかり落ち着いて大人になった奈々を感じさせるが、しかし登場してから劇中で繰り広げる奈々の態度にはイラツクものを感じる。
奈々の友人が指摘するように、結局は自分が中心の女性で男からすれば重いと感じる女性なのだ。
自分では一生懸命やっていると思っているし、章司に対しても精一杯尽くしているのだが、相手から見れば仕事ができない女だし、親切の押し売りにはうんざりするものがある。
登場シーンにおける宮崎あおいはこうした奈々のキャラクターを的確なまでに表現している。
ナナの中島美嘉は台詞は下手だが、キャラ作りだけは完璧だ。
中島美嘉はもともと役者出身で雰囲気はあるのだけれど、役者としての才能より、歌い手さんとしての才能を評価したい。
パンク・ルックで粋がってるけれど、内にあるか弱さ、せつなさのようなものが表現しきれてなくて残念だったが、さすがにあまり多くはない歌を歌う場面は迫力あるシーンとなっている。
中島美嘉が歌うシーンだけでなく、音楽シーンはいい。
ヒロインの元カレが在籍するTRAPNEST(トラネス)が行うコンサートシーンは臨場感たっぷりだ。
ボーカルのレイラが魅力的だし、披露される歌も実にいい。

性格も育ちもファッションもまったく異なる女同士の青春友情ドラマとして十二分に楽しめる出来映えで、ナナのバンド仲間だった連中が集まって、奈々がファンであるアーティストを引き合わせる場面などは泣かせる。
最初は二人で小さなバスタブに入っていたナナとレンだが、最後では大きなバスタブに二人で入っている。
レンは小さなバスタブのあった今は住んでいない部屋を今も借りたままにしている。
そこが自分の原点だと言うことを忘れないためである。
二人もそこから始まっていたのだが、結局この二人は別れることになるのではないかな。
奈々は好いた惚れたで生きていける女性だろうが、ナナはそんな女性ではないような気がする。
初恋は大体において成就しないものなのだ。
初恋の相手は思い出の中にだけいるものだと思う。


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