刑務所に収監され、「罰を受けるのは裁判だけではない。俺たちのルールでお前を裁く」といいながら殴る蹴るの刑務所内での洗礼を受ける事になるスヒョン。いわゆる「先制攻撃をすることで反骨精神が生まれるのを防ぎ、御しやすくするため」という事らしい。刑務所の中も社会の一つということで、刑務所内のパワーゲームの為にこのような事がかなり過激に行われているのだ。
そんな中、受刑者だけでなく刑務所職員さえも意のままに操るト・ジテになぜか一目置かれるようになるスヒョン。もちろん全てを取り仕切っているト・ジテに表立って「なぜ?」と異を唱える者はいない。更にスヒョンもなぜ彼が自分の事を気に掛けるのかも分からない。しかし、仮にト・ジテがスヒョンの事を気にかけていると言っても、快適な収監生活等あるわけがない。
自白もなく、動機もなく、ただあるのは状況証拠のみというなかでも、「彼が絶対に犯人だ」という刑事と、その刑事の勘に便乗した検事の二人はなんとしても彼を犯人にすることを決心しており、スヒョンの弁護を務めるつもりだったジュンハンは、大手ローファームのやり手弁護士に仕事を横取りされるのだ。
とにかく、拘束を解かれたいスヒョンは、刑事と検事の筋書き通りに@うそ発見器にかけられることを承諾。ぜんそくの薬を取り上げられ、切迫した精神状況の中で混乱。その流れで拘束を解かれる判断の場でも不安定な精神状況を見せて、更に収監が続く事になる。
被害者女性のインスタグラムの写真から、彼女が主治医から常に薬を入手していた麻薬常習犯である事を突き止め、それを自分の仕事を取り上げた大手ローファームとの取引材料にするジュンハン。
しかし、その資料を入手しても「証拠もあり、殺害方法の残忍さから世論の声も厳しい。無罪を主張し続ければ、無期懲役もある。自白をして短い刑期で服役した方が未来がある」と弁護士から持ち掛けられて混乱するスヒョン・・・
裁判前に検察と弁護団がお互いに打ち合わせして出来レースを行う事は違法なのだが、検察側も証拠は数多くあれど決定的なものに欠け、弁護団も、本人は犯行を否定するも多数の状況証拠を覆す決定的な隠し玉など見つからない場合に、談合の上、出来レース裁判が行われるらしい。法の上の平等はなく、現実的な落としどころを探す事がお互いに一番利益ありと思われているのだ。
ジュンハンの「短い刑期で出所する事になっても、前科者という過去は消せない」という言葉に混乱するスヒョン。とにかく、拘束を解かれたいスヒョンの心は千々に乱れるのだ。
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とにかく暗いドラマだ。緊張感が緩む場面として、足の痒みに悩むジュンハンという出来事が用意はされているのだが、それさえも何か別の暗示があるのかとも思えるし、内容的にほっとするような場面でもなく、どこまでツライ緊張感が続く。