ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

年金改革法案 与野党対決の構図

2016-11-29 15:46:14 | 日記
最近はボケたのではないか、と思うことが多くなった。たとえば国会審
議。それに関するニュースをテレビで見ても、何がどうなっているのか、
まったく分からない。政府与党が提出した年金改革法案の、その中身は
どういうものなのか。それに対して、野党はどういう理由から、あれほ
ど強硬な姿勢で反対しているのか。そのあたりの事情が皆目分からない
のである。

こういうときには、新聞の社説が役に立つ。社説は、自らの主張を提示
するまえに、問題の所在を丁寧に、分かりやすく整理してくれる。その
整理内容には各社各様の色が付いているが、「この色はこの社の独自カ
ラーだから、その分は割り引いて受け取らなければ」と考えながら読め
ば、それほど独断や偏見に毒される恐れはない。

きょうは読売が《臨時国会延長 年金法案も確実に成立させよ》とい
うタイトルで、また、日経は《年金制度の維持へ国会は建設的議論を》
というタイトルで、年金改革法案絡みの社説をかかげている。

読売の社説は、与党が提出した年金改革法案を、「世代間の負担・給付
のバランスをとる」ためのものであって、「賃金や物価の変動に応じて
給付額を増減する「賃金・物価スライド」を見直し、将来世代の給付を
改善することなど」を柱とするものだとしている。そのうえで、読売は
こう述べる。

民進党などは、賃金の下落に連動させて給付を減額することから「年
金カット法案」と批判するが、あまりに近視眼的で的外れだ。

読売が民進党の批判を「あまりに近視眼的で的外れだ」と断じる根拠
にするのは、以下のような見解である。

少子高齢化が進む中、年金制度を持続可能なものにするには、年金財
政を安定させ、将来世代の給付水準を確保する必要がある。現役世代
と高齢者が負担や給付減の痛みを分かち合い、公平感を維持すること
も欠かせない。

「あちらを立てれば、こちらが立たず」というアンチノミーの状況が避けら
れないなかで、政府与党は、「あちら」の利害と「こちら」の利害を調整し、
バランスを取ろうとしている。対する野党民進党は、「こちら」の利害だけ
に目を注いで、政府与党に難癖をつけている、という構図が見える。

一方で、日経は、政府与党の年金改革法案を、「各世代でそれぞれが「痛み」
を分かち合う」仕組みを取り入れることによって、「年金制度の持続可能性
を高め」ようとするものだとし、次のように述べている。

政府・与党はできる限り丁寧な説明に努めるべきだ。野党も「年金カット法案」
と非難するだけでは、責任ある対応とはいえない。

つまり、この改革法案が「年金カット」につながるというデメリットの面しか
見ようとしない野党の見方は、一面的であって、「年金制度の持続可能性を高
める」というメリットの面を無視しようとする点で、野党は無責任だというの
である。

なるほど、新聞の社説は問題の理解には打ってつけだ。社説を読んでいたら、
私のボケも眠気も、どこかに行ってしまったみたいな気がする。
コメント
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