おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

男はつらいよ 寅次郎紅の花

2024-05-01 07:07:42 | 映画
2019/1/1より始めておりますので10日ごとに記録を辿ってみます。
興味のある方はバックナンバーからご覧下さい。

2019/11/1は「父と暮せば」で、以下「血と骨」「チャイナタウン」「血槍富士」「忠臣蔵外伝 四谷怪談」「沈黙 -サイレンス-」「沈黙 SILENCE」「ツィゴイネルワイゼン」「津軽じょんがら節」「月はどっちに出ている」と続きました。

「男はつらいよ 寅次郎紅の花」 1995年 日本


監督 山田洋次
出演 渥美清 倍賞千恵子 浅丘ルリ子 下絛正巳 三崎千恵子
   前田吟 太宰久雄 笠智衆 夏木マリ 後藤久美子
   吉岡秀隆 佐藤蛾次郎 田中邦衛 千石規子 宮川大助
   宮川花子 笹野高史 桜井センリ 犬塚弘 芦屋雁之助

ストーリー
柴又のとらやの面々が、相変わらず連絡も無い寅のことを、今回ばかりは本気で心配していた。
それもそのはずで、寅からの最後の連絡は大震災前の神戸からだったのだ。
ところが、偶然見ていた『大震災その後-ボランティア元年』というテレビ番組に、寅が村山首相と写っていたからビックリ。
さらに神戸で寅に世話になったという被災者まで現れて、一同は寅の無事に胸を撫で下ろすのであった。
ところが、寅の甥の満男に大事件が起こる。
以前から想いを寄せていた泉が突然上京したかと思うと、医者の卵との縁談の相談をしてきたのだ。
動転した満男は、泉の縁談を祝福するような心にもないことを言ってしまう。
泉が名古屋へ戻り、いよいよ岡山へ嫁ぐという日、花婿の兄と新郎新婦を乗せた乗用車の前に、満男の運転する車が立ちはだかり、式をメチャクチャにしてしまうのであった。
土地の青年たちに殴られ、警察につきだされた傷心の満男は、ふらふらと奄美大島へ。
そこで一人の美しい女性と出会ったカラッケツの満男は、その女性の世話になるのだが、なんと彼女の家には寅が居候をきめこんでいて、その女性がリリーであることを知った。
だが、満男のとった行動について話すうち、寅とリリーは意見が対立、次第に二人の仲はギクシャクしてきたところへ、満男を追って泉がリリーの家へやって来た。
泉に再会を果たした満男は、そこで泉に対する気持ちを告白した・・・。


寸評
阪神淡路大震災が起きて寅さんが神戸でボランテアをしている姿が急遽盛り込まれた。
寅さんは村山首相とも共演を果たしている(合成画面だけど)。
両陛下の訪問時には正座をした避難所のおばちゃんが、村山首相には「アンタがしっかりせなあかんよ」と声をかけた場面だが、その声は入っていない。

寅さんの恋愛と同時に描かれてきた満男と泉の恋も同時進行で描かれている。
満男は浪人時代に泉を追って家出してバイクで佐賀まで行ったことがあるが、今度も再び家出して津山での泉の結婚式に殴り込みをかけている。
第23作・翔んでる寅次郎の桃井かおり以来の映画「卒業」騒ぎである。
卒業では花嫁を奪って逃げたが、満男は結婚式を中止にしただけで、自分は失恋旅行に出かけてしまっている。
そして行き着いた奄美大島でリリーと再会するのだが、全くの他人行儀である。
あれれ、あんなにとらやに出入りしていたのに、お互いに気がつかないのかよと思って見ていたが、以前に会った時の満男は小学生だったということで、このシリーズの息の長さを物語っていた。

リリーは奄美大島に家を買って定住している。
寅さんと同じ放浪の旅を続けていたリリーさんは定住の場所を見つけたことになる。
相変わらずの寅さんはそんなリリーの家に住み着いていて夫婦気取りの生活をしている。
そこに満男もやってきて、さらに泉も駆けつけてきて、並行していた二組の恋人たち(?)が勢揃いする。
やはり寅さんにはリリーが良く似合う。

リリーは老人ホームに入っている母親を訪ねて東京にやってくる。
寅さんは同行、満男は泉を名古屋に送り届けてから帰ってきて、とらやに全員集合となる。
寅さんとリリーは些細なことで喧嘩してしまい、喧嘩別れとなるところをさくらのとりなしで寅さんが見送りのためタクシーに同乗する。
どこまで送ってくれるのかと尋ねるリリーに寅さんは「男が女を送るって場合にはな、その女の玄関まで送るってことよ」と言い、リリーは「ほんと?あたしのウチまで来てくれるの?」と問い返す。
寅さんは奄美大島のリリー宅に行くということである。
そこでまた喧嘩して寅さんは出て行ってしまったことが、さくらへのリリーの手紙で書かれていたが、同時にまた帰って来てくれるでしょうとも書かれてあった。
寅さんの帰る家は葛飾柴又のおいちゃん宅ではなく、奄美大島のリリー宅になったことを暗示していたのかもしれないし、さくらが泉との電話で、お母様に今年はご挨拶に伺いますと言っておいてと言っていたのも、泉を満男にもらうための挨拶だと思われ、長いシリーズがメデタシメデタシだったことを感じさせた。

渥美さんはすでに病んでいたのか、首にマフラーを撒いたりしていて、威勢のいい声も聴けないし痛々しかった。
テレビの寅さんは奄美大島でハブに咬まれて死んでしまったが、映画の方は渥美清の死でもって終焉を迎えた。
最後に復興の兆しを見せ始めた神戸の長田を訪れた寅さんだが、渥美清はもう帰ってこなかった。


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