おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

キック・アス

2022-05-28 09:27:48 | 映画
「キック・アス」 2010年 イギリス / アメリカ


監督 マシュー・ヴォーン
出演 アーロン・ジョンソン
   クリストファー・ミンツ=プラッセ
   マーク・ストロング
   クロエ・グレース・モレッツ
   ニコラス・ケイジ
   ギャレット・M・ブラウン

ストーリー
アメコミ好きでスーパーヒーローに憧れるニューヨークの高校生デイヴは、一年半前に母親を亡くし父親と二人で暮らしているが、ガールフレンドもおらず、放課後は男友達とオタク話に花を咲かせる毎日を送っていた。。
ある日彼は、インターネットで手に入れたコスチュームを身に纏い、勧善懲悪のヒーロー“キック・アス”として街に繰り出す。
しかし、何の能力も持たない彼は最初のパトロールでチンピラにボコボコにされ重傷を負ってしまう。
ところが、その治療で背中に金属板を埋め込み、神経の損傷で痛みにも鈍感になったデイヴは無類の打たれ強さを身につけていた。
そして、退院したディヴは危険を承知で再びパトロールを再開する。
その戦いぶりはヒーローとはほど遠いものだったが、その様子を野次馬が動画サイトにアップしたことからキック・アスの名はたちまち知れ渡り一躍時の人に。
だが、そんなキック・アスの活躍ぶりを知った地元マフィアのボス、ダミコは最近起きた組織のトラブルを彼の仕業と勘違いし、キック・アスの抹殺へと乗り出す。
ところが、実際はキック・アスの影で別のヒーローが暗躍していた。
その正体は、超本格的な訓練を受けたダミコへの復讐に燃える元警官の“ビッグ・ダディ”と、彼が手塩に掛け恐るべき殺人マシーンへと鍛え上げた娘“ヒット・ガール”だった。
やがてキック・アスは、この親子とダミコの血で血を洗う戦いの渦に巻き込まれていくのだが…。


寸評
基本的にはよくあるアクションヒーロー映画なのだが、設定のユニークさに加えて笑いどころが満載されている。
「スーパーマン」の語りを借りてスタートしたかと思えば、キック・アスの姿をめぐって、スーパーマンかバットマンかで言い合うなどギャグのオンパレードで、そもそもスーパーパワーもない主人公自体がダメダメでギャグになっている。
お笑い担当のキック・アスとは対照的なのがビッグ・ダディとヒット・ガールという親子コンビ。
二人は過去の復讐に燃えるわけありの父と娘で、武装し防具で身を固め、悪を成敗する姿が痛快だ。
中盤以降はキレのいいアクションシーンの連続で、銃を乱射し、刃物を突き刺し、情け容赦なく人が殺されていく凄惨なシーンが続き「キル・ビル」や「シン・シティ」を凌ぐ痛快作品である。
クライマックスは壮絶な決戦で、あの手この手の痛快アクションで凄惨シーンの連続なのに、それが悪趣味になっていないのは髪の毛、マスク、コスチュームを紫で固めた美少女戦士だからなのだろう。
キュートな顔とは正反対なクロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガールの残虐プレイに目が釘付けになってしまう。
この子が言う「パパに撃たれたより痛かった」にはホロリとさせられた。
ギャグともユーモアともいえるような会話を連発しながら、時折シリアスな場面を挿入していく手腕に敬服する。

コスチュームもスパイダーマンやバットマン、スーパーマンを連想させるが、キック・アスのデイブが彼女に「レッド・ミストの方が格好が良い」と言われるように、キック・アスをやぼったくして喜劇性を出していた。
主人公にも見せ場が用意されていて、バカバカしいのに爽快感が残るエンディングだったし、真面目さと不真面目のバランスを取りながら、残虐なシーンと可愛らしさのミックス具合も程よく、なかなか姿を見せなかった30万ドルもした武器がこれだったのかと納得し思わず拍手したくなる。
アメリカン・コミックを知らなくても楽しめるし、何より理屈抜きの娯楽性が有り肩の凝らない映画となっている。
ここまで徹底すると納得してしまう秀作の一つだった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿