ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

TPPと国会のドタバタ

2016-11-11 17:01:39 | 日記
きのうの衆院本会議で、TPP承認案と関連法案が強行採決され
た。テレビの画面に映された国会本会議場の有り様を眺めながら、
私は思わず「アホらしい!」とつぶやいてしまった。なだれを
打って議長席に詰め寄る議員たちと、体を張ってそれをブロック
しようとする体躯頑強な議員たち。彼らはいったい何のために、
今さらこんなことをしているのだろう。

与党の議員たちは、支持団体の経団連に義理立てしてか、TPP関
連法の成立のために血眼になっているのだろう。だが、TPP強硬
反対派のトランプがアメリカ大統領選に当選したことで、この貿
易協定の発効自体が困難になったと見られている。発効がきわめ
て困難になった協定のために、マジになって喧々諤々いがみ合う
なんて、笑止きわまりない。野党の議員たちも、そんなにムキに
ならず、「あんたたちも、無駄なことをしているよなあ」と冷笑
のポーズを示せば、与党の議員だって、きっと自分たちの振る舞
いを虚しく思い、恥ずかしく思うはずなのだ。

きのうテレビ画面に映された国会のドタバタ騒動は、ヨシモトの
寒いドタバタ喜劇を見ているようで、私には笑えなかった。

おそらく多くの人が同じように感じたのではないだろうか。

だが、しばらくして私は思い直した。このドタバタにも、それな
りの意味があるのではないか。
彼ら議員たちはおそらく、何かにつき動かされ、駆り立てられ
て、あのようなドタバタの狂騒を演じているに違いない。彼らを
つき動かすこの〈何か〉をヘーゲルは「理性」と呼び、ニーチェ
は「力への意志」と名づけたが、それが何なのかは、彼ら自身に
も分かっていないはずだ。自分でもよく分からない〈何か〉につ
き動かされている彼ら。その彼らにとっては、ドタバタの騒動そ
のものが意味あることであって、TPPの承認案も、関連法も、そ
のための口実に過ぎない。一年ちょっと前、安保関連法案が強行
採決されたとき、この法案が与野党の対決のための口実として機
能したのと同じ構図である。

米軍が沖縄から撤退して安保関連法が意味を失おうが、トランプ
新大統領の反対でTPPが反故にされようが、「力への意志」に取
りつかれて天下取りを目ざす彼らにとっては、そんなことなど、
どうでもいいことなのである。
コメント
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