おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

バニー・レークは行方不明

2021-09-07 06:46:08 | 映画
「バニー・レークは行方不明」 1966年 アメリカ


監督 オットー・プレミンジャー
出演 ローレンス・オリヴィエ
   キャロル・リンレー
   ケア・デュリア
   ノエル・カワード
   マーティタ・ハント
   フィンレイ・カリー

ストーリー
ロンドンの昼さがり。アメリカから来たばかりのアン(キャロル・リンレイ)は、ロンドン駐在の記者をしている兄のスティーブン(キア・デュリア)と、この日新しいアパートに入った。
荷物の片付けと買物を終えると、アンは再び4つになる私生児の娘バニーを迎えるために保育園に行ったが、バニーの姿はどこにも見えなかった。
どの先生もバニーという子供など見たこともないという。
どこを探してもいないため、次第にパニックになっていくアン。
埒が明かないと考えたアンはスティーブンに連絡をして来てもらった。
保育士の許可を取り、スティーブンはアンを連れて園内を探索する。
最上階へ行ってみると、そこにはこの保育園の創立者だという老女がひとりで暮らしていた。
バニーのことを聞いてみるが、要領を得ない答えしか返ってこなかった。
アンはヒステリックになり、スコットランド・ヤードのニューハウス警部(ローレンス・オリヴィエ)に捜索を依頼した。
しかし、どこにもバニーはいなかった。
給食係の女性に話を聞こうとするが、彼女は料理のことで文句をつけられたというので姿を消していた。
アンが家へ戻ると、思いがけないことにバニーの服や玩具など、彼女のものがすべてなくなっていた。
ニューハウスは、バニーは最初から存在していなかったのではないかとさえ考え始めた。
その上、アンは子供の頃、バニーという空想上の女の子をつくったこともあったということが判明する。
ニューハウスは船会社を訪ね、アンがアメリカから渡って来た日の乗客名簿を調べたが、アンとバニーの名前は見当らなかった。
バニーの実在を証明するために、アンはバニーの人形が修繕屋に出されている事を思い出し、預かり証をもって深夜ひとりで出かけた。


寸評
ミステリードラマらしいタイトルバックがなかなか洒落ていていい感じだ。
保育園に預けたはずの4歳になるバニーという女の子が行方不明になっている話なのだが、バニーは姿を全く見せない。
そのことで、もしかするとバニーは存在していないのではないかと思わせ、ミステリー度は高まる。
一方でアンの必死さを見るとバニーは本当に居なくなっているのだとも思える。
では一体誰がバニーを連れ去ったのか?
アンは被害妄想という病気に犯されているのか?
観客に疑問を持たせながらストーリーは展開していくのだが、引っ越し時にアンが配送業者から受け取った荷物の中から小物を整理して並べるシーンは余計だったと思う。
バニーがアンの想像の産物だとするならば、自宅からバニーの持ち物が消え去っていることも、最初からそのような物はなかったのだと思わせる演出があっても良かったように思う。
よく出来た脚本だと思うのだが、欠点があるとすればバニーは存在していると言う印象が強いことだ。
バニーはアンの想像上の存在なのだと言う印象をもう少し持たせる演出があってもよかったように思う。

ミステリアスな雰囲気はアンの引っ越し先の大家や、保育園の最上階に住んでいる老婆の存在などによっても生み出されているのだが、子犬を抱いた大家は登場人物として必要だったのだろうか。
存在意義が見いだせないキャラクターだったように思う。
大家に比べると保育園の創立者だと言う最上階に住んでいる老婆は重要な人物である。
要領を得ない人物のように描かれているが、まるで有能な私立探偵のような人物で、彼女から重要な発言がなされてある程度先が読めるようになる。
ただしそのタイミングは早すぎたように思う。
途中で結末の為の伏線が張られているのだが、伏線となるものがうっかりしていると見逃がしてしまうという物ではなく分かりやすいものとなっているので先読みはしやすい。
それを欠点と見るかどうかは観客次第だろう。

スコットランド警部のローレンス・オリヴィエは冷静な警部として存在感がある。
粋がることも力むこともなく、誘拐事件としてと、バニーの存在への疑問という面の両面をにらみながら部下に対して的確に指示していく。
彼の目線は観客そのものの目線でもある。
犯罪に主眼を置きながらも、バニーの存在に疑問を持っている存在である。
僕にとって、結末は予想通りではあるのだがその描き方は予想を超えるものである。
描き方に違和感を持つかどうかもこれまた観客次第だろう。
僕はチョット違和感を感じた。
スコットランド警部の最後の一言はタイトルを引き締める粋な一言となっている。
子供を巡るミステリアスな作品は時々見られるが、制作年度を考えるとよくできている方に思える作品だ。


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