おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

少林サッカー

2023-11-26 07:23:53 | 映画
「少林サッカー」 2001年 香港


監督 チャウ・シンチー / リー・リクチー
出演 チャウ・シンチー ン・マンタ ヴィッキー・チャオ
   パトリック・ツェー カレン・モク セシリア・チャン
   ヴィンセント・コック ウォン・ヤッフェイ
   モウ・メイリン ティン・カイマン ラム・ジーチョン

ストーリー
“黄金の右”と呼ばれるサッカー選手ファンは、チームメイトのハンが持ちかけた八百長試合に荷担したことがきっかけで、自慢の脚を折られてしまった。
夢半ばで諦めざるを得なかったファン。
それから20年、ファンは、いまやサッカー界の首領として君臨するハンの雑用係にまで落ちぶれていた。
自分を陥れたハンへの怒りを抱くファンは、ある日、少林拳使いの不思議な青年シンに出会う。
が、自分の不自由な体を指摘されてカッとなる。
ファンと別れたシンは、饅頭屋の店頭で、太極拳を使って饅頭を作るムイと出会う。
シンは彼女に好感を持つが、ムイは顔中にできている吹き出物のせいで心を閉ざしていた。
しかしシンの優しさにより、少しずつ心を開いていく。
一方、ファンはシンの恐るべき脚力に気づき、サッカー・チームを作ることをシンに持ちかける。
シンはメンバー集めのため、かつて少林寺で修行した兄弟たちをスカウトして回った。
少林チームの誕生だ。
それぞれ得意技を活かしてどんどん勝ち進む少林チームは、ついにサッカーの全国大会に出場を果たす。
決勝戦の相手は、ハン率いるデビルチーム。
だが、ハイテクトレーニングや筋肉増強剤の投与で不死身と化したデビルチームに、少林チームのメンバーは次々つぶされていく。
代わりの選手がいなくなり、少林チームが負けを覚悟したその時、なんと坊主頭にしたムイがやってきた。
彼女をメンバーに加え試合再開、少林チームは見事優勝を果たすのだった。


寸評
実にバカバカしいギャグ満載のコメディなのだが、繰り広げられるバカバカしさを受け入れられるかどうかで見る人の評価が分けれる。
劇画のような出だしのシーンに続き、饅頭屋で働くムイが登場して太極拳の達人らしく生地をこねる。
顔中に吹き出物がある事から女性としての自信が持てず、前髪を伸ばして顔を隠すようにしているのだが、その仕草や描き方からこの映画の雰囲気がくみ取れる。
ダンスシーンが出てきて、ミュージカル仕立てかと思いきや、シンが缶ビールの空き缶を蹴とばすと遥か彼方に飛んでいくので、これはもう何でもありのドタバタ喜劇なのだと分かる。
この空き缶は路地のコンクリート壁に突き刺さっていて、それを引っこ抜くと壁が崩れ落ちるから、作品は劇画の様ではなく全くの劇画の世界といえ、このオーバーアクションの描き方は最後まで続く。

ファンとシンはサッカーチームを編成するためにメンバー集めに奔走するが、その相手はシンのダメ兄弟たちで、今までの描き方からして観客がすでに予想している通りのダメぶりと、半面持っている超人的な能力が示される。
その能力は少林拳の技らしいもので示されるが、文字面からしてサッカーにおける技術としての想像はつく。
彼等の技が先ず示されるのが練習試合なのだが、最初は対戦相手の反則を通じてボコボコにされる。
目覚めた彼等はついに各自が持つ少林拳の技を示すのだが、これがまた漫画の世界。
ある者は空中浮揚を見せ、ある者は逆立ちして頭で立っているという具合である。
メンバーのニックネームも鉄の頭、旋風脚、鎧の肌、魔の手、軽功・空渡りなど奇想天外なものばかり。
彼等は超常的な技を蘇らせて不良チームを倒すのだが、それは劇画を実写化したような描き方で笑ってしまう。

ギャグ満載の中で唯一しんみりさせるのがムイの恋だ。
ムイはシンとの出会いから少しずつ自分に自信が持てるようになり彼に惹かれているのだが、シンは悪気があるわけではないが無神経な面があり、ムイの気持ちに対して鈍感だ。
ムイは悲しみの涙を流し、涙は饅頭の生地におちて塩味がするようになってしまったので饅頭屋をクビになっているというエピソードが披露される。
他がすべてギャグで処理されているから、このムイのエピソードはシリアスさがあって切なくさせ、全体の中の一つのアクセントとなっている。

当然見せ場は決勝戦となるし、その為には対戦相手は強くなくてはならない。
その強さは新型薬物のドーピングと謎の科学トレーニングでもたらされているらしいのだが、それが分かりづらい。
デビルチームの放つシュートに不死身のゴールキーパーもノックダウンしてしまうのだが、事前に彼等の強さを見せておいてくれた方が盛り上がったと思う。
退場や負傷でメンバーが足りなくなると没収試合となりそのチームは3対0での敗戦となるらしく、実際にそのような試合は存在しているようである。
人数不足でピンチになった時ムイが登場するが、あっという間の活躍で勝利してしまうので、大活躍を期待していた僕としては肩透かしを喰った感はある。
さて冒頭で記した問いかけだが、僕はこの作品に入り込むことはできなかった。


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