ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

独活の大木のレゾンデートル

2016-02-20 16:24:42 | 日記
「曲則全。枉則直」。

〔曲なればすなわち全。枉(おう)なればすなわち直(ちょく)〕。

これは、老子の22章でも使われていた言葉である。

「木は曲がっていると、

(材木にならないため) 伐採されずに完全さが保たれる」

という意味である。

樗(おうち)の大木のことを指すらしいが、

日本で言えば、「独活の大木」ということだろう。

荘子は恵士に、この役立たずの大木のことを持ち出させ、

荘子自身への批判のために使わせている。

恵子は荘子にむかって言う。

「私のところに大木があって、人はこれを樗(おうち)と呼んでいますが、

その幹は節くれだった瘤だらけで直線はひけず、

その小枝は曲がりくねって、規(コンパス)や矩(さしがね)は使えない。

だから道ばたに立てておいても大工はふりむきもしません。

ところで、あなたの話も大きすぎて用いようがないから、

人々みんなにそっぽを向かれるのですなあ」

この恵士の批判に、荘子はこう答えている。

「あなたは、大きなものの使い方を知らないのですなあ。

あなたはなぜこの大木の下に寝そべって、その木陰でのんびりと安らぎ、

生の充溢を享受しようとしないのですか。

世間的には無価値だとしても、この大木は

それなりの意味と役割を持っているのです。

世間的な価値なんて、

そんなことは何も気にすることはありませんよ」

けだし名言である。

「独活の大木のレゾンデートル」とでも言わせてもらおうか。

はて、私のこのブログは・・・? その存在の意義は?

荘子の言葉は何かと私を勇気づけてくれるのだが。
コメント
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