私の映画玉手箱(番外編)なんということは無い日常日記

なんということは無い日常の備忘録とあわせ、好きな映画、韓国ドラマ、そして
ソン・スンホンの事等を暢気に書いていく予定。

聖なる復讐者

2023-05-23 21:14:05 | 映画鑑賞

双子の弟を殺した犯人に復讐すべく、自ら事件を起こし犯人と思われる少年たちが収監されている少年院に自ら入る道を選ぶ兄。

「クリスマスにフライドチキンを食べたい」という夢さえも叶えることなく亡くなった弟。自分たち兄弟も住んでいる場所を追い出される危機にありながらも、同じような境遇の者たちに拳を振り上げる事で日々の糧を得ていた兄。

確たる証拠はなくとも、不良少年グループの面々は、普段から少しのんびりした弟に対して暴力を振るっていたのだ。自分も彼ら同様に弟を邪険にしていた事への罪悪感と、たった一人の肉親をそんな風に失ってしまった悲しさから、自暴自棄とも思える行動に出る兄。

少年院の中にも現実社会と同様のヒエラルキーが持ち込まれている。
親の財力がそのまま少年たちの力関係にも影響し、そこからくるひずみは、少年院の中でも力のない者へのいじめになって現れる。しかし閉鎖された空間の中では金が全てでもない。財力がなくても肉体的に圧倒的なパワーでヒエラルキーの頂点に登り詰める者もいる。
それぞれのパワーが複雑に絡み合い、そこに彼らを管理する教師たちの力関係も加わる。

更生機関であるはずの場所は、傷口を更に広げ、その傷を癒す機会させも与えない場所になっているのだ。

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韓国映画らしいと言ったらいいのか、とにかく重く、見せずともいいと思うような描写も、とにかくねちっこく描く。その恐ろしい程のパワーには敬服せざるを得ない。弟を殺したのは誰なのかという犯人捜しはストーリーの重要な部分を占めるはずなのだが、その実、ミステリー部分についてはあまり重きを置いていないようにも思える。薄っすらと犯人は誰だか予想が付き、その事実を受け入れるのにも、非常にパワーが必要なのだ。

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双子の兄弟を演じるのはパク・ジニョン。二役故出ずっぱりである。そして重い題材だ。演じる上でも相当のパワーが必要だっただろう。