夢の中で逃げたんだ

ゆうやは時々、寝言を言います。

何か寝言を言っていると気付いた時には、そっと近寄って聞き耳を立てています。
けれど、殆ど、何を言っているか聞き取ることができません。

たいていは「美味しいなあ。」と言って口をムニャムニャ動かしています。
夢の中でも食べているなんて、ゆうやはやっぱり食いしん坊ですね。

さて、先日、ゆうやが早くから寝ましたので、私はパソコンに向かっていました。
静かな部屋に突然、ゆうやの寝言が響きました。

「やばい！逃げよう！」
え？
逃げようって、夢の中で何か良くないことに遭遇したのでしょうか。

その後、ゆうやは「あ～！」と叫び声を上げました。
犬に追いかけられて飛びかかられたのかしら。

私はクスッと１人笑いました。
そしてゆうやの寝ている様子を覗くとー。

なんと、ゆうやは上半身だけですが、寝返りを打っていました。
夢の中のことですが、一生懸命逃げたのですね。

朝起きてから、ゆうやに寝言のことを話しました。
「どんな夢を見ていたか覚えている？」
「覚えていないよ。」

ゆうやはキョトンとした顔をしていました。
それにしても、自分で体の向きを変えることができたとは、凄いなあと思いました。


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