「ゆるちょ・インサウスティ!」の「海の上の入道雲」

楽しいおしゃべりと、真実の追求をテーマに、楽しく歩いていきます。

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僕がサイクリストになった、いくつかの理由(1)

2012年07月23日 | アホな自分
「じゃ!」

彼女は、向こう向きのまま、手を振ると、横浜のとある駅に消えていった。

そして、その声は振るえていた・・・。

彼女は最後に泣き顔を、僕に見せたくなかったのだろう・・・。


「クリスマスの朝だってのに・・・サンタさんは、ひどい贈り物を僕にしてくれた・・・」

僕はそうひとりごちると、大きくため息をついた。

「クリスマスだろうが、おんなと別れた朝だろうが・・・会社に行かないといけないのが、社会人の掟か・・・」

クリスマスの月曜日の朝の9時半過ぎ・・・26歳の僕は、スーツ姿で、ただただ立ち尽くしていた。



「もしもし、あの、鈴木です。執務の増田さんか・・・いやあ、朝起きたら、体調を崩しててさ」

僕は横浜のとあるホテルの一室から、会社に電話をかけていた。

「うん。だから、朝一で医者に行って・・・注射でも打ってもらって、それから、会社に出るよ。うん。午前半休にしておいて」

と、僕は予定した言葉を予定通りに吐く。

「うん。11時頃には、行けると思うけど・・・うん。課長によろしく言っておいて。うん。いつも悪いね」

と、僕は仲のいい執務の女性に話すと、

「じゃ、失礼します」

と、電話を切る。

「鈴木さん・・・なんだか、だんだん嘘がうまくなっていくみたい・・・」

同じベッドに裸で寝ている、5歳年下の多部エイコが、僕の様子を見て笑う。


僕は鈴木タケル26歳・・・八津菱電機に入って、まだ、1年めのペーペーだった。

本来なら、今日、朝8時45分には、自分の席に出社していなければ、いけなかった。けだるい月曜日の朝・・・僕は彼女と、横浜の由緒正しい、とあるホテルの一室にいた。

いや、厳密に言えば、さっきまで、彼女だった女性・・・僕は彼女に別れを告げられたばかりだった。

「社会に出れば、嘘もうまくなるさ・・・嘘も方便・・・というか、皆でしあわせに生きていくための、手続きなんだよ、嘘も」

と、僕は真面目に話す。

「ま、エイコから見れば・・・汚れているって、思うだろ。社会に出て、純粋さを無くしたって・・・だから、僕を振ったの?」

と、僕は少し真面目な表情で、横に寝ているエイコを見やる。

「ううん・・・さっきも言った通り、他に、好きな男性が出来ただけ・・・」

と、エイコは、あまりその話には触れたくない様子。

「そうだったな・・・別れる理由をいくら知っても・・・哀しみは、少なくは、ならないな・・・」

と、僕は言うと、気持ちを振り払うように、身体を起こす。

「さ、俺も会社に行かなきゃ・・・別れたカップルが、裸で同じベッドにいるのは、やっぱり、まずいだろ」

と、僕が言うと、

「うん・・・」

と、彼女は少しだけ笑う。

「下のレストランで、朝食食べて行こう。ビュッフェ・バイキングらしいし、ここのレストラン、けっこう美味しいみたいだしさ」

と、僕は続ける。

「まず、シャワー浴びちゃうか。俺、やることがあるから、エイコ、先に入れよ。俺は後でいい」

と、僕が言うと、

「うん」

と、彼女は言って、ベッドを出ると、

「やることなんて、ないんでしょ?・・・嘘のへたな、やさしい鈴木さんが、わたしは、好きだったな・・・」

そう言いながら、彼女は、シャワーへ消える。

僕は、そんな彼女の後ろ姿をなんとなく見ている。

彼女の身長は170センチ近く・・・色白で、すらりと伸びた肢体は、相変わらず、美しい。


僕らはシャワーを浴び終わると、お互い下着をつけていた。

そんな風景を僕はなんとなく見ている。

「相変わらず美しいな、エイコは・・・」

と、僕が思わず、言うと、

「ありがと・・・」

と、言いながら、少し涙ぐむ彼女。

「わたし・・・鈴木さんにとって、悪いおんなだったね・・・」

と、伏し目がちにつぶやく。

「いや、そんなことは、ないよ・・・」

と、僕は、見え透いた、下手な嘘をつく。

「そういう・・・嘘のへただった、鈴木さんが、大好きだったな・・・」

と、彼女は、泣きながら笑顔を見せる。顔がくちゃくちゃだ。

「涙ふけ・・・いくら美貌のエイコだって・・・これから電車に乗って帰るんだから」

と、僕はハンカチを取り出し、彼女に渡す。

「うん・・・わたし、そういうやさしい鈴木さんが、好きだった・・・」


多部エイコは、新入生の時に、大学の美術部に入ってきた女の子だった。

僕はその時、マスター1年で、彼女は、大学1年生だった。

僕は大学3年を終えた時点で、美術部を引退し、何かのイベントがある時にだけ、それも時間がある時にだけ、顔を出していた。

理系の大学だった僕の東京農工科大学は、研究室に所属する大学4年から劇的に忙しくなった。

それまでも、死ぬほど、忙しかったけれど、自分の研究テーマが決まると、それこそ、朝から夜遅くまで研究室で研究を進めなければ、追いつかない、そんな地獄のような時間を、

過ごすことになった。もちろん、部活動などに割ける時間があるはずもなく・・・部室に顔を出すことなど、ほぼ皆無だった。


そんなマスター1年の夏、たまたま出来た、たった一日の夏休みに、渋谷で行われていた、東京学芸課大学との合同展に、僕が顔を出したことがきっかけになって、

僕らは付き合いだした・・・。


それから、3年の月日が流れていた。


彼女は、ある劇団の舞台女優になっていた。

その美貌が認められ、ヒロイン役に抜擢されたのだ。

そして、よくある恋愛劇のように、その劇団のエース男優と恋に落ちた・・・美男美女のカップルとして、彼らは祝福され・・・僕は捨てられたのだった。


「あーあー・・・この失恋・・・俺全否定くらったんだもんな・・・今日、仕事が手につくかな・・・」

大船駅に向かう、京浜東北線の中で、僕は、そうため息をついていた。

「それでも、仕事をしなきゃ・・・社会人って、大変だな・・・」

そうつぶやく僕を乗せた電車は、クリスマスの湘南の風景の中、走っていくのだった。


つづく

(つづく)をクリックすると、次回にスキップするので、よろしくでーす!

7月23日 新たなストーリーを書いてみることにしましたー。(ちゃずさんとの楽しいおしゃべり!)

2012年07月23日 | 毎日のしあわせの為の知恵
おはようございます。

昨日の海ドライブは、終始曇り・・・まあ、途中、陽がさす瞬間もあったので、まあ、夏な雰囲気も楽しめました。

まあ、晴れ男、晴れ女パワーが少しは、出せた、ということでしょうかー。

しかし、昨日の日馬富士は、強かったねー。

まあ、最終決戦があれなら、満足満足というところでしょうか。

お酒が美味しくなる取り組みでしたねー。


で。


ちゃずさんからコメントを頂いていたので・・・けっこう時間が経ってしまいましたが・・・コメ返しをしたいと思います。

ま、久しぶりの、

「ちゃずさんとの楽しいおしゃべり!」

ですね。


>こんにちわ。

>3連休いかがおすごしでしょうか~?
>ゆるちょさんは、宣言どおり、自転車三昧&夏のビアーでしょうか?

ええ、最近、自転車三昧&夏のビアーが多いですね。昨日は、海ドライブでしたけど。


>私は、この3連休は、せっせと、夏のバカンス準備です(笑)

>準備ってのが、いかにも女子でしょ~???

女性の方って、準備そのものを楽しめますよね?

まあ、男性はせっかちですから、

「え、準備?そんなの、さっさと終わらせちまえ!」

ってな感じで、そのあたりは、ちょっと違うのかもしれませんねー。


>と、いっても遠出はなかなか無理なので、新幹線を使って2時間前後か、車で5~6時間のとこに行こうと、せっせとリサーチ中です。

なるほど・・・まあ、でも、バカンス・・・楽しみですねー。


>先日、ゆるちょさんが、サイクリストになられた理由がブログでチラッと知れて、「うんうん」と読み進めていました。
>と、いうのも、趣味って、時間もお金も必要だし、趣味にしたいものを趣味にするまでって結構時間がかかったりするじゃないですかぁ?
>だから、どーいいった経緯で、自転車にのることになったのかなぁ?なんて思ってたんです。
>(私、ゆるちょさんのブログ読んでますが、初期から読めてるわけじゃないので、どこかに、その理由なんかも記事として載ってるかも!?と思ったんですが、ずっと遡って記事を探すことが出来ない、サボり魔なんで、ゆるちょさんに聞いちゃおうっておもってたんです。)
>もしよかったら、そのへんのとこ、今度、時間がるときに記事にしてください^^


ま、こういうコメントを頂いたので、

「どんな記事を書こうかなー」

と、ずーーーーーっと思っていたんですが、ちょっと自分を見直す意味でも、小説風にしちゃおうと思って、

実は、ちょっと準備していたんです。

だから、コメ返しが、こんなに遅くなっちゃったわけですけど・・・。


というわけで、今日から、1日置きを目処に、

「僕がサイクリストになった、いくつかの理由」

というストーリーを書いていこうと思います。


カテゴリーは、「アホな自分」カテゴリーに・・・ま、自分を客観視してみようと思ったんですね。


さて、何回で、終りになるのか・・・そのあたりは、ちょっと書いてみないとわからないですね。


ま、いずれにしろ、夏にふさわしい内容になれば、いいなと思っています。

ま、恋愛ストーリーにもなるし。


というわけで、今日から始めてみたいと思います!


今日からまた、暑くなるとか。

夏がまた戻ってきますね。

暑い夏、気持ちよく過ごしていきたいと思います。


ではでは。