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ささやんの天邪鬼 ほぼ隔日刊

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

広島、長崎への原爆投下とトランプ(その2)

2025-07-09 09:27:28 | 日記
(承前)
アメリカは80年前、原爆の使用によって日米戦争に終止符を打つことができた。言うまでもなく、勝者はアメリカである。
「原子爆弾を使わなかったら、日本はいつまでも降伏しようとせず、日本側にもアメリカ側にも多大の犠牲がでたに違いない」ーーこれは、アメリカが原爆使用を正当化する論理として、多くの場面で使われてきた、きわめてポピュラーな理屈である。

だが、ホントにそんなことが言えるのだろうか。

その昔、「日本でいちばん長い日」(1968年、岡本喜八監督)という映画を見たことがある。なにぶんにも昔のことで、ほんの粗筋の部分しかおぼえていないが、原爆投下を受け、ポツダム宣言を受諾した日本政府は、天皇の「玉音放送」によってこの戦争の終結を国民に告知しようとした。
しかし、敗戦を認めず、徹底抗戦を叫ぶ一部の軍人たちーー将校たちーーは、政府・天皇による「玉音放送」の遂行を阻止しようとして、反乱をくわだてた・・・。

この映画がどこまで史実を反映したものか、私は知らない。だが、

「もし広島、長崎への原爆投下がなかったら・・・」

と考えると、私はぞっとする気持ちを禁じ得ない。

もし広島、長崎への原爆投下がなかったら、敗戦を認めず、徹底抗戦を叫ぶ将校たちの雄叫びはもっともっと大きなものになって、当時の日本国民をつき動かし、「一億総決戦」へと導いたのではないか。

当時の国民の大半が空襲や食糧難で疲弊し、厭戦気分に傾いていたとしても、自暴自棄になった彼らの心は、軍人たちの「徹底抗戦」の叫びに呼応し、共鳴し、ぐらつき、特攻隊の兵士たちと同じ、破れかぶれの気分になったかもしれないのである。
「乾坤一擲、一億総決戦」がもたらすのは、焦土の上に累々と横たわる、おびただしい数の死傷者だろう。

そう考えれば、広島、長崎で原爆の犠牲になった方々は、決して無駄死にではなかったと私は思う。彼らは図らずも(死屍累々の「一億総決戦」を防ぐ)「人間の盾」になってくれたのだ、そう思いたい。

だが、そう思ってみたところで、すっきりしない気持ちは残る。
そのモヤモヤの正体を探るべく、私はさらに考え続けた。
一体、何が問題なのか・・・。何が問題だというのか・・・。
(つづく)

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広島、長崎への原爆投下とトランプ(その1)

2025-07-07 13:53:47 | 日記
夕餉の食卓で次のニュースを聞いたとき、私は無性に腹がたった。
なぜかはよく分からない。
トランプ米政権はイスラエルに加勢して、イランに壊滅的な攻撃を加えた。その攻撃の正当性を示すために、トランプはあろうことか「広島、長崎への原爆投下」という過去の事例を引き合いに出したのである。
その身勝手で無茶苦茶な言い分が、たぶん私の神経を逆なでしたのだろう。

アメリカのトランプ大統領は25日、オランダ・ハーグで開かれた記者会見で、アメリカ軍が特殊な爆弾、バンカーバスターなどを使ってイランの核施設に対して行った攻撃をめぐり、『あの攻撃が戦争を終わらせた。実際、広島や長崎を見れば、あれによって戦争を終わらせたことがわかる。これは違った形で戦争を終わらせたが、とても壊滅的だった』と主張しました。
(NHK NEWS WEB 6月26日配信)

NHKアナウンサーの抑揚を欠いた口調は、やけに無慈悲にひびく。アナウンサーはさらに次のように続けた。

これについて、長崎の被爆者団体の1つ、『長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会』の川野浩一議長(85)は『私たち被爆者は原爆投下がニ度と起こってはいけないという意思のもとで、原爆を語り継ぎ、平和を求めて行動してきた。トランプ大統領が原爆投下を肯定するような表現をしたことは絶対に許せない。アメリカの大統領ならば、再び原爆投下を許してはいけないという立場で、物事を考えるべきだ』と話していました。
(同前)

ふむふむ。「アメリカの大統領ならば、再び原爆投下を許してはいけないという立場で、物事を考えるべきだ」、とな。たしかに、そうだよなぁ。被災者団体の老議長・川野浩一氏の言葉は、私の憤りの内実をうまく代弁してくれていた。この言葉が多少とも私の憤りを鎮めてくれたように思う。

夕飯を食べ終え、自室に戻って冷静になった私は、「でも・・・」と思い直した。「トランプの発言も、あながち無茶な発言とは言えないのではないか。たしかに、一理はあるのかも・・・」。

私はこう思いをめぐらせたのである。
トランプ米政権は強力なバンカーバスター爆弾を使うことによって、イランの戦意をくじき、イスラエルとイランとの不毛な戦闘を終結に導いた。トランプ米政権がこの攻撃を行わなかったら、イランとイスラエルとの間で弾道ミサイルによる攻撃と反撃の応酬が続き、双方にさらに多数の死傷者がでたに違いない。

では、米軍がイラン攻撃に使った貫通弾・バンカーバスターは、80年前、米軍が広島、長崎に投下した原子爆弾と、同じ効果を持ったと言えるのだろうか。
貫通弾・バンカーバスターは無益で不毛な戦争を終わらせるというポジティブな効果を持ったが、イランへのこのバンカーバスターの投下は、広島、長崎への原子爆弾の投下と同等だと言えるのだろうか。
(つづく)

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水俣病と入試教材の???(その2)

2025-07-05 09:37:44 | 日記
(承前)
「家庭教師のトライ」の問題教材は、どうしてニュースになるほど大きな社会問題になったったのだろうか。これについて、朝日新聞は次のように伝えている。

これ(「家庭教師のトライ」の問題教材)に対し、患者の男性は『遺伝するとか言われ、差別された幼い頃に戻された思いだ』と訴えた。
(朝日新聞6月25日)

たしかに、「家庭教師のトライ」の問題教材には、「この病気(水俣病)が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです」との記述がある。この部分を見て、この男性患者は、差別された過去のつらい記憶を思いだし、いたたまれない気持ちになったのだろう。

だが、この男性患者をいたたまれない気持ちにさせたのは、「家庭教師のトライ」の問題教材なのだろうか。だから「家庭教師のトライ」側は、この男性患者に謝罪すべきなのだろうか。

そうではあるまい。この男性患者をつらい気持ちにさせたのは、「水俣病は遺伝する」との誤情報(=デマ)を信じて(あるいは信じたふりをして)、この男性患者を差別攻撃したクソ野郎である。こんなトンデモなクソ野郎を撲滅することこそ、今求められていることでああり、ぜひとも必要なことだ。
では、そのためにはどうすればよいのだろうか。

言うまでもない。、「水俣病は遺伝する」との情報が事実に合致しない誤情報であること、嘘っぱちのデマであること、そのことを世間に周知させることである。水俣病問題が風化しつつある今こそ、この公害病に関する正しい知識の普及がぜひとも必要なのだ。

さて、この観点から考えるとき、「家庭教師のトライ」の問題教材はどうなのだろうか。
前にも述べたように、この問題教材は、「水俣病は遺伝する」との情報が事実に合致しない誤情報であることを、受験者の若者たちに周知させることに、大いに寄与している。だから、こうした問題教材をつくった「家庭教師のトライ」側は、称賛されこそすれ、非難される筋合いは全くないと言わなければならない。

にもかかわらず、「家庭教師のトライ」の幹部たちはなぜ患者団体に謝罪したのか。もし彼らが「ヘンな団体に目をつけられると、あとあと面倒なことになる。ここはどっちが正しいかには拘らず、とりあえず謝っておこう。負けるが勝ちというからな」と考え、「事なかれ主義」に走ったのだとしたら、そのほうが問題である。

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水俣病と入試教材の???(その1)

2025-07-03 09:15:33 | 日記
そのニュースを聞いたとき、私の頭は疑問符で一杯になった。???????????????????????

『家庭教師のトライ』を運営する会社のオンライン教材で水俣病について事実と異なる記述があった問題で、この会社の幹部が熊本県水俣市を訪れて、患者などの団体に謝罪しました。
(NHK NEWS WEB 6月25日配信)

ここでいう「事実と異なる記述」とは、「この病気(水俣病)が恐ろしいのは、遺伝してしまうことです」といった記述だという。

たしかに、「水俣病は遺伝性の病気である」なんて、「事実と異なる記述」であることは明白だが、この病気が(工場排水に含まれるメチル水銀が原因で発生した)恐ろしい公害病であることがしきりに喧伝されたのは、昭和30〜40年代である。この頃、物心がついていた我々ジジババの世代ならともかく、平成生まれの今どきの若者には、この記述が事実と異なるかどうか、判別するのは難しいのだろう。
「水俣病は遺伝性の病気である」という記述が「事実と異なる記述」であるかどうかを問う設問は、(公害問題を風化させないという意味でも)良問であると言える。

しかしながら、ここに(非難されるべき)どんな問題があるのか、私はちんぷんかんぷんなのだ。

私が思い描いたのは、こんな設問である。

第X問
次の①〜⑤の選択肢のうち、水俣病の説明として適当なものを一つ選べ

①水俣病は伝染病である。
②水俣病は遺伝する。
③水俣病は4大公害病の1つである。
④水俣病は東京都世田谷区で発生した。
⑤水俣病が流行ったのは明治時代である。


正答はいうまでもなく③の「水俣病は4大公害病の1つである」であり、他はすべて誤答である。つまり、「①水俣病は伝染病である」も「②水俣病は遺伝する」も④や⑤と同様、水俣病の説明として適当でない、誤っている。


つまりこの(トライグループの)設問は、受験者に「『水俣病は遺伝する』という情報は事実に反している、誤情報である」と教えているのだ。
このことのどこに非難されるべき点があるのか、私には皆目わからないのである。

そもそもこの(トライグループの)問題教材は、どうしてこれほど大きな社会問題になったのだろうか。
(つづく)


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不老不死の妙薬!?

2025-07-01 08:53:27 | 日記
その番組を見たのは、ちょっとした操作ミスからだった。私は最新の番組

NHKスペシャル「人体Ⅲ 第4集」

を見るつもりだったのだが、

眠れない夜、私はスマホで開いた「NHKプラス」の選択ボタンを押し間違え、

NHKスペシャル「人体Ⅲ 第2集」

を開いてしまったのだった。

だが、それはそれで良かったのかもしれない。
結果的に、私は実に興味深い知識を得ることができたのだから。

私が思いがけなくも得ることができた知識、それは、

最先端の研究が教える老化のメカニズム

に関する知識だった。

この番組のMCは、ノーベル生理学・医学賞を受賞したことで名高い山中伸弥氏である。
山中氏が教えてくれた老化のメカニズム、それは、
分化によって独自の役割・機能を持つに至った個々の細胞が、
それ以上分裂することを止め、『老化細胞』になるプロセス
」である。

老化細胞は、周囲の細胞に炎症を引き起こし、種々の臓器・組織の機能を低下させる。
その結果、老化細胞は心肺機能などに大きなダメージを与えるのだという。老化すると、身体の諸機能が衰え、病気に罹りやすくなるのは、そのためである。

瞠目すべき情報があった。番組によれば、なんと、老化をくい止める「老化治療薬」がすでにできているというのだ。
「老化細胞」を除去すれば、周囲の細胞に炎症が引き起こされることもなくなり、臓器や組織の機能が低下することもなくなる。
したがって細胞は若さを保ち、病気に罹ることもなくなる、
という理屈だが、
老化治療薬とは、分裂をやめた「老化細胞」だけを除去する働きを持った薬、ーーそう、夢のような薬なのである。

ゲスト出演者の石川佳純は、

細胞が古くならなかったら、不老不死も可能になるのでは?

と目を輝かせるが、
たしかに、我々が老化治療薬によって不老不死を手に入れるのも、そう遠くない将来なのかもしれない。

だが、そこには心躍るような、望ましい将来が待ち受けているのだろうか。天邪鬼の私は、しかし、その将来を手放しで喜ぶことができない。

そういう老化治療薬は、一部の金持ちだけが手に入れられる、かなり高額のものになるに違いない。
すると、一部の金満家や(中国の習近平のような)独裁的な政治権力者だけが不老不死を手に入れることになり、いつまでも金満家や政治権力者の支配が続くことになる。(若者が割を食う)長老の支配体制が不動のものになるのだ。

それだけではない。もう一人のゲスト出演者・天海祐希は、
期限があるからがんばれる、ということもあるのではないか
と述べたが、
たしかに、寿命が伸びて「期限なし」の状態になると、我々の気力・意欲は削がれてしまうのではないか。
実現すべき目標を失い、のんべんだらりと日を送るだけの人生。
そんなふやけきった人生は、私の望むところではない。

♬命短し恋せよ乙女♬

人生は短い。だからこそ一瞬一瞬が貴重なものになり、輝きを帯びるのではないか。
残された人生が残りわずかな私は、そう思う。いかがだろうか。

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